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幸せなことがあると
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カランカラン
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませー。」
ここは悩みを抱えるお客様が来店される喫茶店。本日のお客様は男子高校生二人組です。
「おお~、結構いい感じの店じゃん!?」
「それなー。」
男子高校生は店の内装をキョロキョロと見渡すと、テンションを上げてカウンター席に座りました。
「店員さーん、オススメありますー?」
「当店のオススメは紅茶になってますー。」
「じゃ、それで。」
「俺もー。」
「かしこまりました。」
いちごは男子高校生の注文を聴き取ると、薔薇紳士はすぐに紅茶を淹れ始めました。
「あー、てかさ、雄大のやつ、あれマジだと思う?」
「マジじゃね?何か顔ガチっぽかったし。あーあ、ホントないわー。」
「?何かあったんですか?」
2人の会話を聞いて、いちごが口をはさみます。
「ん?なに、店員さん話聞いてくれんの?優しー。いやさ、俺らいっつも3人でいたわけよ。毎日毎日馬鹿やって楽しかったわー。でもアイツ、あー雄大ってやつなんだけど、そいつが大学受験するからもう遊べないとか突然ぬかしやがってさ。」
「大学受験...お客様高校生ですよね?何年生ですか?あ、あと名前聞いても?」
「あ、俺は高橋晃、こっちは中原幸樹な。いやそう聞いてよ、俺らまだ二年生なんだぜ!?そりゃ3年とかなら進路とか考え出すんだろうけどさー。」
「そうそう。2年のこのタイミングって、なんか都合のいい理由付けて俺らと縁切ろうとしてんのかなとか思うわけよ。そりゃ確かに俺ら馬鹿な部類だけどよ、それでも毎日楽しく幸せにやってたんだぜ?ホントあいつないわ。」
2人は不満たらたら、と言った感じに愚痴ります。いちごは雄大と呼ばれる人がどんな人なのか分からないのでうかつなことは言えません。ただ「そうなんですね」とだけ返します。
「高橋様、中原様、紅茶入りましたので、まずはこちらをどうぞ。」
「あ、ありがとーございまーす。」
「ざっす。」
2人は薔薇紳士から紅茶を受け取ると、ごくごくと飲み始めました。そんな2人を見て、薔薇紳士はゆっくりと口を開きます。
「お2人とも、3人で過ごす時間が幸せだったのですね。」
「ん?そりゃそうっスよ。本当に仲良かったんですから。」
「マジでマブダチだと思ってたんすよ。」
「幸せなことがあるとハッピーだった。でもその幸せが壊れたから憤りを感じているんですね。では、雄大様はどうなのでしょう。3人でいる時間は雄大様にとっても幸せな時間ではなかったのでしょうか、無理をしていたのでしょうか。」
「いや、アイツもガチで楽しそうだったけど...。」
「そうですか。それなら雄大様も、お2人との時間を自ら断つのは心苦しかったのではないでしょうか。そして、理由があれお2人と距離を置くのなら何も言わずにしれッと離れていくことも可能なのに、真正面から理由を伝えることを選んだ雄大様の御気持ちはどのようなものだったのでしょうか。お2人に遺憾が残っているのであればもう一度、3人で話をする機会を設けるのが良いかと私は思います。出過ぎた真似を。」
薔薇紳士の言葉を黙って聞いていた晃と幸樹は黙って目を合わせると、スマホをポチポチといじり出しました。そして顔を上げると、
「雄大、ここに呼んでもいいっスかね?」
薔薇紳士に問います。
「もちろん、お待ちしております。」
薔薇紳士は笑顔で答えました。
幸せな時間の終わりを迎えた時、人は誰だって不満を抱きます。ですが、そんな気持ちとどう向き合うか。いつまでも不満な気持ちのままでいるのか、時間が解決してくれるのを待つか、自分なりに消化していくのか。その選択が大事なのです。
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませー。」
ここは悩みを抱えるお客様が来店される喫茶店。本日のお客様は男子高校生二人組です。
「おお~、結構いい感じの店じゃん!?」
「それなー。」
男子高校生は店の内装をキョロキョロと見渡すと、テンションを上げてカウンター席に座りました。
「店員さーん、オススメありますー?」
「当店のオススメは紅茶になってますー。」
「じゃ、それで。」
「俺もー。」
「かしこまりました。」
いちごは男子高校生の注文を聴き取ると、薔薇紳士はすぐに紅茶を淹れ始めました。
「あー、てかさ、雄大のやつ、あれマジだと思う?」
「マジじゃね?何か顔ガチっぽかったし。あーあ、ホントないわー。」
「?何かあったんですか?」
2人の会話を聞いて、いちごが口をはさみます。
「ん?なに、店員さん話聞いてくれんの?優しー。いやさ、俺らいっつも3人でいたわけよ。毎日毎日馬鹿やって楽しかったわー。でもアイツ、あー雄大ってやつなんだけど、そいつが大学受験するからもう遊べないとか突然ぬかしやがってさ。」
「大学受験...お客様高校生ですよね?何年生ですか?あ、あと名前聞いても?」
「あ、俺は高橋晃、こっちは中原幸樹な。いやそう聞いてよ、俺らまだ二年生なんだぜ!?そりゃ3年とかなら進路とか考え出すんだろうけどさー。」
「そうそう。2年のこのタイミングって、なんか都合のいい理由付けて俺らと縁切ろうとしてんのかなとか思うわけよ。そりゃ確かに俺ら馬鹿な部類だけどよ、それでも毎日楽しく幸せにやってたんだぜ?ホントあいつないわ。」
2人は不満たらたら、と言った感じに愚痴ります。いちごは雄大と呼ばれる人がどんな人なのか分からないのでうかつなことは言えません。ただ「そうなんですね」とだけ返します。
「高橋様、中原様、紅茶入りましたので、まずはこちらをどうぞ。」
「あ、ありがとーございまーす。」
「ざっす。」
2人は薔薇紳士から紅茶を受け取ると、ごくごくと飲み始めました。そんな2人を見て、薔薇紳士はゆっくりと口を開きます。
「お2人とも、3人で過ごす時間が幸せだったのですね。」
「ん?そりゃそうっスよ。本当に仲良かったんですから。」
「マジでマブダチだと思ってたんすよ。」
「幸せなことがあるとハッピーだった。でもその幸せが壊れたから憤りを感じているんですね。では、雄大様はどうなのでしょう。3人でいる時間は雄大様にとっても幸せな時間ではなかったのでしょうか、無理をしていたのでしょうか。」
「いや、アイツもガチで楽しそうだったけど...。」
「そうですか。それなら雄大様も、お2人との時間を自ら断つのは心苦しかったのではないでしょうか。そして、理由があれお2人と距離を置くのなら何も言わずにしれッと離れていくことも可能なのに、真正面から理由を伝えることを選んだ雄大様の御気持ちはどのようなものだったのでしょうか。お2人に遺憾が残っているのであればもう一度、3人で話をする機会を設けるのが良いかと私は思います。出過ぎた真似を。」
薔薇紳士の言葉を黙って聞いていた晃と幸樹は黙って目を合わせると、スマホをポチポチといじり出しました。そして顔を上げると、
「雄大、ここに呼んでもいいっスかね?」
薔薇紳士に問います。
「もちろん、お待ちしております。」
薔薇紳士は笑顔で答えました。
幸せな時間の終わりを迎えた時、人は誰だって不満を抱きます。ですが、そんな気持ちとどう向き合うか。いつまでも不満な気持ちのままでいるのか、時間が解決してくれるのを待つか、自分なりに消化していくのか。その選択が大事なのです。
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