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15話:安田良介の死と新居

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 2003年は、2週間の春のオーストラリア旅行で、安田律子も有給休暇をとったので、夏は、家でエアコンをかけ静かにした。秋も箱根への温泉旅行に出かけた位。やがて12月を迎え、クリスマスの頃インフルエンザで学級閉鎖になる保育園、幼稚園、小中学校が増加。安田家でも十分注意していたが、安田武夫の父の安田良介80歳がインフルエンザにかかった。

 家の近くの大学病院の隔離病棟に入院し、その後、肺炎を併発し2004年1月6日亡くなった。母の安田節子73歳は、塞ぎ込んでしまいショックのあまり寝込んだ。しかし幸いなことに風邪を引く事もなく1週間ほどで回復した。すると息子の安田武夫に、ここの家も古くなって隙間風も入るし新しく建て替えなければいけないので、建て替えてもらえないだとろうかと言った。父の経営していた電気店も随分前から大型電気店の量販店に押されて昔からの付き合いのある家の電機製品の交換程度で、ほとんど儲けはなかったと打ち明けた。

 その話を聞いて安田武夫は、地元の知り合いの工務店で幼なじみの永井栄吉に聞くと、実は、うちの実家の工務店も独立した地元の工務店だけではやっていけず、ある建材メーカーの木造住宅部門の系列店になったと言った。木造2階建ての住宅のパンフレットを見せた、すると、意外と安いねと、安田武夫が言い一番大きいタイプの住宅はと聞いた。

 すると5LDKでリビング・ダイニング・キッチンで合計20畳と広いこれが得だと言った。そこで父が亡くなり自分の子供達はアメリカで生活していた。ただ73歳の母と夫婦の2人の3人で生活すると言った。永井栄吉に幼なじみのよしみで、母が昔の農家の人で多くの和服を持っているのと納屋に農具を始めガラクタがいっぱいあるので現在の古い農家を解体したいおと告げた。土地を整地し電気、上下水道を点検し見積もりをお願いした。

その翌朝、8時に、永井栄吉が、安田の実家に3人で来て、庭、納屋、解体工事の構想をたて、電気、ガス、水道の現状を調べて言った。3日後、電話がかかり、安田武夫が永井君の工務店の事務所に出向くと見積書を見せてくれた。電気、ガス、水道の交換と解体費用で5百万円。和室が1つの5LDKの家の新築費用が4.5千万円で合計5千万円と書いてあった。そして、タンスの部屋が欲しければ20畳のリビングを10畳にして10畳のタンス及び大きなクローゼット、物置が出来ると言った。

 そして、サービスとして2百万円相当のお風呂をサービスすると言ってくれた。部屋の間取りの案をいくつか考えて欲しいと安田が言うと、数日中に図面を持って、安田家を訪問すると言った。3日後の1月25日にやってきて、リビング以外に、和室に、もう2部屋作るとしたら8畳2部屋で約2百万円の追加費用がかかると言った。

 その20畳のリビングを10畳にし残り半分のタンス部屋・物置、クローゼットとし和室をもう一部屋でつくり合計5千万円で家を新築してくれるように注文を出し納屋に残ってる農機具、耕作道具の処分も手伝ってくれるようにお願いすると電話をかけまくった。その結果、中古品引き取り業者に来てもらうと言った。2月1日から、極力、急いで6月20日過ぎに完成予定だと言った。

 その間140日間は、奥さんの実家に住まわせてもらう様に奥さんが交渉し了解してもらった。4月15日、納屋にあった農機器具で修理して使えるものがありそうなので、処分料金は無料で、全部もっていく交渉が成立したと永井工務店から安田の所に電話が入った。そして駐車場の所のコンクリートを再度、作り直しと周りのフェンスも、取り替えた方が良いと、連絡があった。

 事情を聞くとフェンスは金網形式の簡素な物でコンクリートの費用がわからないから、できるだけ費用を抑え2百万円で収まるようにすると言った。その話を聞き了解し総額5千万円までに永井さんの頭で、これの付けた方が良いとか玄関、修理が必要なコンクリート、室外灯、ドアフォンなどよそそうな物を考えて欲しいと言うと了解ですと答えた。5月末になると、部屋が完成に、母が、和室8畳にベッドを置きたいと言った。

 了解と言うと母が喜んでくれ10畳の大きなクローゼットを見て感激した。やがて6月になり家は完成し外回りを残すだけとなり門扉をどれにするかとかフェンスの種類などを聞かれ決めていき、総額5千万円出してくれたから庭の一角に、あじさい、バラ、ツツジを植えてあげると言われ、お礼を言った。そして5月25日に完成して住み始めた。奥さんの実家から和箪笥も運び入れて5月27日に安田家の新築工事が全部終了。

 花壇まで作ってもらい母の安田節子さんが大喜びし涙を流して工務店の永井さんに深々と頭を下げた。その後、エアコン4台とガスコンロ、洗濯機、冷蔵庫、テレビ、ベッド3つ、車も買い換えを決めて1千万円かかり総合計6千万円の出費となった。安田武夫の資産残高が17200万円となった。そして新しいホンダ・アコードで5月7日、伊豆の伊東温泉と熱海温泉にドライブ旅行に出かけた。

 伊東温泉の海岸を散歩して、お風呂に入り、美味しい海の幸をいただきた。翌日は、熱海温泉に行き、熱海港、周辺を散策し、相模灘と初島を見ながら、温泉につかり、お世話になった、清水家の皆さんへ、お土産を買って帰って来た。翌日、清水家の人達を安田家に招待すると、清水律子さんお父さんの清水郁夫さんが、尾頭付きの鯛を持参して、祝ってくれ、早速、刺身と味噌汁にして、いただいた。
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