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2章
第6話 新人じゃないホストは見てわかる
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ソファに座り、缶チューハイをちびちび飲んでいると、レオくんはニッコリ微笑んで話しかけてきた。
「カモちゃんはホスト初めてだけど、ココ来る前にホストのこと予習してくれたんだよね?」
「あ、うん。お店のメンツを暗記して、SNSとかも一通り確認して、ホスト用語も調べて、就活ばりの予習をしてきた。」
真面目にそう答えると、隣にいた後輩ホストは目を丸くして驚愕した。
「やば。そんなお客、初めて聞いた」
「何か不安で」
ただでさえ初めての場所に足を踏み入れるのは、緊張するのに特殊な夜の世界へとなると予習しても不安しかなかった。
後輩ホストくんは笑った。
「不安の解消方法独特っすね。」
「そうかな?」
「じゃあ何か珍しいホスト用語とかありました?」
「あ、そうですね…」
(ホスト用語はどれも私には珍しいけど、彼女の種類とか、色恋営業系…はホスト本人達に言うのは気まずすぎるか…。エレチューとかも)
※お店を出たお見送りのエレベーターの中でキスする色恋営業テクニック。
(さすがに言えないな…)
頭の中で様々なホスト用語が駆け巡る中、絞り出したのは……
「……ラスソン…とか?」
せいぜいそれが限界だった。
※ラスソン…その日の売り上げトップのホストが最後に好きな歌を歌えるという、ホストクラブならではの文化。ラストソングの略。
レオくんは「先輩の姫に挨拶してくるから、ちょっとの間待ってて!」と言い残し、後輩ホストと一緒にどこかへ行ってしまった。
(不安がマックスなんですが!?)
一人取り残され、心臓はドキドキと音を立てていた。
そんな時、不意に低い声が頭上から降ってきた。
「いらっしゃいませ。席よろしいですか?」
顔を上げて面食らった。
(ど……どえらいイケメンがやってきた!)
実のところ、お店に入った時、店内をざっと見回して、正直「あれ?案外ホストの人たちって、テレビに出る芸能人みたいなイケメンは少なくて、普通っぽいお兄さんばっかりなんだな」と思っていた。
まあ、ここは東京の超有名店というわけではないホストクラブだ。
そんなものなのかもしれない、と納得していたのだ。
しかし、今、自分のテーブルにやってきて、にこやかに微笑んでいるこのホストは、第一印象で(カッコ良っ!)と思わずにはいられなかった。
暗がりの照明の下でよくよく見れば、顔の造形自体は確かに普通の若い男性なのかもしれない。
それでも、彼の醸し出す落ち着いた雰囲気、スマートな立ち振る舞い、そして何よりも自信に満ち溢れたオーラが、『漢!』という強烈な存在感を放っており、有無を言わさずその格好良さに説得されてしまったのだ。
「カモちゃんはホスト初めてだけど、ココ来る前にホストのこと予習してくれたんだよね?」
「あ、うん。お店のメンツを暗記して、SNSとかも一通り確認して、ホスト用語も調べて、就活ばりの予習をしてきた。」
真面目にそう答えると、隣にいた後輩ホストは目を丸くして驚愕した。
「やば。そんなお客、初めて聞いた」
「何か不安で」
ただでさえ初めての場所に足を踏み入れるのは、緊張するのに特殊な夜の世界へとなると予習しても不安しかなかった。
後輩ホストくんは笑った。
「不安の解消方法独特っすね。」
「そうかな?」
「じゃあ何か珍しいホスト用語とかありました?」
「あ、そうですね…」
(ホスト用語はどれも私には珍しいけど、彼女の種類とか、色恋営業系…はホスト本人達に言うのは気まずすぎるか…。エレチューとかも)
※お店を出たお見送りのエレベーターの中でキスする色恋営業テクニック。
(さすがに言えないな…)
頭の中で様々なホスト用語が駆け巡る中、絞り出したのは……
「……ラスソン…とか?」
せいぜいそれが限界だった。
※ラスソン…その日の売り上げトップのホストが最後に好きな歌を歌えるという、ホストクラブならではの文化。ラストソングの略。
レオくんは「先輩の姫に挨拶してくるから、ちょっとの間待ってて!」と言い残し、後輩ホストと一緒にどこかへ行ってしまった。
(不安がマックスなんですが!?)
一人取り残され、心臓はドキドキと音を立てていた。
そんな時、不意に低い声が頭上から降ってきた。
「いらっしゃいませ。席よろしいですか?」
顔を上げて面食らった。
(ど……どえらいイケメンがやってきた!)
実のところ、お店に入った時、店内をざっと見回して、正直「あれ?案外ホストの人たちって、テレビに出る芸能人みたいなイケメンは少なくて、普通っぽいお兄さんばっかりなんだな」と思っていた。
まあ、ここは東京の超有名店というわけではないホストクラブだ。
そんなものなのかもしれない、と納得していたのだ。
しかし、今、自分のテーブルにやってきて、にこやかに微笑んでいるこのホストは、第一印象で(カッコ良っ!)と思わずにはいられなかった。
暗がりの照明の下でよくよく見れば、顔の造形自体は確かに普通の若い男性なのかもしれない。
それでも、彼の醸し出す落ち着いた雰囲気、スマートな立ち振る舞い、そして何よりも自信に満ち溢れたオーラが、『漢!』という強烈な存在感を放っており、有無を言わさずその格好良さに説得されてしまったのだ。
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