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第五章 社会の形成と勇者マコト伝
85話 回り始めた経済
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リベルト銀行マルシャン支店のアマート支店長により、このウルユ島のウルユ城の中に“リベルト銀行マルシャン支店ウルユ城出張所“が設立されることとなった。
これにより私たちの全財産はリベルト銀行に管理してもらいながら、ウルユ城で自由にお金の出し入れをすることができるようになった。
ウルユ城に設立された銀行には商人ギルドからの出向を終えたディーナさんが常勤してくれることになり、彼女もこのウルユ島で暮らすことになったのである。
⸺⸺ウルユ城1階、リベルト銀行⸺⸺
「ここの金庫の仕組みってどうなってるの? 本当にここからマルシャン支店に預けてある私のお金も引き出せるの?」
私はカウンター越しにディーナさんへと疑問をぶつける。
「引き出せるのよ。うちの銀行お抱えの“魔道技師“さんが転送装置を設置していってくれたでしょ? それを使ってお金のやり取りができるのよ」
「ほえ~、すごいなぁ。ってことでディーナさん……今から島民全員の口座開設だけど……」
私は背後にできているウルユ島民の長蛇の列を振り返った。
「大丈夫よ、任せて!」
ディーナさんは腕まくりをして気合を見せる。
「ありがとう、じゃぁ私はあちこちのギルドを回って、みんなの活動記録を集めてくるね」
「ええ、行ってらっしゃい! さぁ、先頭の方、どうぞー」
島民の口座開設はディーナさんに任せて、私は農業ギルドや鉱業ギルドなどを回って主要メンバーの活動記録を集めた。一応みんなは私の従魔扱いになっているので、主人がギルドに要求すれば、自由に活動記録を確認することができる。
この活動記録を集めている理由は、ここ2ヶ月分のみんなの稼ぎを個々の口座に移してあげるためだ。それ以前の資金は島の運営費にするとみんなで決めたから、ありがたく使わせてもらう。
記録を集めたら島に飛んで帰り、個々の記録を参照しながらそれぞれの口座に貯金を振り分ける。最近新しく引っ越してきたゴブリンたちには生活応援金として一律50万Cを送金した。
これで経済を回す準備はバッチリだ。
次に私は口座を作り終えた住民1人1人に希望の職種を聞いて回った。
この島でお店屋さんをやりたい人、外の島に出てギルド活動をしたい人、成獣たちと協力して牧場を経営したい人等、みんなやりたいことは様々だ。
このタイミングで成獣たちも気の合うゴブリンたちと一緒に生活をし、ゴブリンの仕事のサポートをする形でそれぞれの家庭に散っていった。
更に私はトラベルストーンを改良して、翻訳機能を付けることに成功した。
これにより今まで念話でしか話すことができなかったルキちゃんやラフちゃんたちも、島の外の人たちと直接話ができるようになった。もう、私たち人との差はほとんどない。
⸺⸺数日後。
「ユノ、今日からウルユ島のお店が動き出しますにゃ」
と、ルキちゃん。彼は二足歩行で歩き、服も着てショッピングをする気満々だ。
「ねぇ、早く順番に見て回ろうよ!」
子犬のように小さくなっているウルは、相変わらず四足歩行でぴょんぴょん飛び跳ねるように走り回っている。成獣たちの生活スタイルもそれぞれだ。
「よし、じゃぁまずはウルユ城からね! 行くよ、長老」
「ほっほー♪」
⸺⸺ウルユ城1階⸺⸺
「ウルユ城へようこそ♪」
お城へ入るなり、メイドの格好をしたゴブリンに出迎えられる。
「おー、リディア、似合ってるね、そのメイドさん」
私が笑顔でそう伝えると、彼女は「ありがとうございます」と照れてはにかんでいた。
彼女、ゴブリンのリディアはウルユ城の案内役だ。案内役としてのノウハウはディーナさんが教えてくれている。
「リディア、早速お城の施設の案内をざっくりよろしく」
「かしこまりました。こちら1階のロビーより東棟へと進んでいただきますと、ウルユ島役場とリベルト銀行がございます。2階より上の階は公共施設となっております」
「公共施設には何が……あ、いっか、それは順番に見て回ろう。西の建物には何があるの?」
「はい、西棟は職人施設と、職人居住区がございます。また、職人向けの素材屋や鉱石屋もございますので、採取してきた素材を売りたい場合は一般の方もご利用可能となっております」
リディアは説明を終えると、軽く一礼した。
「ありがとう、リディア! 案内完璧だよ、この調子で頑張ってね♪」
「ありがとうございます、頑張りますね♪」
このお城を建てようと決めた時は、まさかこんな大型の商業施設みたいになるとは思っていなかった。これも全て、このウルユ島で生活をしてくれている島民のおかげだ。
私はルキちゃんとウルと共に、ルンルンで東棟へと入っていった。
これにより私たちの全財産はリベルト銀行に管理してもらいながら、ウルユ城で自由にお金の出し入れをすることができるようになった。
ウルユ城に設立された銀行には商人ギルドからの出向を終えたディーナさんが常勤してくれることになり、彼女もこのウルユ島で暮らすことになったのである。
⸺⸺ウルユ城1階、リベルト銀行⸺⸺
「ここの金庫の仕組みってどうなってるの? 本当にここからマルシャン支店に預けてある私のお金も引き出せるの?」
私はカウンター越しにディーナさんへと疑問をぶつける。
「引き出せるのよ。うちの銀行お抱えの“魔道技師“さんが転送装置を設置していってくれたでしょ? それを使ってお金のやり取りができるのよ」
「ほえ~、すごいなぁ。ってことでディーナさん……今から島民全員の口座開設だけど……」
私は背後にできているウルユ島民の長蛇の列を振り返った。
「大丈夫よ、任せて!」
ディーナさんは腕まくりをして気合を見せる。
「ありがとう、じゃぁ私はあちこちのギルドを回って、みんなの活動記録を集めてくるね」
「ええ、行ってらっしゃい! さぁ、先頭の方、どうぞー」
島民の口座開設はディーナさんに任せて、私は農業ギルドや鉱業ギルドなどを回って主要メンバーの活動記録を集めた。一応みんなは私の従魔扱いになっているので、主人がギルドに要求すれば、自由に活動記録を確認することができる。
この活動記録を集めている理由は、ここ2ヶ月分のみんなの稼ぎを個々の口座に移してあげるためだ。それ以前の資金は島の運営費にするとみんなで決めたから、ありがたく使わせてもらう。
記録を集めたら島に飛んで帰り、個々の記録を参照しながらそれぞれの口座に貯金を振り分ける。最近新しく引っ越してきたゴブリンたちには生活応援金として一律50万Cを送金した。
これで経済を回す準備はバッチリだ。
次に私は口座を作り終えた住民1人1人に希望の職種を聞いて回った。
この島でお店屋さんをやりたい人、外の島に出てギルド活動をしたい人、成獣たちと協力して牧場を経営したい人等、みんなやりたいことは様々だ。
このタイミングで成獣たちも気の合うゴブリンたちと一緒に生活をし、ゴブリンの仕事のサポートをする形でそれぞれの家庭に散っていった。
更に私はトラベルストーンを改良して、翻訳機能を付けることに成功した。
これにより今まで念話でしか話すことができなかったルキちゃんやラフちゃんたちも、島の外の人たちと直接話ができるようになった。もう、私たち人との差はほとんどない。
⸺⸺数日後。
「ユノ、今日からウルユ島のお店が動き出しますにゃ」
と、ルキちゃん。彼は二足歩行で歩き、服も着てショッピングをする気満々だ。
「ねぇ、早く順番に見て回ろうよ!」
子犬のように小さくなっているウルは、相変わらず四足歩行でぴょんぴょん飛び跳ねるように走り回っている。成獣たちの生活スタイルもそれぞれだ。
「よし、じゃぁまずはウルユ城からね! 行くよ、長老」
「ほっほー♪」
⸺⸺ウルユ城1階⸺⸺
「ウルユ城へようこそ♪」
お城へ入るなり、メイドの格好をしたゴブリンに出迎えられる。
「おー、リディア、似合ってるね、そのメイドさん」
私が笑顔でそう伝えると、彼女は「ありがとうございます」と照れてはにかんでいた。
彼女、ゴブリンのリディアはウルユ城の案内役だ。案内役としてのノウハウはディーナさんが教えてくれている。
「リディア、早速お城の施設の案内をざっくりよろしく」
「かしこまりました。こちら1階のロビーより東棟へと進んでいただきますと、ウルユ島役場とリベルト銀行がございます。2階より上の階は公共施設となっております」
「公共施設には何が……あ、いっか、それは順番に見て回ろう。西の建物には何があるの?」
「はい、西棟は職人施設と、職人居住区がございます。また、職人向けの素材屋や鉱石屋もございますので、採取してきた素材を売りたい場合は一般の方もご利用可能となっております」
リディアは説明を終えると、軽く一礼した。
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「ありがとうございます、頑張りますね♪」
このお城を建てようと決めた時は、まさかこんな大型の商業施設みたいになるとは思っていなかった。これも全て、このウルユ島で生活をしてくれている島民のおかげだ。
私はルキちゃんとウルと共に、ルンルンで東棟へと入っていった。
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