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20話 同じ召喚者として

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 私は小屋の戸をトントンと叩き、戸に向かって口を開く。
「ねぇ、少しだけでいいの、聞いて。きっと、あなたは誰も石になんかしたくなかったんだよね? 今のあなたを見たらそうなのかなって思う。無理矢理そうさせられて、こんなところに独りぼっちでいたんだとしたら、すごく可哀想で、私……」

 私はそこまで言うと涙が堪えられなくなり、言葉に詰まった。

 すると、弱々しい声でこう返ってくる。
「いやなのに、バルドおじさんの言うこときかなきゃだめだった。いやだって思っても手が勝手にうごいて、みんなどんどん石になっちゃった」

 それを聞いて、エドが私に続く。

「僕は、ローレンツ王家のエドワード・ローレンツと言います。正直僕は、あなたのことを化物だと悪く言ってしまっていました。ですが、この召喚者であるエマと出会い、召喚者も僕らと同じ人間なんだと痛感……えっと、すごくそう思いました。今のあなたもそうです。あなたは僕らと同じ人間だ。どうか、僕らに当時の本当の話をもっと聞かせてほしい」

 更にノエルが続く。
「俺は元ローレンツ王国の騎士団長の息子のノエル・ガルディウスという。俺の親父とおふくろ……あー、えっと、“パパとママ”は石になって、その後兵士に粉々に砕かれた。お前のせいだって思っちまってた。でもお前はさっき石にするのは嫌だったって言った。ごめんな。お前のせいにして本当にごめん」

 私は涙を拭い、再び彼女に呼びかける。
「私は同じ召喚者としてあなたに寄り添いたい。力になれることがあったら力になりたい。そうだ、私、色んなものが作れるの。ハサミ作って、あなたの髪を綺麗に整えてあげる。ドレスも、新しいドレスを作ってあげる。どうかな、ここ、開けてもらえないかな……」

 しばらく沈黙が続くと、静かに戸が開いて彼女がそこからこちらを覗いていた。

「あたしのおうち、入っていいよ……」

「本当に!? ありがとう!」
「ありがとうございます!」
「ありがとな!」

 私たちはそれぞれお礼を言って、中へと入る。

 そこは、ひどい臭いにそこら中に蜘蛛の巣やホコリが積もった地獄のような場所だった。

「うっ……」
 思わず口を塞ぐ3人。

「よし、まずはお部屋を綺麗にしよう!」

 私の一言で2人も進んで動き出し、私がクラフトした掃除道具でテキパキと掃除していく。小屋の壁もクラフトで同じものを作り直し、木彫りのくまの置物なんかを作ってみると、彼女は大喜びしていた。

 そして彼女は“ユカリ”という名前だと教えてくれた。
 部屋がきれいになると、仮設のシャワールームを設置して、髪を肩の辺りからバサッと切り落とし、全身を綺麗に洗ってあげた。

 そして新しくドレスをクラフトして、新品のドレスをユカリに着せてあげた。
 すると、痩せこけてはいるものの、会ったときとはまるで別人の綺麗な女性へと大変身をした。

 部屋で待っていたエドとノエルも生まれ変わった彼女を見るなり大賞賛しており、彼女も大喜びだった。

 そして皆でテーブルにつき、ハーブティーを淹れると、ユカリの話を聞くことになった。


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