巻き込まれ幼女召喚〜無人島を拠点に自由気ままな異世界ライフ〜

るあか

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第三章 和の食材と常夏の島

63話 200年ぶり

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⸺⸺エスタ海底神殿⸺⸺

 広いフロアの奥に巨大な男の人魚の像が立っていて、人々はその像に祈りを捧げていた。

「アメちゃんの元カレ、人魚さんなの?」
「うむ。男の人魚は“マーマン”と言うのじゃ。容姿はあのまんまじゃな。あやつ、1度でも人の前に姿を現したのじゃな」

「人の前に姿を現しちゃいけないの?」
「人々の混乱を防ぐため、“人ならざる存在”と悟られる様な姿を見せるのは原則禁止じゃ。しかし混乱させなければ良いから、お主らの前に姿を現したマリーティアやわらわはセーフじゃぞ」

「なるほど、私は神様に会ってからこの世界に来ていてある程度事情を知っているからセーフってことか」
「そう言うことじゃ。さ、わらわたちもお参りをするかの」
「うん、そうだね」

 人々の列に並んで海神様の像の前に来ると、その像は泉の真ん中に立っている事が分かった。
 人々はその泉の中に好きなクレドコインを投げ入れ、両手を胸の前で繋いで祈りを捧げていた。
 なるほど、この泉がお賽銭箱の代わりなんだ。

 私も周りを見ながら見様見真似でクレドコインを投げ入れて、両手を繋いで祈りを捧げた。

⸺⸺ウルユ島のみんな、島に関わる全ての人々が穏やかに暮らせますように。

 ルキちゃんも肉球の上にコインを乗せて投げ入れ、二本足で立って肉球を合わせてお祈りをしている。前世でこんな写真SNSに載せたらバズりそう……。

 一方でアメちゃんは「穴の開いたぜにがないではないか……」と小銭入れを漁っていた。
「まさか、アメノカクの通貨は5と50に穴が開いていたり……?」
 クレドコインは全て穴の開いていない普通のコインだ。
「ほぅ、よく知っておるではないか。こんなことならウズメ村の誰かに両替をしてもらえば良かったのう。仕方がない、一番大きい500のコインで妥協するとしよう」
 アメちゃんはそう言って500クレドコインを取り出した。

 アメちゃんはクレドコインをポチャンと投げ入れると、2回お辞儀をして2回手をパンパンと叩いてその状態で祈りを捧げていた。そして最後に1回お辞儀。
 どうやら“アメノウズメ神道”も二礼二拍手一礼らしい。
 それを見た私は年始は絶対ウズメのやしろに初詣に行こうと思うのであった。

⸺⸺アメちゃんがお参りを終えたその時。

「お嬢ちゃん、次の人が待っているから、すまんね」
 逆三角形のムキムキマッチョのおじさんがそう言ってアメちゃんを見下ろしていた。そのおじさんは神殿の入り口に立っているお姉さんと似たような服を着ているため、係の人かと思われた。

「あっ、ごめんなさい……! アメちゃん、行こう」
 なぜか固まって動かないアメちゃんをルキちゃんと一緒に引っ張って像の前から撤退する。すると、係のマッチョおじさんも付いてきて「ここは人が多い。一旦こっちへ」と関係者以外立入禁止の扉の向こうへと案内された。

 え、どうしよう、まさかお参りに時間かけ過ぎたから怒られる……!?
 そう思ってドギマギしていると、マッチョおじさんは「アメ! 200年ぶりじゃないか!」と両腕を広げてニコッと微笑んだ。

「えっ、まさか……!」
「うむ! 会いに来てやったぞ、ネプ!」
 アメちゃんはそう言ってマッチョおじさんの大きな胸に飛び込んだ。このマッチョおじさんに変装している人が、海神様……!

 やむを得ず離れることになってしまった恋人同士の200年ぶりの感動の再会。
 ……だと言うのに、マッチョおじさんが幼い女の子を抱っこしていて、完全に親子の絵面だった。
 まぁ、いっか。2人とも嬉しそうだし……。

「アメ、一体全体どうやってこんなところまで来たんだい?」
「うむ、アルテミシアと、このユノのおかげなのじゃ」
「ほぅ、詳しく聞こう。ユノ、そして勇者猫、付いてきてくれ」
「あ、はい!」
「んにゃぁ……」
『勇者猫って言われてしまいましたにゃ……』
 ルキちゃんがそう念話でボヤくと、海神様は「がっはっは」と大笑いをした。
「そりゃ、“勇者の光”を持っていたら勇者だろうが!」
 私たちが只者じゃないって言うのは既に感じ取っていたらしい。

 素直に海神様の後を付いていくと、王様が生活していそうな部屋へと到達した。
「ここが俺の住処すみかだ。普段はこの姿でこの神殿の管理人として生活をしている」
「むむ、人に紛れて生活しておったのか、わらわももっと早くそうすれば良かったのう」
 アメちゃんはそう言って、不満そうに頬をぷくーっと膨らませた。しかし、海神様に頬を突っつかれてすぐに空気が抜けてしまっていた。

「さて、という訳で、ユノと勇者猫に自己紹介だ。俺は“海神ネプチューン”。ネプおじさんとでも呼んでくれ」
 ネプおじさんはそう言うと光を放ち、神殿にあった像と同じマーマンの姿へと変化した。
「おぉ……ホントに像とそっくりだ……。あっ、ユノ・カグラです。こっちは聖獣ルキちゃんです」
 私もそう自己紹介をすると、ネプおじさんは「聖獣か、なるほど」と納得をしていた。
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