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25話 思わぬ来客
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皆でわいわい朝食を取っていると、男性陣がある気配を感じ取り、揃って立ち上がる。
「この気配は……!」
と、オスカー。
「みんなしてどしたの? 誰か来た?」
私も立ち上がって窓の外を確認してみると、海岸に大きな船が停泊するところであった。
「おふね? ユカリのこと捕まえにきた?」
ユカリも一緒になって窓の外を眺め、そう不安そうに尋ねてくる。
「大丈夫ですよユカリ。あの魔導船は、僕の兄さんの船です」
エドはそう言って彼女の頭を撫でていた。
「お兄さん……ハンス候爵様だ?」
その私の問に対し、オスカーがうんとうなずく。
「俺のもう一人の弟だ……って、あの方は……お、おい、ノエル!」
魔導船という船からは全部で5人の人が降りてきた。オスカーはその内の誰かを見てそう血相を変えて叫び、ノエルの方を見る。
「……あぁ……」
ノエルだけは窓の外を見ずにうつむいてブルブルと震えていた。
「ノエル、どうしたの……?」
うつむいたまま震えるノエルを覗き込むと、彼の顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「ノエル!?」
「親父とおふくろの気配がするんだ……マジでいるんだよな……?」
ノエルはぐちゃぐちゃの顔のままオスカーの方を向く。
確かノエルのご両親は、石にされて粉々に砕かれたはずだ。
「あぁ、見てみろよ。あの頃の凛々しいお姿のまま元気にこちらに向かってくるぞ」
オスカーはそう言って彼を窓の方へと手招きした。
ノエルはなかなか窓を見ようとしないので、私はそっと彼の背中を押して窓際へと誘導した。
「うあぁぁぁぁっ!」
その瞬間彼はその場に崩れてわんわんと泣き出す。
しかし外の彼らが別荘に着く頃には、無理矢理にも泣きやんで元気な素振りを見せていた。
ノエルが泣きやんだのを確認すると、オスカーが玄関の扉を開けて彼らを招き入れた。
そして、皆それぞれの再開を喜び、あちこちで抱き合う。
私とユカリはその間にお客様へのハーブティーの用意をしていた。
⸺⸺
それぞれの再開が済んだところで、まずはオスカーが私とユカリへ紹介をしてくれる。
「俺の弟、ハンス・ローレンツ候爵だ。そしてこちらが母上のイザベラ・ローレンツ。今はハンスの屋敷で暮らしている。母上、ハンス、彼女が最近召喚されたエマ……エリザベスはドム王子が勝手につけた偽名だ。そして20年前に召喚されたユカリだ」
私たちはそれぞれ初めましてと挨拶をしながら固い握手を交わす。
そして、次にノエルが口を開いた。
「俺の親父のダニエル・ガルディウス、そしておふくろのバーバラ・ガルディウス。元ローレンツ王国の騎士団長と副騎士団長だ。んで……このガキはレベッカ・オルコット……つーかなんでお前まで来んだよ?」
「せっかく会いに来てあげたのにそんなこと言わなくたっていいじゃない、泣き虫ノエル坊や」
レベッカと呼ばれた少女はベーッと舌を出す。
「俺はもう坊やじゃねぇ今はてめぇの方がずっとガキだからな?」
「あんたたち邪魔だよお退きっ!」
バーバラさんによってノエルとレベッカはぽいっと部屋の隅に追いやられる。それでも彼らはそのままガミガミ言い合っていた。
やれやれとため息をついて私たちへ謝りながら、ダニエルさんとバーバラさんも挨拶をしてくれた。
「あの……ユカリ……石にしてごめんなさい……」
ユカリはそう言ってうつむきモジモジしている。
そんなユカリをバーバラさんはキツく抱きしめた。
「あたしのね、石になる瞬間の最後に見たのは、小さいあんたの泣き顔だったんだよ。無理矢理あんなことさせられて可哀想に。辛かったね」
「ユカリのこと……怒ってないの?」
涙をためながらそう尋ねる彼女へ、ダニエルさんが優しく答える。
「怒ってなどいるものか。むしろ感謝しているよ。だって君が僕らを元に戻してくれたんだろう?」
「ユカリ分かんない……」
「あれ? 違うのかい? もしかしてエマちゃんの方かい?」
と、バーバラさん。
「いえ、ユカリで合ってると思います。でも厳密に言うと、ユカリのもう1つの人格です。彼女は力を使うとユカリの中から消えていったみたいです」
そう私が答えると、2人は「なるほどねぇ」と納得していた。
「さて……ノエルたちは放っておいて、色々と情報の共有をしようか」
と、オスカー。
「そうだね兄さん。1番最後でいいからこの立派な城の話もしてくれよ?」
そう返事を返すハンスさんに対し、私とオスカーは苦笑いをしてとりあえず誤魔化した。
「この気配は……!」
と、オスカー。
「みんなしてどしたの? 誰か来た?」
私も立ち上がって窓の外を確認してみると、海岸に大きな船が停泊するところであった。
「おふね? ユカリのこと捕まえにきた?」
ユカリも一緒になって窓の外を眺め、そう不安そうに尋ねてくる。
「大丈夫ですよユカリ。あの魔導船は、僕の兄さんの船です」
エドはそう言って彼女の頭を撫でていた。
「お兄さん……ハンス候爵様だ?」
その私の問に対し、オスカーがうんとうなずく。
「俺のもう一人の弟だ……って、あの方は……お、おい、ノエル!」
魔導船という船からは全部で5人の人が降りてきた。オスカーはその内の誰かを見てそう血相を変えて叫び、ノエルの方を見る。
「……あぁ……」
ノエルだけは窓の外を見ずにうつむいてブルブルと震えていた。
「ノエル、どうしたの……?」
うつむいたまま震えるノエルを覗き込むと、彼の顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「ノエル!?」
「親父とおふくろの気配がするんだ……マジでいるんだよな……?」
ノエルはぐちゃぐちゃの顔のままオスカーの方を向く。
確かノエルのご両親は、石にされて粉々に砕かれたはずだ。
「あぁ、見てみろよ。あの頃の凛々しいお姿のまま元気にこちらに向かってくるぞ」
オスカーはそう言って彼を窓の方へと手招きした。
ノエルはなかなか窓を見ようとしないので、私はそっと彼の背中を押して窓際へと誘導した。
「うあぁぁぁぁっ!」
その瞬間彼はその場に崩れてわんわんと泣き出す。
しかし外の彼らが別荘に着く頃には、無理矢理にも泣きやんで元気な素振りを見せていた。
ノエルが泣きやんだのを確認すると、オスカーが玄関の扉を開けて彼らを招き入れた。
そして、皆それぞれの再開を喜び、あちこちで抱き合う。
私とユカリはその間にお客様へのハーブティーの用意をしていた。
⸺⸺
それぞれの再開が済んだところで、まずはオスカーが私とユカリへ紹介をしてくれる。
「俺の弟、ハンス・ローレンツ候爵だ。そしてこちらが母上のイザベラ・ローレンツ。今はハンスの屋敷で暮らしている。母上、ハンス、彼女が最近召喚されたエマ……エリザベスはドム王子が勝手につけた偽名だ。そして20年前に召喚されたユカリだ」
私たちはそれぞれ初めましてと挨拶をしながら固い握手を交わす。
そして、次にノエルが口を開いた。
「俺の親父のダニエル・ガルディウス、そしておふくろのバーバラ・ガルディウス。元ローレンツ王国の騎士団長と副騎士団長だ。んで……このガキはレベッカ・オルコット……つーかなんでお前まで来んだよ?」
「せっかく会いに来てあげたのにそんなこと言わなくたっていいじゃない、泣き虫ノエル坊や」
レベッカと呼ばれた少女はベーッと舌を出す。
「俺はもう坊やじゃねぇ今はてめぇの方がずっとガキだからな?」
「あんたたち邪魔だよお退きっ!」
バーバラさんによってノエルとレベッカはぽいっと部屋の隅に追いやられる。それでも彼らはそのままガミガミ言い合っていた。
やれやれとため息をついて私たちへ謝りながら、ダニエルさんとバーバラさんも挨拶をしてくれた。
「あの……ユカリ……石にしてごめんなさい……」
ユカリはそう言ってうつむきモジモジしている。
そんなユカリをバーバラさんはキツく抱きしめた。
「あたしのね、石になる瞬間の最後に見たのは、小さいあんたの泣き顔だったんだよ。無理矢理あんなことさせられて可哀想に。辛かったね」
「ユカリのこと……怒ってないの?」
涙をためながらそう尋ねる彼女へ、ダニエルさんが優しく答える。
「怒ってなどいるものか。むしろ感謝しているよ。だって君が僕らを元に戻してくれたんだろう?」
「ユカリ分かんない……」
「あれ? 違うのかい? もしかしてエマちゃんの方かい?」
と、バーバラさん。
「いえ、ユカリで合ってると思います。でも厳密に言うと、ユカリのもう1つの人格です。彼女は力を使うとユカリの中から消えていったみたいです」
そう私が答えると、2人は「なるほどねぇ」と納得していた。
「さて……ノエルたちは放っておいて、色々と情報の共有をしようか」
と、オスカー。
「そうだね兄さん。1番最後でいいからこの立派な城の話もしてくれよ?」
そう返事を返すハンスさんに対し、私とオスカーは苦笑いをしてとりあえず誤魔化した。
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