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12話:問題の投資商品とオーストラリア旅行

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 この情報をシティバンクの勉強会で聞いていたので安田武夫は、FXには、手を出さずにいた。しかし、このシステムそのものには、興味を持ち日本で法律に守られたFXのシステム、優良なFX会社ができれば、やってみたいと考えていた。また2000年に日本株戦略ファンドと言うファンドが野村アセット・マネジメントから発売された。

 当時かなり大々的に宣伝されたので記憶に残っている方も多いでしょう。確か、ファンドマネージャーがチームを作って運用するとかいう触れ込みだったと思う。発売当初、大々的な宣伝の効果もあり、このファンドは、1兆円もの資金を集めた。一般には、巨大なファンドは市場平均と同程度のパフォーマンスしか残せないと言われている。

 資金が多すぎて運用先が大手企業に限られるので、色のある運営をしにくくなると言うのがその理由。でも逆に言うと、びっくりするほどの大失敗の可能性も小さいという事にある。良い意味でも悪い意味でも市場平均程度になるはず。手数料が掛かる分は当然マイナスの可能性が大きい。つまり平均的になるはずの巨大ファンドが市場平均より更に低い運用成績だった。

 設定当初1万円だった基準価額がどんどん下落し一番安い時には4千円位になり、通称1兆円ファンドの運用は大失敗、悲惨なものになった。それでは、日本戦略ファンドの販売サイドは、どの程度儲かったか考えてみる。まず販売手数料を3% 信託報酬を2%としましょう販売手数料と言うのは売る時に1回だけ取られる手数料。信託報酬と言うのは純資産総額から毎日引かれる、お金。

 信託報酬2%というのは年間に2%分取りますよという意味。まず販売手数料は3%。全部で1兆円分売ったので1兆円の3%3百億円の手数料がかかる。さらに純資産総額は1兆円から変わらないわけですから信託報酬は純資産総額の2%である2百億円かかりる。つまり、この投資家に大損をさせた投資信託を販売する事で業界としては初年度に5百億円も利益があった。

 一つの投資信託で5百億円は巨大な金額。しかも投資家にこれだけの損をさせているわけですから。そして注意したいのは信託報酬は、その後も支払われ続けるという点。基準価額が下がらなければ、2百億円、毎年入ってきます。実際には、解約が相次ぎ、基準価額も下がったので信託報酬は、ずっと少なくはなった。実際にN証券の1兆円ファンドの大失敗は、特別に目立った。

 その他の日本の巨大証券会社でも投資家の儲けは雀の涙で、自分達は規約通り、そのファンドが巨額になればなる程、黙っていても販売時3%、年間2%。つまり最初の時5%、その後も2%が、約束されている。こんな旨い商売は他にない。そのため現在の日本の金融機関のファンドは手数料の縮小競争を経て手数料が非常に小さく着実に利益を出す素晴らしいファンドが多くなったとも言える。

 2003年、3月22日発のケアンズ、ゴールドコースト、シドニー、パースの2週間の長期旅行を計画した。やがて、3月22日を迎えて、安田夫妻。その後、オーストラリアに向けて出発し、成田に17時過ぎにつき、20時半の飛行機でケアンズへへ、翌朝3月23日、5時前に到着して、そのまま、タクシーでホテルに入り休んだ。 

 朝9時に朝食をとり、ケアンズの中心街のエスプラネードを散策しエスプラネードラグーンは、巨大な人工のプールで、多くの人が、プールで泳いで楽しんでいた。その後、バスも利用して、ケアンズ・ボタニック・ガーデンへ行った。ここは、まさに熱帯植物の楽園で、広大な敷地内に多くの種類の美しい植物や珍しい植物が展示され、日本では見たこともないような種類を見つける事ができた、

 その後、安くて、たらふく食べられるシーフードレストランを観光案内所で聞くと、小さな半島の突端の庶民的なレストランを教えてもらい、多くのエビが入ったプレートと大きな伊勢エビ、牡蠣、魚の刺身をワインを飲みながら、十分に食べる事ができた。そして20時に、ホテルについた。翌、3月24日は、観光ツアーは、やめて、ポートダグラスへ行く事にした。

 ケアンズでレンタカーを借りて、ポートダグラスへ、約1時間、最初にフォーマイルビーチへ行き、美しいビーチを散策したがとにかく、このビーチは長い、4マイルと60Km以上あるそうだ。近くの高級リゾートホテル、シェラトンミラージュホテルを見学しヨットマリーナを見に行くと広大なマリーナに豪華大型ヨット型クルーザーが並んでいた。

 これからヨットクルーズに出かける人がエンジンをかける音がした。その後、マクロサン・ストリートのレストランで昼食をとった。近くの店で、お土産屋を見たりして、17時前にパームコーブを出発し18時に、ホテルに戻った。翌、3月25日は、ケアンズの、お隣のパームコーブのコンドミニアムを見て回ったが、パームコーブの方が、落ち着いた感じがした。

 長期滞在には適してると思われ、割安な料金で、十分な設備のコンドミニアムが数多くあった。そこにはキッチンのレンジ、オーブンもついていて、大きなソファーもあり、部屋の広さも日本のツインの数倍、百平米近くあった。近くのビーチにヤシの木の景色はよくあっていて素敵。ビーチ沿いのメインストリートであるウィリアムズ・エスプラネードには、オープンテラスのレストランやカフェが立ち並んでいた。

 ケアンズは、イタリア系移民が多く、エスプレッソが主流。どこに行ってもおしゃれなカフェで美味しいコーヒーが飲める様で、エスプレッソを大きなカップに入れて、生クリームをたっぷりとのせたウインナーコーヒーと、ショートケーキを食べた。そして、長期滞在には、ケアンズの町中のホテルよりも、断然、こちらの方が良いと感じた。
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