箱入りの魔法使い

しゅん

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転入生

それでも

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「私はお前の──」

「もしそれが本当だとしても、今の僕には関係ないよ、ひとつ言いたいのは僕はあなたの事を責める気は無いよ」

「許す、というのか?」

「そうでも無い、だけど今に集中したいんだ、今の方が大事だから」

そう言うとアイロニーは目を少しだけ濡らして、ある事を言った。

「アヴを手懐ける方法は二つ、AとBのどちらかだ、どちらかしか教えない」

なぜ両方教えてくれないのかとケチだなぁと思いつつも急ぐ身なのでなりふり構ってはいられない。

「Aで」

「うむ、お前のアヴと対等になるというのはいい考えだが、それではさっきの二の舞だ。簡単な話、アヴを力でねじ伏せれば良いのだ」

この精神世界の空いっぱいに舞っているアヴ。

こちらの事は眼中にもないだろう。

「アヴと戦えって事ですか」

「それもありだが、理解し合うことが大切だ」

説明が下手なのかわざとやっているのか、いちいち回りくどく言ってくる。

確かにそれなら考えがある。

アヴは強いものに惹かれる。

今戦っているだろうウラマより強い力を見せれば良い。

「アイロニー、少し離れて」

使用するのは四大元素魔法、何故だろうこの場所だと魔力の消費量が少なくて済むのは。

更に、更に魔力を増加させてゆく。

そして遂に。

「ナカナカタノシマセテクレルヨウダ」

「そうだ、僕の一撃を食らって考えを改めるんだな!」

アヴの一撃と僕の一撃がその空間を支配した。

───

「なんだ、つまんないの」

目の前にあるのは血まみれのサフィ。

もちろん返り血などではなく、全て彼女のものだ。

「ハァ...ハァ」

彼女は帰ろうとした僕の足に鎖を巻いてきた。

「見逃してあげようと思ったのに、バカな人」

「あんたナツの弟でしょ、やつに頼まれたの?」

「さぁね、君と話すのはめんどくさいよ、さっさと死にな」

その時に僕は見えたのだ。

何かが僕を殺しに来ていることに。

そしてその予想は当たる。

「バレてなかったはずだが...?」

「存在感が汚いからバレバレだよ、その感じ元魔王軍って所?その娘と繋がりあんの?」

「ワタシはに仕えるまで」

「きも」

全く知らない誰かに間に入られて、何とか助かったと思い、サフィは目を閉じた。

───

「スコシキイタナ」

ぼくの最大出力の魔法を当ててもアヴはピンピンしていた。

「オレハマダハンブンシカチカハヲダシテナイゾ、ノコリノハンブンハゲンジツセカイデツカッテイルカラナ」

ここまで圧倒的になるとこちら側はやる気をなくしそうになる。

「いや、まだだ、何度でも打ち込んでやるよ」

僕はまた四大元素魔法を作り始めた。

「オモシロイ...」
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