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第二章 神器と欲望
30話 石版と神器と
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「あれ、なんか落ちてる」
私は人魚姫のいたところに何かが落ちているのを発見し、そっと拾い上げる。
それは3階の山のジオラマでも見つけた“石版”だった。
「石版じゃないですか!」
「2枚目だな」
「さっきの人魚姫が写ってんな。なんて書いてあるんだ?」
と、空悟さん。私はそれを読み上げる。
「“魚の吐息”だって……」
「謎すぎるな……」
陽翔さんが頭を抱える。
「とりあえず陽翔さん、はいどうぞ」
私はそう言って石版を陽翔さんへと手渡す。
「あぁそうだな、しまっておこう」
結局その石版はフレイヤにも何かは分からなかったため、今は考えるのをやめてその日は7階でマッタリと過ごした。
そして、空悟さんの部屋が宿泊館の7階だったため、私たちは荷物をまとめて彼の部屋の702号室へと押しかけ、7階を新たな拠点とする事になった。
部屋自体は1LDKくらいの広さがあり、4人でも十分に過ごせるスペースがあった。
⸺⸺
7階で活動を始めて数日で7階のフロアのヴィランを全て鎮魂させることに成功した。
すると、フレイヤからお礼にとある物を手渡される。
『これは、一番体力のある空悟様に継承致しますね』
それは一見ローブのような物だった。
「ま、まさか神器ってやつか!?」
空悟さんは興奮気味にそれを受け取った。すると、陽翔さんが天叢雲剣を継承した時の様にローブが強い光を放った。
『はい。それは“鷹の羽衣”です。着れば鷹のように素早く飛ぶことが出来るようになります』
「と、飛べんのか!」
「空悟さん着てみて下さいよ」
と、瑠斗君。
空悟さんは「おぅ……」と緊張気味にそのローブを羽織る。すると、ローブが大きな翼の形へと変わり、空悟さんはバサッバサッと翼をはためかせてその場に浮き上がった。
「うおぉぉぉぉ! やべぇ!」
彼はそのまま大興奮で7階中を飛び回る。
「わぁ、いいなぁ……」
私がそう呟くと、空悟さんは私の頭上を通過する際に私をふわっと抱き上げて、一緒に飛んでくれた。
「きゃぁ、すごい! 一人抱えたままでも飛べるの?」
「紫音は余裕。瑠斗もいけそうだな……陽翔は……あいつのほうがガタイがいいからやってみないと分かんねぇな。ちなみに走ってる時の感覚に近い。俺、陸部だったから選ばれたのかもな……」
「そっか、だから走って逃げてるときも私を引っ張りながらでも余裕そうだったんだね」
「まぁな」
彼はニッと笑う。そしてバサバサとゆっくり床へと降ろしてくれた。
『仲の良い恋人……素敵です』
勘違いしたままのフレイヤはそう満足そうに微笑んでいた。
私は人魚姫のいたところに何かが落ちているのを発見し、そっと拾い上げる。
それは3階の山のジオラマでも見つけた“石版”だった。
「石版じゃないですか!」
「2枚目だな」
「さっきの人魚姫が写ってんな。なんて書いてあるんだ?」
と、空悟さん。私はそれを読み上げる。
「“魚の吐息”だって……」
「謎すぎるな……」
陽翔さんが頭を抱える。
「とりあえず陽翔さん、はいどうぞ」
私はそう言って石版を陽翔さんへと手渡す。
「あぁそうだな、しまっておこう」
結局その石版はフレイヤにも何かは分からなかったため、今は考えるのをやめてその日は7階でマッタリと過ごした。
そして、空悟さんの部屋が宿泊館の7階だったため、私たちは荷物をまとめて彼の部屋の702号室へと押しかけ、7階を新たな拠点とする事になった。
部屋自体は1LDKくらいの広さがあり、4人でも十分に過ごせるスペースがあった。
⸺⸺
7階で活動を始めて数日で7階のフロアのヴィランを全て鎮魂させることに成功した。
すると、フレイヤからお礼にとある物を手渡される。
『これは、一番体力のある空悟様に継承致しますね』
それは一見ローブのような物だった。
「ま、まさか神器ってやつか!?」
空悟さんは興奮気味にそれを受け取った。すると、陽翔さんが天叢雲剣を継承した時の様にローブが強い光を放った。
『はい。それは“鷹の羽衣”です。着れば鷹のように素早く飛ぶことが出来るようになります』
「と、飛べんのか!」
「空悟さん着てみて下さいよ」
と、瑠斗君。
空悟さんは「おぅ……」と緊張気味にそのローブを羽織る。すると、ローブが大きな翼の形へと変わり、空悟さんはバサッバサッと翼をはためかせてその場に浮き上がった。
「うおぉぉぉぉ! やべぇ!」
彼はそのまま大興奮で7階中を飛び回る。
「わぁ、いいなぁ……」
私がそう呟くと、空悟さんは私の頭上を通過する際に私をふわっと抱き上げて、一緒に飛んでくれた。
「きゃぁ、すごい! 一人抱えたままでも飛べるの?」
「紫音は余裕。瑠斗もいけそうだな……陽翔は……あいつのほうがガタイがいいからやってみないと分かんねぇな。ちなみに走ってる時の感覚に近い。俺、陸部だったから選ばれたのかもな……」
「そっか、だから走って逃げてるときも私を引っ張りながらでも余裕そうだったんだね」
「まぁな」
彼はニッと笑う。そしてバサバサとゆっくり床へと降ろしてくれた。
『仲の良い恋人……素敵です』
勘違いしたままのフレイヤはそう満足そうに微笑んでいた。
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