瀬戸内の勝負師

ハリマオ65

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48話:2025年問題2

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 その費用は、患者負担と保険料を合計しても6割程度しか賄われていない。残りの4割は税金からの補填で、既に大赤字。一般的に、年齢が上がると医者に掛かる機会が増え、医療費がかさむ。高齢社会では医療費は更に増えると考えられ、それは大変だというのが医療問題。最も手っ取り早い解決策は、企業と個人が負担する保険料を引き上げるという事と、患者が払う医療費の負担額を増やすという事。

 もうひとつは医療サービスを削るという考え方。これは、患者側が本来受けられる医療サービスを一律に削るという事ではなく、現在の過剰ともいえる検査や投薬を見直すという方向で考えていくというもの。そのためには患者の方でも、ちょっとしたケガで必要以上の大げさな検査を希望しない様にしたり、医者から処方される薬を余らせて期限切れにしてしまわないようにしたりする自己管理が必要になる。

 また、生活習慣病の予防や老化とともに衰える筋力の保持をするために、生活の中に予防医学の考えを取り入れていくことも必要。乱れた食生活や不規則な生活を改め、筋力低下による寝たきりを防ぐために日頃から適度な運動をするように心がけ、健康寿命を延ばすことを考えていくべき。年金の問題について、健康保険と違ってこちらは黒字。年度によってばらつきはあるが、2016年までに累積で64兆円もの黒字になっている。

 リーマン・ショックによる打撃から回復した世界経済の好調を反映し、好業績を記録する日本企業の株価上昇を受け、運用益が出ているおかげです。年金の財務は当面は心配ないと思われます。しかし、それでも足りなくなるのが、国民の高齢化による2025年問題です。2015年度の実績で、年金機構の総資産は約142.7兆円、年間の収入「保険料、運用益など」は42.3兆円、給付総額は41.2兆円です。この後、運用益増により収入は伸びていますが、支給額も増えています。

 2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、支給額は100兆円を超えると予測されています。運用益がどこまで伸びるかは未知数ですが、そこまで伸びることは考え難いのが実情です。支給年齢の引き上げや支給額削減の声が聞かれる理由も、政府が消費税増税を口にするのも、この問題があるためです。私たちは北欧のように高負担高福祉の社会を選ぶのか、それとも自助能力と自己責任の社会を選ぶのかの選択を迫られているのかもしれません。

 高齢化と切っても切れない関係にあるのが、介護の問題です。あまりに急激に高齢者が増えるために、高齢者が要介護者になった時に介護するための人員が不足してしまうのです。2025年には約38万人の介護人員が不足すると推定されています。それについてはいくつかの理由が考えられます。最初に考えられるのが、核家族化の進行により、かつて家族の問題であった介護が社会の問題となったことでしょう。

 親の介護のために職を辞めざるを得ない介護離職は、現在深刻な社会問題となっている。これについては、仕事を辞めることなく仕事と介護が両立できるような働き方に対する改革を、国による法整備も含めて社会全体で進めていかなければなりません。次に重労働低賃金と言われる介護職の待遇改善。厚生労働省は、介護職のイメージアアップを図るため、体験型のイベントを企画したり様々な広報活動を通じて介護の魅力と必要性を宣伝したりしている。

 そして他業種よりも低いと言われる賃金の格差を縮め介護における雇用を安定させる事により優秀な人材を確保していくため、介護職員の処遇改善を打ち出している。2017年度には介護福祉士の処遇改善を目的とした「介護職員処遇改善交付金」が創設された。また不足する介護福祉士を補うため、介護福祉士養成学校に通う学生に対し「修学資金貸付制度」を創設し国家資格を取得して介護職を5年勤めれば返済義務がないという制度を打ち出してる。

 その他、厚生労働省では、東南アジア「インドネシア、フィリピン、ベトナム」など海外からの介護職人材を広く受け入れる。そして、6ヵ月間の日本語研修を実施するほか、日本語の専門用語が多い国家試験を見直したり、再チャレンジできるようにしたりするなど柔軟に対応できるシステムを構築してる。介護の分野は成長産業であり、日本のGDPを増やし雇用促進にも役立つ取り組みとも言える。

 今回2025年問題についてまとめましたが、あまり悲観的に捉えずにこの問題を認識した上で個人個人で対策を考えることが大切です。2025年を問題なく乗り越えられるよう、健康寿命が延びるように生活習慣を改善したり、貯蓄・資産運用を再検討するなど、今からできることを実行していきましょう。
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