薔薇紳士の興じ事

デスティニーって

　アルバイトは帰り、お店も閉まる夜。1人のお客様がやって来ました。

「こんばんは～。」

「あなたはいつも急に来ますね、シアン。」

お店にやってきたのは薔薇紳士の幼馴染、鬼灯シアンです。

「んふふ、紅茶が飲みたくなったノ。淹れてくれる？」

「仕方ありませんね。」

薔薇紳士はシアンのご希望通り、美味しい紅茶を淹れてあげます。

「はい、どうぞ。」

「ありがと♪...はぁー、これこれ。」

「貴方はいつも急に来ますが、お店が空いていなければどうするんですか？連絡をくれれば開けておきますよ。」

「ん？んー、いいノ。行きたいなって思った時にフラッと寄って、空いてたらデスティニーを感じるから♪」

シアンは楽しそうに笑って言います。

「そうですか。それなら構いませんが。」

「ねぇー、貴方もそう思わない？」

「そうですね...確かに、デスティニーは運命だと思いますよ。」
　
「んふふ、そう？って、そのままジャない！」

薔薇紳士のからかいに、シアンは素直に顔を赤くしてぷりぷりと怒ります。しかし、これも付き合の長い2人だからこその空気感、怒っていても楽しそうです。

「ふふ、失礼しました。お詫びにもう一杯いかがですか？」

「言われなくてもお願いするつもりだったワ！もう一杯下さイな。」

「かしこまりました。」


　紅茶を淹れている間も、おしゃべりを楽しむ時間。この日夜遅くまで喫茶店「Rose」の明かりはついていました。