2 / 29
2話:生糸商人の浮き沈み1
しおりを挟む
しかし横浜生糸商人の中には最初は大成功しても、最後に不遇の最期を遂げるものも、生糸相場の激しい値動きで蓄えた富をはき出して、倒産する者いた。例えば、橫浜の生糸商人の先駆けと言われる中居屋重兵衛は、以前から諸藩と関係を持ち、開店直後から会津藩・上田藩などの藩領で生産された生糸を輸出していた。安政6年、1859年、日米修好通商条約締結に伴い、横浜が開港されたこ事から幕府に強制的に移転させられる。
しかし中居屋はこの機会に外国商人との日本で最高の品質と言われる上州生糸の貿易を半ば独占し、莫大な利益を上げた。横浜本町四丁目に建設した店は銅・あかがね御殿と呼ばれるほど拡大した。敷地面積は1200坪で、安政6年、1859年6月に開店した。幕府から営業停止を受けたのは、店の屋根を銅葺きにした中居屋の店の普請があまりに華美であったことが、幕府の怒りに触れた。
また幕府の御用商人であった三井家の資料では中居屋には奥州・上州・甲州・信州・越後の糸商人が集まり、中居屋重兵衛が、当時、幕府から違法とされていた名義を借りして外国商館に生糸を販売しており、その件が幕府に
知れて、営業停止命令の前々月には中居屋の支配人が入牢させられた。だが、彼は水戸藩のシンパであり、時の大老・井伊直弼とは敵対関係にあった。そして文久元年。1861年8月2日死去。幕府の生糸輸出制限令違反で捕縛された後に獄死したとも、麻疹により病死したともされる。
亀屋の主人、原善三郎に安田亀吉の名前を覚えられ、可愛がられる様になり2年が経ち、1864年、したたかな原善三郎は安田亀吉の信州、上州、相州、甲斐の生糸生産農家に顔の利く所から、良い条件を出して大量一括購入を始めた。安田亀吉も原善三郎に中間マージンをいただいた上に、安田亀吉の全財産・6百円を亀屋に投資して投資比率の分の利益をもらう様に交渉する
と原善三郎が亀屋で働けと言って雇い入れてくれた。
その後、安田亀吉は持ち前の記憶力で商売する時に使う英会話を覚え、外国の商社の人達と交渉して有利な条件で商売する様になり原善三郎に重宝がられた。その後28歳の時1869年に生糸の値段が大暴落して、
多くの生糸を扱う橫浜の店がつぶれていった。その時、原善三郎が八王子・鑓水に帰るかと安田亀吉に聞いた。それに対して
「いや生糸の価格の乱高下はつきものだから、原先生に出て行けと言われるまで、ここにいたい」と話すと
「厳しい時期をどう切りぬけていくか、よく見ておけ」
と大きな声で言った。
原善三郎は生糸相場が過熱してきたと感じると、生糸価格が下げ始めると考えて、積極的な売買を控えて手を出さないようにしていった。その後、金と相場が下げ始め様子を見て、上げに転換したと感じると、静かに買い始め、原善三郎が買い始めると、他の商人も買い始めると言うくらいに生糸市場が上昇する。
そして気がついた時には、一気に買いに走るという、長い商売で培った鋭い勘で、1871年に起こった、普仏戦争によるフランスによる生糸輸入停止での生糸価格暴落の時も何とか原善三郎は逃げ切った。
10年後、28歳(1872年)の時には安田亀吉の資産が数倍になった。ある時、原善治郎が、それだけの資産を得たのだから。お屋敷を建てたり、店屋を出して商売しないのかと尋ねたところ、俺は小さい時から質素な生活に慣れていて、この店の離れの小さな部屋で充分だと言った。
その後、1873年頃に大隈重信が民部・大蔵卿に就任して、殖産興業として西洋諸国に対抗し、機械工業、鉄道網整備、資本主義育成により国家の近代化を推進した諸政策を打ち出し、官営富岡製糸場を建てた。これらを見て原善三郎は、再び生糸の価格が上がると見込んで日本中から生糸を買って買って買いまくった。その後、明治9年・1876年は製糸にとり衝撃的な年となった。原善三郎は莫大な資産を既に持っていて、安い時に一気に買う行動をとっていると7月の新糸相場は1梱・9貫、250円が月末には300円、9月には600円の高値を示したので、すぐに外国商人に売って、ほとんど9月に売ってしまい10月に入ると下り始め、また一気に金に物言わせて買いまくった。
12月には再び7月の高値に戻り外国商人売りつけた。この10年強で、橫浜商人の中でも最大の資産家となった。しかし1880年に大蔵卿が大隈重信から松方正義になって今までと真逆の方針が行われ始めた。徹底した緊縮財政、たばこ税や酒税を増税、軍事費以外の政府予算の縮小、官営事業の払下げ。この結果、緊縮財政により、物価が下がり始めた。この様子を見て、原善三郎は生糸相場が再び下がると考え、生糸の売買をしなくなり、様子を見るようにした。
その読み通り1884年に世界的な不景気も相まって生糸価格の大暴落が起きたが、ほとんど影響を受けずにすんだ。原善三郎は生糸相場の値段の変動の激しさを熟知して安い時に潤沢な資本を利用して一括買いをして価格上昇した時に売る方法で着実に利益を積み上げていった。その生糸相場の乱高下で橫浜生糸商人も多くが店が倒産し人数が減った。その中で原善三郎は生糸相場が上がり始めると見ると一気に売買をして下げ始めると、ぴたっと商売を小さくする方法で着実に稼いで
、資産を増やしてた。
しかし中居屋はこの機会に外国商人との日本で最高の品質と言われる上州生糸の貿易を半ば独占し、莫大な利益を上げた。横浜本町四丁目に建設した店は銅・あかがね御殿と呼ばれるほど拡大した。敷地面積は1200坪で、安政6年、1859年6月に開店した。幕府から営業停止を受けたのは、店の屋根を銅葺きにした中居屋の店の普請があまりに華美であったことが、幕府の怒りに触れた。
また幕府の御用商人であった三井家の資料では中居屋には奥州・上州・甲州・信州・越後の糸商人が集まり、中居屋重兵衛が、当時、幕府から違法とされていた名義を借りして外国商館に生糸を販売しており、その件が幕府に
知れて、営業停止命令の前々月には中居屋の支配人が入牢させられた。だが、彼は水戸藩のシンパであり、時の大老・井伊直弼とは敵対関係にあった。そして文久元年。1861年8月2日死去。幕府の生糸輸出制限令違反で捕縛された後に獄死したとも、麻疹により病死したともされる。
亀屋の主人、原善三郎に安田亀吉の名前を覚えられ、可愛がられる様になり2年が経ち、1864年、したたかな原善三郎は安田亀吉の信州、上州、相州、甲斐の生糸生産農家に顔の利く所から、良い条件を出して大量一括購入を始めた。安田亀吉も原善三郎に中間マージンをいただいた上に、安田亀吉の全財産・6百円を亀屋に投資して投資比率の分の利益をもらう様に交渉する
と原善三郎が亀屋で働けと言って雇い入れてくれた。
その後、安田亀吉は持ち前の記憶力で商売する時に使う英会話を覚え、外国の商社の人達と交渉して有利な条件で商売する様になり原善三郎に重宝がられた。その後28歳の時1869年に生糸の値段が大暴落して、
多くの生糸を扱う橫浜の店がつぶれていった。その時、原善三郎が八王子・鑓水に帰るかと安田亀吉に聞いた。それに対して
「いや生糸の価格の乱高下はつきものだから、原先生に出て行けと言われるまで、ここにいたい」と話すと
「厳しい時期をどう切りぬけていくか、よく見ておけ」
と大きな声で言った。
原善三郎は生糸相場が過熱してきたと感じると、生糸価格が下げ始めると考えて、積極的な売買を控えて手を出さないようにしていった。その後、金と相場が下げ始め様子を見て、上げに転換したと感じると、静かに買い始め、原善三郎が買い始めると、他の商人も買い始めると言うくらいに生糸市場が上昇する。
そして気がついた時には、一気に買いに走るという、長い商売で培った鋭い勘で、1871年に起こった、普仏戦争によるフランスによる生糸輸入停止での生糸価格暴落の時も何とか原善三郎は逃げ切った。
10年後、28歳(1872年)の時には安田亀吉の資産が数倍になった。ある時、原善治郎が、それだけの資産を得たのだから。お屋敷を建てたり、店屋を出して商売しないのかと尋ねたところ、俺は小さい時から質素な生活に慣れていて、この店の離れの小さな部屋で充分だと言った。
その後、1873年頃に大隈重信が民部・大蔵卿に就任して、殖産興業として西洋諸国に対抗し、機械工業、鉄道網整備、資本主義育成により国家の近代化を推進した諸政策を打ち出し、官営富岡製糸場を建てた。これらを見て原善三郎は、再び生糸の価格が上がると見込んで日本中から生糸を買って買って買いまくった。その後、明治9年・1876年は製糸にとり衝撃的な年となった。原善三郎は莫大な資産を既に持っていて、安い時に一気に買う行動をとっていると7月の新糸相場は1梱・9貫、250円が月末には300円、9月には600円の高値を示したので、すぐに外国商人に売って、ほとんど9月に売ってしまい10月に入ると下り始め、また一気に金に物言わせて買いまくった。
12月には再び7月の高値に戻り外国商人売りつけた。この10年強で、橫浜商人の中でも最大の資産家となった。しかし1880年に大蔵卿が大隈重信から松方正義になって今までと真逆の方針が行われ始めた。徹底した緊縮財政、たばこ税や酒税を増税、軍事費以外の政府予算の縮小、官営事業の払下げ。この結果、緊縮財政により、物価が下がり始めた。この様子を見て、原善三郎は生糸相場が再び下がると考え、生糸の売買をしなくなり、様子を見るようにした。
その読み通り1884年に世界的な不景気も相まって生糸価格の大暴落が起きたが、ほとんど影響を受けずにすんだ。原善三郎は生糸相場の値段の変動の激しさを熟知して安い時に潤沢な資本を利用して一括買いをして価格上昇した時に売る方法で着実に利益を積み上げていった。その生糸相場の乱高下で橫浜生糸商人も多くが店が倒産し人数が減った。その中で原善三郎は生糸相場が上がり始めると見ると一気に売買をして下げ始めると、ぴたっと商売を小さくする方法で着実に稼いで
、資産を増やしてた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


