上 下
11 / 19

11話:シティバンクで投資と日本のファンドの問題

しおりを挟む
 2000年11月1日午前10時に、シティバンクから豪ドル円が歴史的な円高なので、今、豪ドルを買っておくと、いずれ、円安になったときに、売れば、有利ですよと電話が入り、いくらで買えると聞くと現在1豪ドル59円で、手数料1円で60円で買えますと言った。6千万円分50万豪ドル買うと言った。

 口座に1千万円だから、直ぐに6千万円をシティバンクに入金すると言い、電話を切り、家の近くのMU銀行から6千万円の送金手続きをし、残金が23200万円となった。そして、シティバンクに電話すると、入金されて、50万豪ドル買いましたと言われた。その後、11月シティバンクからの勉強会の招待状が届き、最初、皇居の近くのパレスホテルに午前11時に到着した。

 今回は、あるファンド会社のチャイナファンドの説明会で過去チャートで今後の成長性を評価していた。その後、1口300万円で欲しい方は挙手して下さいと言い10人程の日が手をあげシティバンクとファンド会社の人が10人、申し込みの手続きをし始めた。奥さんが、トイレに行くと、富裕層の奥様方と思われる人達が、中国のファンドって、信用できるかしらと、話していてた。

 ある女性が中国には人民元と言っても一般市民が使ってる人民元と海外旅行者が持っている人民元の価値が違うそうで、そのために上海、北京では、お店のレジで外人向けの元の紙幣を中国国内向けの人民元に、交換すると、1.4倍にもなるそうよと、話題になっていた。そして安田律子にも、あなたどう思うと聞くので、中国へ旅行したことがないので、わかりませんと適当に答えて出て来たそうだ。

しかし、こんなに簡単に、銀行でもない所で、気軽に投資信託・ファンドを、それも1口300万円と高額な金額のファンドを売って、違法にならないのかと安田武夫は首をかしげた。翌月、日比谷の帝国ホテルでの勉強で、今回も最初にお弁当が、各席に配られて20分、食事タイムになった。

 その後、静かにシティバンクの司会者が今日は、世界1の規模と歴史がある、ヘッジ・ファンド、マン・インベストメントのKM日本支店長に、お越しいただいて中心商品である3つの投資信託について説明していただきますと言った。また勉強会が始まり、いきなり長期に上昇しているチャートの様に長期に安定しているのが当社の一番の売りですと言い、通常、1口、10万ドルからですが今回は特別に1口5百万円から募集しますと言った。

 その説明の後、説明を聞いていた人の1人が、手を上げて利益が10年で20%から50%とバラバラですが、手数料は、利益が特別に上がっても一定なのですかと質問した。すると基本的には、一緒ですと答えると、その基本的ではない時と言うのは、どういう時ですかと続けて聞くと、例えば
「1年間で20%3年間50%の利益の場合と言い、その時、手数料は10%、25%になると言った」。

「それを聞いた人は、えーっと大きな声を上げた」。皆さん、落ち着いて最後まで聞いて下さいと司会者が言った。そして5年以上の継続していただければ、手数料は、全て25%以下になりますと言った。投資信託は、最低5年以上、一般的には10年以上運用するものですと言った。だから短期で上昇したからと言ってファンドを解約して換金する人なんて滅多にいませんと言った。

 そのため、この話は、あくまでも例外的な話しですと説明した。しかし、時、既に遅く火に油状態で、投資信託の手数料が10%とか25%なんて聞いたことがないぞ、ふざけんなとか険悪なムードになり途中で終了した。それでも申し込みたいという人が8人もいたのには安田夫妻も驚いてしまった。

 その後、日本にある外国系の銀行について興味を持った安田武夫がよく調べて見るとニュージーランド、オーストラリア銀行という名の海外の銀行があり東京駅近くの店舗を訪ねると5年定期預金7%で豪ドルの定期預金がありシティでバンクでは4%だったので驚いた。ただし良く聞くと大きな金額でないと口座管理料1%かかると言われた。

 預金をして口座に費用がかかるなど日本人の感覚では信じられなかった。シティバンクに口座を作って2年2ヶ月が経ち2003年を迎えた。みなさんも外貨取引と言えば、FXと既に、御存知のように、日本では、FXが2010年以降、外貨取引の主流を占めている。
「FXが日本に誕生したのは1998年『改正外為法』が施行され個人で為替取引が行えるようになってから」。
「FXは、昔シンガポールや香港などで個人投資家向けのサービスとして提供され日本にも輸入された物」。
  
 日本で初めてFXを立ち上げたのはダイワ・フューチャーズ・現在のひまわり証券。しかし当時はまだインターネットが、それ程、一般的ではなく、したがってFXの普及のスピードもゆっくりだった。2000年頃からは次第に、一般人の間に、インターネットが普及していきました。この時、既にFX「フォーリン・エクスチェンジ」日本語では外国為替証拠金取引と訳します。

 この商品が1998年に日本でも作られたが、その当時1口、3百万円以上と敷居が高かったり、レバレッジと言って、10万円の証拠金で100倍の1千万円まで売買できるというFX業者もいて、大きな外貨変動で一気に赤字となり、追加証拠金を要求されたり、中には、破産する人まで出て問題となった。

 業者の中の一部の悪徳業者は、日本で法規制がまだできていないことを良いことに、やりたい放題だった。顧客からの入金させ、その後、さまざまな理由をつけて出金を拒み、ある程度の額ができたら持ち逃げをする業者や、客からの入金と自社の会計を一緒にし、会社経費として顧客に出金するなど。まさにやりたい放題だったのです。

 その中で、特に、問題になったのは、「スリッページ詐欺」。スリッページとは、注文した価格と実際に約定された価格の差の事。注文した指定価格で必ず約定される訳ではなく、相場が、常に動いているため、本来狙っていた価格からどうしても乖離が発生してしまう。これはインターネットの通信状況や、証券会社のサーバーの問題など、さまざまな要因がある。

 しかし、この頃「スリッページ詐欺」として話題になったのは、このスリッページを故意に操作して差額をだまし取る業者が多くいたからだ。このような時代だったため、金融庁も急ビッチで法設備を整えることになった。そして2005年、金融先物取引法が改正され、すべての業者に登録が義務付けられました。これにより金融庁から許可が降りない業者は営業ができない状態になり悪徳業者はおおむね排除された。
しおりを挟む

処理中です...