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5章
第18話 エレチュー亜種とかふざけんなよ
しおりを挟む「はい、お客様おかえりです!」
店中のホストたちの、揃った「ありがとうございました!」という声のシャワーを浴びながら、私はホストクラブを後にした。
店の外まで、レオくんが見送りに来てくれた。
「今日は本当にありがとう!」
満面の笑みだ。
「卸したボトルは大事に保管するからね!また次にお店に来た時にテーブルに置いたら、絶対可愛いから、楽しみだね」
「……」
すごくナチュラルに、次の来店を前提とした会話をするレオくん。その言葉に、テンションは急降下した。
「……」
「……」
気まずい沈黙が流れる中、レオくんは急に私に近づき、軽いキスを落とした。
「……」
「……えへへ」
エレベーターの中ではないけれど、これは間違いなくエレベーター内で行われるという、ホストの色恋営業テクニック『エレチュー』の亜種だ。
私の気持ちが冷めているのを察知して、繋ぎ止めようとキスしてくるなんて。
なんて教科書通りのホストなんだろう。
「……これが、私のファーストキス…」
レオくんは期待を込めた表情で尋ねた。
「嬉しい?」
「嬉しくない!帰る!!」
「えぇ!?」
本気で驚いた顔をするレオくんを置いて、足早に家路についた。
その間、スマホには信じられないほどの着信とメッセージが届いていた。
画面を埋め尽くすレオの名前。
心は、冷え切っていた。
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