顔だけがいい私が転生してしまった。

1章

アイス

そして迎えた放課後、私は死ぬ様な思いをしながら、走って帰った。

え？告白の返事？
忘れた訳じゃないよ。ただ、返答に困って逃げてるだけ。

そんなの、決められる訳がない。
顔だけで判断されて告白されることは何回か合ったが、性格も癖も何もかも知られてる友人から告白されるのは初めてだ。

そんなの…分かんねぇし。


「あ、花咲。」

下駄箱前の廊下で優斗とすれ違ったが、無視して逃げた。

流石に優斗も予想していなかったらしく、目を点々とさせながら走って逃げる私を見ていた。


学校を出て、走って走って走った。
もう限界を越えた……。

学校が見えなくなったところで私は速度を落とした。


「死ぬかと思った…。ただいまぁー。」

そんな風にブツブツ言いながら、家の玄関を潜った。
辛かった…。


「お帰り、姉ちゃん。どうしたの？大丈夫？」

上目遣いでそう聞いてくるのは私の弟である涼太りょうた
可愛い可愛い私の弟である。


茶髪の髪、私と違って大きな可愛い茶色の目に母親に似た色白の肌。

私の母はイギリス人と日本人のハーフでとても綺麗だ。
勿論国籍は日本。
母と父は弟が生まれた時に離婚したらしく、父の姿は全くと言っていい程覚えていない。


まぁ、そんな事は置いといて
「アイス頂戴。」


「ダメだよ。姉ちゃん、朝食べてたでしょ。」

何故それを！！？
あ…アイス全部食べたから気づいたんだ。


「仕方ねーな。いいよ、買ってあげる。」

あ、優斗。
まじ？やったー！！

「優斗にぃ、姉ちゃんを甘やかしたらダメだよ。」

まぁまぁと優斗は涼太を宥める。

優斗とは昔からの付き合いなので、涼太は優斗のことを優斗にぃと読んでいる。可愛い。


ん？…ちょっと待て。


「なんで…居るの？」

少し遅いが、私の脳ミソは優斗の存在を把握して疑問に思った。
私…優斗より先に学校帰ったよね？


「優斗にぃ、姉ちゃんが帰ってくるずっと前から居たよ。」


え、なにそれ怖い。
私が遅いだけ？？
何こいつ怖いんですけど。


「お前、全力疾走した後は何時もより歩くの遅いだろ。俺はここまで全速力で来たから。」

ドヤっと効果音がつきそうな顔になり、胸を張った。
…こいつ、なんでそんなこと知ってるわけ？
怖い。


「さ、一華アイス買ってやるから行こーな。」

「優斗にぃごめんね、姉ちゃんをよろしく。」

流石弟。
素晴らしい程礼儀が良い。


そんなこんなで、私は優斗とコンビニへ向かうことになった。
アイスに吊られたとしても何故優斗の怪しい笑みに気づかなかったのか…。