薔薇紳士の興じ事

世万江生紬

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星を見上げる度にいつも思う

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 カランカラン

 「いらっしゃいませ。」

「いらっしゃいませ~。」

 ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。本日のお客様hこの店の常連、新人作家の夏目莇です。

「莇さん。今日はちょっと静かですね。何かあったんですか?」

「僕はいつもうるさいのかい?」

「八割くらいはテンションがおかしいですよ。」

「そうか。でも今日はちょっと落ち込んでいる、と言うか煮詰まっててね。気分転換に来たのだよ。」

「そうなんですね。じゃあ紅茶飲んでリフレッシュしてください。」

「そうするよ。」

莇はそう言うと、薔薇紳士の淹れた紅茶をゆっくりと飲みました。

「はぁ...あったまるね。」

「最近寒いですもんね。」

「本当だよ、寒いからすぐに日が落ちる。でもね、いちごちゃん、僕は日がすぐ落ちるのも嫌いじゃないよ。星を見上げるのが好きだからね、ちょっと落ち込んだ時も星を見るんだ。」

「確かに、夜空の星って綺麗ですよね。」

「それももちろんあるけどね。星って見上げないと見えないから、星を見上げる度に、上を向いてるなって思えるから星を見るんだ。」

「莇さん...作家みたいなこと言いますね...!」

「僕作家だよ!?はっ!思いついた!」

莇はいちごの言葉に、何かをひらめいたように顔を輝かせました。

「あぁ!さっきまで落ち込んでいたのが嘘のように、今の僕の心の雲が澄み渡っている!いちご君ありがとう!これでまたかけそうだ!」

「え、自分何もしてないですけど...。元気になったなら良かったです。...と言うかうるさ!」


 いつもの調子にもどった莇のテンションにいちごは辟易しながらどこか嬉しそうです。そしてそんないつも通りの2人の様子を見ながら、薔薇紳士も嬉しく思うのでした。
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