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5話:欧州航路で1ケ月の船旅1
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この出来事を知った三井物産の本居康智が、これで間違いなくドイツをはじめとする同盟国側の敗戦が間違いなくなったと話した。今日の話合いを終えた。また、時期が来たらパスポートの手配をお願いしますと言って、安田亀吉が本居康智とジュームス加藤を見送った。
既に、この頃には、安田商事で長男の勝一と次男の勝二が横浜商業学校を卒業して商売を手伝っており、取扱高も増え、生糸や輸入雑貨品、食料品、生活雑貨、用品と手広いなり、当然取扱高も増え、収入も数倍に増えた。
そして、ヨーロッパへの移住についても、興味津々で、新天地での商売、生活に夢を膨らませている様だった。1918年に入り、益々、連合国側の優勢の情報が伝わり安田亀吉は、1918年中には第一次大戦が終結するだろうと予測していた。
その後1918年8月8日、北フランスのアミアン付近で、アメリカ軍が参加した連合軍によって撃破されたとの情報も入って安田亀吉は戦争終結の日が近づいたと感じて、1918年8月10日、三井物産の本居康智さんにパスポートの手配をお願いした。3ヶ月後の11月11日に本居康智がパスポートを安田家の4冊のパスポートを持って来てくれた。
約束した手数料、35円。翌週に、本居康智さんがやってきて1918年11月11日が第一次世界大戦の終戦記念日となったとの情報が入ったと言ったので橫浜からマルセイユの船便・中等室・切符の大人手配をお願いした。費用は700円で中等は4人で1室だと教えてくれ、パンフレットを渡してくれた。出港の日は1918年12月11日でマルセイユ到着予定が、1919年1月11日と知らされた。
やがて出発の日、1918年12月11日を迎え、安田亀吉、勝一、勝二は最近、新調した背広を着込んで、母の衣子は洋服を着て、横浜港へ出かけた。乗船する船は日本郵船の諏訪丸、1万2千トン、速力16ノットと高性能で、諏訪丸の公室の装飾は、英国ウエアリング・アンド・ギロー社によりクラシカルな様式だった。乗船前に厳しい、手荷物検査とパスポート検査、本人確認を受けて、許可が下りた順番に乗船していった。
その後、横浜港を離れ、翌日12月12日に神戸港へ付いた。船の朝食は、パンとコーヒーををいただいた。航海で水が一番大切なので1日3リットルまでしか使えず、洗面も上手に住ませる必要があった。その後、日本を離れ、広い、東シナ海の大海原を眺めると、30日にも及ぶ、長い船旅をしているのだという時間が湧いてきた。7日の航海の末、中国、上海港へ着いた。
Y氏と、佐藤さん、山田さん、池田さんなど、10人で上海港に降り、対岸には無線電信局、倉庫、多くの会社が軒を並べていた。初めての寄港地と言うことで少し興奮していた。多くの現地の人達が来るので、財布を盗まれない用心する様に、言われ、緊張感が走った。
馬車に乗り、美しい景色と、当たりに漂う独特の臭いを感じながら、走って行った。フランス公園と呼ばれる所で、降りて、庭園を散策したが、支那人立ち入り禁止の看板を見ながら歩くと、白人の子供が遊んでいた。
東洋一と言われる競馬場に行くと競馬で泣く者と、儲けて一旗揚げた者と分かれ、また、コカインの密輸も盛んに行われているようで、成金も出ているようだ。地元の公園に行くと、支那人の物売りがうるさく、閉口して、すぐに馬車に戻った。地元の往来は、どこも混雑して、歩く気がしない。
そうして、船に戻った、一緒に乗り合わせた日本人同士で集まって、夜遅くまで歓談するのが楽しみだった。その他には、一緒に乗り合わせたスイス人から1日30分のフランス語の講義を受けた。日本在住の英国人宣教師と紅茶を飲みながらの午後の英語で歓談するのも楽しかったが、発音に厳しく、よく、言い直しを命ぜられるのがめんどくさかった。
上海を出航して4日後に香港へ着いた。小舟が近づいてきて、この船に乗り込んで英国人の船先案内人が乗船してきて、港まで案内してくれ、途中で英国旗を掲げた軍艦、潜水艦、巡洋艦が停泊している姿が見え、香港は99年間の借地なのだと思い出した。
近代的な港で立派で香港の町並みは神戸に似ていたが規模と品の良さは雲泥の差があった。上海に比べて何となく上品で文化的な感じがして、やはり英国の統治されているだけのことはあると変に感心した。その後、香港島の頂上の見るためにケーブルカー乗り場へと急いだ。
その後、案内人から切符を買い、45度もある上り坂をものすごい勢いで昇っていった。ケーブルカーの窓から見る景色は最初に熱帯植物のうっそうとした風景を見て、次第に香港島の全景が見えてくると、飛行機からみた景色と同じ景色を見ることができた。見るもの全てが様式で東洋の雰囲気でない事を強く感じた。やがて頂上で数人ずつに分かれて人力車に乗って、頂上からの景色を楽しんだ。
頂上から降りた後は、有名な香港ホテルを見学しに行き、香港ホテルに入ると素晴らしい白いドレスをまとった白人の貴婦人と天使のような可愛い子供と共にゆっくりと歩いていた。まさに、ヨーロッパのホテルにいるかのような錯覚を感じた。その後、植物園を見学すると、ダリア、朝顔、カンナが咲き乱れて、11月というのに夏のようだった。
夜になって、香港から九龍島への渡し船に乗ると、香港の夜景を九龍島から見ようとする観光客を満載にして出発した。10分後、対岸の九龍島に着き、岸壁から香港島を見回すと全島にきらめく灯火の光が誠に美しかった。山の上の灯火は星のようで、町の灯りは、きらめく宝石のようで、友人たちにも見せたいという衝動に駆られるほど素敵だった。全体に、香港の物価は上海よりも高いと感じた。
既に、この頃には、安田商事で長男の勝一と次男の勝二が横浜商業学校を卒業して商売を手伝っており、取扱高も増え、生糸や輸入雑貨品、食料品、生活雑貨、用品と手広いなり、当然取扱高も増え、収入も数倍に増えた。
そして、ヨーロッパへの移住についても、興味津々で、新天地での商売、生活に夢を膨らませている様だった。1918年に入り、益々、連合国側の優勢の情報が伝わり安田亀吉は、1918年中には第一次大戦が終結するだろうと予測していた。
その後1918年8月8日、北フランスのアミアン付近で、アメリカ軍が参加した連合軍によって撃破されたとの情報も入って安田亀吉は戦争終結の日が近づいたと感じて、1918年8月10日、三井物産の本居康智さんにパスポートの手配をお願いした。3ヶ月後の11月11日に本居康智がパスポートを安田家の4冊のパスポートを持って来てくれた。
約束した手数料、35円。翌週に、本居康智さんがやってきて1918年11月11日が第一次世界大戦の終戦記念日となったとの情報が入ったと言ったので橫浜からマルセイユの船便・中等室・切符の大人手配をお願いした。費用は700円で中等は4人で1室だと教えてくれ、パンフレットを渡してくれた。出港の日は1918年12月11日でマルセイユ到着予定が、1919年1月11日と知らされた。
やがて出発の日、1918年12月11日を迎え、安田亀吉、勝一、勝二は最近、新調した背広を着込んで、母の衣子は洋服を着て、横浜港へ出かけた。乗船する船は日本郵船の諏訪丸、1万2千トン、速力16ノットと高性能で、諏訪丸の公室の装飾は、英国ウエアリング・アンド・ギロー社によりクラシカルな様式だった。乗船前に厳しい、手荷物検査とパスポート検査、本人確認を受けて、許可が下りた順番に乗船していった。
その後、横浜港を離れ、翌日12月12日に神戸港へ付いた。船の朝食は、パンとコーヒーををいただいた。航海で水が一番大切なので1日3リットルまでしか使えず、洗面も上手に住ませる必要があった。その後、日本を離れ、広い、東シナ海の大海原を眺めると、30日にも及ぶ、長い船旅をしているのだという時間が湧いてきた。7日の航海の末、中国、上海港へ着いた。
Y氏と、佐藤さん、山田さん、池田さんなど、10人で上海港に降り、対岸には無線電信局、倉庫、多くの会社が軒を並べていた。初めての寄港地と言うことで少し興奮していた。多くの現地の人達が来るので、財布を盗まれない用心する様に、言われ、緊張感が走った。
馬車に乗り、美しい景色と、当たりに漂う独特の臭いを感じながら、走って行った。フランス公園と呼ばれる所で、降りて、庭園を散策したが、支那人立ち入り禁止の看板を見ながら歩くと、白人の子供が遊んでいた。
東洋一と言われる競馬場に行くと競馬で泣く者と、儲けて一旗揚げた者と分かれ、また、コカインの密輸も盛んに行われているようで、成金も出ているようだ。地元の公園に行くと、支那人の物売りがうるさく、閉口して、すぐに馬車に戻った。地元の往来は、どこも混雑して、歩く気がしない。
そうして、船に戻った、一緒に乗り合わせた日本人同士で集まって、夜遅くまで歓談するのが楽しみだった。その他には、一緒に乗り合わせたスイス人から1日30分のフランス語の講義を受けた。日本在住の英国人宣教師と紅茶を飲みながらの午後の英語で歓談するのも楽しかったが、発音に厳しく、よく、言い直しを命ぜられるのがめんどくさかった。
上海を出航して4日後に香港へ着いた。小舟が近づいてきて、この船に乗り込んで英国人の船先案内人が乗船してきて、港まで案内してくれ、途中で英国旗を掲げた軍艦、潜水艦、巡洋艦が停泊している姿が見え、香港は99年間の借地なのだと思い出した。
近代的な港で立派で香港の町並みは神戸に似ていたが規模と品の良さは雲泥の差があった。上海に比べて何となく上品で文化的な感じがして、やはり英国の統治されているだけのことはあると変に感心した。その後、香港島の頂上の見るためにケーブルカー乗り場へと急いだ。
その後、案内人から切符を買い、45度もある上り坂をものすごい勢いで昇っていった。ケーブルカーの窓から見る景色は最初に熱帯植物のうっそうとした風景を見て、次第に香港島の全景が見えてくると、飛行機からみた景色と同じ景色を見ることができた。見るもの全てが様式で東洋の雰囲気でない事を強く感じた。やがて頂上で数人ずつに分かれて人力車に乗って、頂上からの景色を楽しんだ。
頂上から降りた後は、有名な香港ホテルを見学しに行き、香港ホテルに入ると素晴らしい白いドレスをまとった白人の貴婦人と天使のような可愛い子供と共にゆっくりと歩いていた。まさに、ヨーロッパのホテルにいるかのような錯覚を感じた。その後、植物園を見学すると、ダリア、朝顔、カンナが咲き乱れて、11月というのに夏のようだった。
夜になって、香港から九龍島への渡し船に乗ると、香港の夜景を九龍島から見ようとする観光客を満載にして出発した。10分後、対岸の九龍島に着き、岸壁から香港島を見回すと全島にきらめく灯火の光が誠に美しかった。山の上の灯火は星のようで、町の灯りは、きらめく宝石のようで、友人たちにも見せたいという衝動に駆られるほど素敵だった。全体に、香港の物価は上海よりも高いと感じた。
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