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無限には
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カランカラン
「いらっしゃいませ。」
「薔薇紳士さんこんにちは。」
「こんにちはー。」
ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。今日のお客様はこの店のバイト、野咲いちごが連れてきました。このお店の常連さん、いちごと同じ学校に通う女子高生、東堂さゆりです。
「おや、いちご君、今日は早いですね。」
「はい、学校からでたらさゆりちゃんもここに来るって言うから、一緒に来たんですよ。」
「そんなわけなので一緒に来ましたー。」
「はい、いらっしゃいませ。いちご君、着替えてきたらどうですか?」
「あ、はい。さゆりちゃん、ごゆっくりですー。」
薔薇紳士は青春真っただ中の仲良し二人をみて、笑顔になりながら、いちごを更衣室に向かわせます。そしてさゆりがいつも飲んでいる紅茶の準備を始めました。
「いちご、いい子ですよねー。」
「ふふ、そうですね。さゆり様とも随分仲良さそうで。」
「え、本当?仲良く見える?最近仲良くなったばっかりなんですけど。」
「仲の良さは仲良くなった時間に比例するわけではないと、私は思いますよ。」
薔薇紳士の言葉にさゆりは耳を赤くして顔をそらしつつ、「紅茶早くください」とだけ言います。薔薇紳士もそれ以上は何も言わず、黙って紅茶を淹れます。薔薇紳士が紅茶を淹れている間、さゆりはいつものようにシュシュで髪を結い、鞄から勉強道具を取り出し、勉強を始めていると、着替え終わったいちごがフロアに戻ってきました。
「お待たせ様です。薔薇紳士さん、運びますよ。」
「お願いします。」
いちごは薔薇紳士から淹れたての紅茶を受け取ると、さゆりの前にコトリと置きました。
「はいどーぞ。勉強頑張っててさゆりちゃんは本当にすごいね。」
「ありがと。んー、確かに、勉強頑張ってるアタシ偉いって、自分でも思うようにしてる。メンタル強く持たなきゃだから。でもねー、勉強って本当に終わりがないねー。一つ壁を乗り越えてもまた新しい壁がエンドレスで出てくる感じ!本当に勉強って終わりの見えない無限って感じ。」
さゆりは持っていたペンを置き、淹れたばかりの紅茶をフーフーと冷ましながら飲みます。その様子を見ていた薔薇紳士はゆっくりと口を開きます。
「さゆり様、勉強お疲れ様です。差し出がましいようですが一言だけ、確かに勉強とは終わりの見えない無限のものかもしれません。ですがそれは同時に限界もないということではないでしょうか。限界がないからこそ、がむしゃらに頑張れる。だからこそ辛いものでもありますが、終わりがないからこそ、いつまでも上があるからこそ、限界がないからこそ、楽しいものだと私は思いますよ。そしてさゆり様がお辛くなって、気分を入れ替えたい時には、このお店はいつでも貴方を待っています。」
薔薇紳士はそれだけ言うと、さゆりのためにおかわ分の紅茶を淹れ始めました。さゆりは薔薇紳士の言葉には何も言いませんでしたが、耳は赤く、俯いた顔がにやけていることにいちごだけは気づきました。
「さゆりちゃん、自分もお客さん来るまで一緒に勉強していい?ほら、誰かに教えるとこで自分の身にもなるとか聞いたことあるよ。」
「マジ?いいよ、やろやろ。何か分からないとこあったら言って?」
「うん!」
そう言うと二人は他にお客さんが来るまでの間、にぎやかに、でも一生懸命に勉強をしたのでした。
おわりの見えないものというのは、怖いものかもしれません。でも限界がないからこそ、いつまでだって楽しめる。いつまでも上があるから、目指すべきものが見える。そう思えた方が、ほんの少し楽しく生きられると思いませんか。
「いらっしゃいませ。」
「薔薇紳士さんこんにちは。」
「こんにちはー。」
ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。今日のお客様はこの店のバイト、野咲いちごが連れてきました。このお店の常連さん、いちごと同じ学校に通う女子高生、東堂さゆりです。
「おや、いちご君、今日は早いですね。」
「はい、学校からでたらさゆりちゃんもここに来るって言うから、一緒に来たんですよ。」
「そんなわけなので一緒に来ましたー。」
「はい、いらっしゃいませ。いちご君、着替えてきたらどうですか?」
「あ、はい。さゆりちゃん、ごゆっくりですー。」
薔薇紳士は青春真っただ中の仲良し二人をみて、笑顔になりながら、いちごを更衣室に向かわせます。そしてさゆりがいつも飲んでいる紅茶の準備を始めました。
「いちご、いい子ですよねー。」
「ふふ、そうですね。さゆり様とも随分仲良さそうで。」
「え、本当?仲良く見える?最近仲良くなったばっかりなんですけど。」
「仲の良さは仲良くなった時間に比例するわけではないと、私は思いますよ。」
薔薇紳士の言葉にさゆりは耳を赤くして顔をそらしつつ、「紅茶早くください」とだけ言います。薔薇紳士もそれ以上は何も言わず、黙って紅茶を淹れます。薔薇紳士が紅茶を淹れている間、さゆりはいつものようにシュシュで髪を結い、鞄から勉強道具を取り出し、勉強を始めていると、着替え終わったいちごがフロアに戻ってきました。
「お待たせ様です。薔薇紳士さん、運びますよ。」
「お願いします。」
いちごは薔薇紳士から淹れたての紅茶を受け取ると、さゆりの前にコトリと置きました。
「はいどーぞ。勉強頑張っててさゆりちゃんは本当にすごいね。」
「ありがと。んー、確かに、勉強頑張ってるアタシ偉いって、自分でも思うようにしてる。メンタル強く持たなきゃだから。でもねー、勉強って本当に終わりがないねー。一つ壁を乗り越えてもまた新しい壁がエンドレスで出てくる感じ!本当に勉強って終わりの見えない無限って感じ。」
さゆりは持っていたペンを置き、淹れたばかりの紅茶をフーフーと冷ましながら飲みます。その様子を見ていた薔薇紳士はゆっくりと口を開きます。
「さゆり様、勉強お疲れ様です。差し出がましいようですが一言だけ、確かに勉強とは終わりの見えない無限のものかもしれません。ですがそれは同時に限界もないということではないでしょうか。限界がないからこそ、がむしゃらに頑張れる。だからこそ辛いものでもありますが、終わりがないからこそ、いつまでも上があるからこそ、限界がないからこそ、楽しいものだと私は思いますよ。そしてさゆり様がお辛くなって、気分を入れ替えたい時には、このお店はいつでも貴方を待っています。」
薔薇紳士はそれだけ言うと、さゆりのためにおかわ分の紅茶を淹れ始めました。さゆりは薔薇紳士の言葉には何も言いませんでしたが、耳は赤く、俯いた顔がにやけていることにいちごだけは気づきました。
「さゆりちゃん、自分もお客さん来るまで一緒に勉強していい?ほら、誰かに教えるとこで自分の身にもなるとか聞いたことあるよ。」
「マジ?いいよ、やろやろ。何か分からないとこあったら言って?」
「うん!」
そう言うと二人は他にお客さんが来るまでの間、にぎやかに、でも一生懸命に勉強をしたのでした。
おわりの見えないものというのは、怖いものかもしれません。でも限界がないからこそ、いつまでだって楽しめる。いつまでも上があるから、目指すべきものが見える。そう思えた方が、ほんの少し楽しく生きられると思いませんか。
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