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4章
第12話 ホス狂の素質があると言われても仕方ない
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レオくんにシャンパンをおろすように頼まれた私。
過去の来店は数えるほどで、いつも水しか頼んでいない。
唯一アルコールを口にしたのは、最初の初回特典の缶チューハイだけだ。
しかし、ホストクラブといえば……やはりシャンパンコールが名物と言っても過言じゃないだろう。
「イベントではシャンパンおろして、盛大なシャンパンコールをしたいんだ!」
「なるほど、いいよ」
意外にもあっさりと答えてみせた。
「いいの!?」
レオくんはまたも目を丸くして驚いた。
「実はシャンパンコール、一回ぐらいやってみたかった。せっかくだから」
私は例のごとく、事前にネットでシャンパンについて調べまくっている。
数万円のシャンパンもあるが、シャンパンコールをしてもらうには、もう少し高額なボトルが必要らしい。
レオくんの店の場合、店舗オリジナルのシャンパン、通称オリシャンが15万円前後で、シャンパンコールをお願いできる最低ラインだと判明済みだ。
「年に一回ぐらいの買い物のつもりで…いいよ。15万のシャンパン」
(まぁ……いざとなったら、貰った指輪を売ろう)
なんて彼女にあるまじき考えをしていたら、レオくんはなぜか黙り込んでいる。
「レオくん?」
「今回のイベントでは、50万のボトルシャンパンをおろしてほしい」
「来店の時といい、即答する時に限って調子乗って上乗せ要求してくるやんけ。リアル大乱闘スマッシュ●ラザーズしてやろうか?」
私の脳内で、ゲームの乱闘シーンが繰り広げられる。
レオくんは負けじと詰め寄ってきた。
「お願い!俺、このイベントに賭けてるんだ!最近、ホ⚫︎ラブ(※夜職専用のネット掲示板)で昔の客が暴れてて、あることないこと暴露して他の客も切れてピンチなんだよ!もう俺にはカモちゃんしかいないんだ!」
余談だが、ホスラブで昔の客が暴れているのは本当らしいが、「客が切れた」というのはどうやら嘘のようだった。ホストって怖いね!
「だから15万じゃなくて、50万をお願いしたい!カモコちゃんに無理させたくないから、数千万数百万じゃなくて、50万でいいから!」
「ホスト界隈の単価で安いんか知らんが、50万もしんどいわい。いや、15万でも充分しんどいねん。感覚バグってんのかホスト」
「お願い!一生のお願い!!これが最後だから!」
「100万回聞いた言葉。私、一番最初の『一回だけ』を易々と約束破られたことも、実はだいぶ根に持ってる。一生許さんぞ」
「つまり俺とカモちゃんは一生一緒にいれるってことだね!ありがとう!」
「何その逆転の発想みたいなの。ちょっと何言ってるんかわかんない」
レオくんは私のツッコミになんのそので、キラキラとした目と困り眉のキメ顔で私を見つめてくる。
(くそ…カモになる覚悟なんて、やっぱり私には無理なの?レオくんの笑顔が見たいのは本当だけど、その決断で私がモヤモヤして人生つまんなかったら意味がない!)
深く息を吸い込んだ。
「よし、わかった。金額について話し合っても、このまま平行線になる。うだうだと無駄な時間は私も過ごしたくない。だから…」
「だから?」
レオくんが固唾を飲んで見守る中、私は覚悟を決めたように真剣な顔つきでレオくんに言った。
「コイントスで決めよう!表ならレオくんの勝ち!裏なら私の勝ち!」
レオくんは後に語った。「カモちゃんも実は割とクレイジーな人だな…」って。
過去の来店は数えるほどで、いつも水しか頼んでいない。
唯一アルコールを口にしたのは、最初の初回特典の缶チューハイだけだ。
しかし、ホストクラブといえば……やはりシャンパンコールが名物と言っても過言じゃないだろう。
「イベントではシャンパンおろして、盛大なシャンパンコールをしたいんだ!」
「なるほど、いいよ」
意外にもあっさりと答えてみせた。
「いいの!?」
レオくんはまたも目を丸くして驚いた。
「実はシャンパンコール、一回ぐらいやってみたかった。せっかくだから」
私は例のごとく、事前にネットでシャンパンについて調べまくっている。
数万円のシャンパンもあるが、シャンパンコールをしてもらうには、もう少し高額なボトルが必要らしい。
レオくんの店の場合、店舗オリジナルのシャンパン、通称オリシャンが15万円前後で、シャンパンコールをお願いできる最低ラインだと判明済みだ。
「年に一回ぐらいの買い物のつもりで…いいよ。15万のシャンパン」
(まぁ……いざとなったら、貰った指輪を売ろう)
なんて彼女にあるまじき考えをしていたら、レオくんはなぜか黙り込んでいる。
「レオくん?」
「今回のイベントでは、50万のボトルシャンパンをおろしてほしい」
「来店の時といい、即答する時に限って調子乗って上乗せ要求してくるやんけ。リアル大乱闘スマッシュ●ラザーズしてやろうか?」
私の脳内で、ゲームの乱闘シーンが繰り広げられる。
レオくんは負けじと詰め寄ってきた。
「お願い!俺、このイベントに賭けてるんだ!最近、ホ⚫︎ラブ(※夜職専用のネット掲示板)で昔の客が暴れてて、あることないこと暴露して他の客も切れてピンチなんだよ!もう俺にはカモちゃんしかいないんだ!」
余談だが、ホスラブで昔の客が暴れているのは本当らしいが、「客が切れた」というのはどうやら嘘のようだった。ホストって怖いね!
「だから15万じゃなくて、50万をお願いしたい!カモコちゃんに無理させたくないから、数千万数百万じゃなくて、50万でいいから!」
「ホスト界隈の単価で安いんか知らんが、50万もしんどいわい。いや、15万でも充分しんどいねん。感覚バグってんのかホスト」
「お願い!一生のお願い!!これが最後だから!」
「100万回聞いた言葉。私、一番最初の『一回だけ』を易々と約束破られたことも、実はだいぶ根に持ってる。一生許さんぞ」
「つまり俺とカモちゃんは一生一緒にいれるってことだね!ありがとう!」
「何その逆転の発想みたいなの。ちょっと何言ってるんかわかんない」
レオくんは私のツッコミになんのそので、キラキラとした目と困り眉のキメ顔で私を見つめてくる。
(くそ…カモになる覚悟なんて、やっぱり私には無理なの?レオくんの笑顔が見たいのは本当だけど、その決断で私がモヤモヤして人生つまんなかったら意味がない!)
深く息を吸い込んだ。
「よし、わかった。金額について話し合っても、このまま平行線になる。うだうだと無駄な時間は私も過ごしたくない。だから…」
「だから?」
レオくんが固唾を飲んで見守る中、私は覚悟を決めたように真剣な顔つきでレオくんに言った。
「コイントスで決めよう!表ならレオくんの勝ち!裏なら私の勝ち!」
レオくんは後に語った。「カモちゃんも実は割とクレイジーな人だな…」って。
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