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24話 大騒ぎ

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「そうか……全てはバルド宰相が仕組んだことだったのか……。それならば、国王が俺の様に石になってたとして、目覚めたのであれば一気に形成は逆転できそうだな」

 オスカーは安心したようにそう言うと、クッキーの最後の1枚を私の口へ放り込んだ。

 ふぅーっと皆で一息つく。すると、オスカー以外の皆は急激な睡魔へと襲われることになる。
「そう言えば丸1日くらい寝てませんよね、僕たち」
 と、エド。
「そうだったー……ホッとしたら急に眠気が……」
 私は大あくびをし、それがユカリにも伝染する。

 そして私たちは皆でソファで雑魚寝をして、それぞれ仮眠を取った。

⸺⸺

 ちょうど日も暮れた頃、私たちは男女に分かれて別荘の大浴場で汗を流した。
 そして私とユカリがお風呂を上がる頃には、別荘の外からいい匂いが漂ってくる。

「あっ、BBQの匂い! ユカリ、お肉いっぱい食べてユカリもお肉つけなきゃ!」
「ユカリ、お肉たべたい!」

 国王様がユカリの小屋を訪ねていた頃は、それなりに良いものを食べさせてもらっていたようだけど、国王様が来なくなってからの約1年は、森の木の実などを食べて生活していたらしい。
 ユカリにはこれから美味しい物をいっぱい食べてほしい。
 私は自分とユカリの髪の毛を乾かして2人分のお肌のお手入れを済ませると、ユカリの手を引いて別荘の外へと躍り出た。

「おっ、来たな2人とも! 今回のBBQは肉があるぜ!」
 と、ノエルは嬉しそうにお肉を頬張っていた。

 それから私たちは美味しいお肉やお魚をたくさん堪能した。
 お魚たちは、オスカーが石から元に戻って最初にしたことが素潜りだったらしく、今朝捕れたばかりのピチピチ新鮮なお魚たちだ。

 オスカー……だいぶサバイバーな生活に馴染んじゃったけど、全部済んだあとちゃんと騎士団長様に戻れるのかな?

 飲んで食べて大騒ぎをした私たちは、もう1度軽くシャワーを浴びると、それぞれ用意してあげた寝室へと入っていった。

 私はと言うと……オスカーの寝室のベッドの上でドキドキしながら座っている。
 すると、隣にオスカーが座り、私を強く抱きしめた。

「はぁ……愛する者に触れるっていいなぁ……」
 と、オスカー。
「オスカーが触れないのは、愛した女性、だったんだね」

「そうだ。初めは誰も愛さなければ別に大した呪いじゃないくらいに思ってた。でも、初めてフォーリア王城でお前に触れたときには既にお前のことが気になっていたから、石になってしまうと思うととても恐ろしかった」

「それで一か八かって……」

「そういうことだ。それからこの孤島で一緒に生活を初めて、お前のひたむきさにすぐに惚れてしまった。それからは、触れたくなる頃に触れてはいけないというもどかしさを思い知った。お前に好きだと言うことすら許されなかった」

「オスカーが石になる瞬間、愛してるって言ってくれたのは、それすらも禁じられてたからなんだね」

「あぁ、実は俺はもし石になる時がきたら、その時は必ずお前が隣にいるはずだから、絶対に愛してると伝えてキスをするって決めていたんだ」

「今思うと確かにオスカーすごい手際良かった……。そういうこと、考えてくれてたんだ……。あのね、オスカー?」
「ん?」

「私はそんな準備してなくてあの時言えなかったけど、私もオスカーのこと、愛してるよ。あの時も、今も、ずっと」

「あぁ、ありがとう。エマ、愛してる……」

 オスカーはそのまま私にキスをしながらベッドへと優しく押し倒した。


⸺⸺翌日。

 私たちが孤島ではっちゃけて大騒ぎをしている間に、本島でも大騒ぎになっていたことを知ることとなる。


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