5 / 98
第一章 私たちだけの島
5話 謎の魔法陣の正体
しおりを挟む
「狼君……そうだ、魔法陣のところへ向かう前に名前、決めなくちゃ」
私がそう言うと、狼は嬉しそうに「はっはっ」と舌を出しながら尻尾を振っていた。
「うーん……狼はウルフだから……“ウル”! うん、あなたの名前は今から“ウル”よ!」
単純でごめんね、ウル……。すると、名付けた瞬間にウルの身体がほわっと光る。
「えっ、今の何?」
『ウル、どうしたんですかにゃ?』
ウルの身体が光ったのは一瞬で、すぐに何事もなかったかのように元に戻った。
すると……。
『ウル! 素敵な名前をありがとう、ユノ!』
頭の中に幼い男の子のような声が響いてきた。
「えっ、ウルもしゃべれるようになったの!?」
正確には念話だけど……。
『にゃんと……』
『名前を付けてもらったらしゃべれるようになったみたい。後、こんなことも出来るようになったよ♪』
ウルはグングンと身体を縮めていき、ルキちゃんよりも小さいくらいの子犬サイズへと変形した。
「くぅ~ん」
「えーっ、可愛い! 最高♪ 元には戻れるの?」
『うん、もちろん♪』
ウルはそう言って再び巨大な狼へと変形した。思わず「おぉーっ!」と拍手をする私。
「ウル、すごいね♪ 改めて、これからよろしくね」
『ウル、よろしくですにゃ』
『うん、よろしく! ユノ、ルキちゃん♪』
そして拠点のキャンプ地を離れる前に、クラフトで“女神像”を生成した。私の背丈よりも大きいくらいの像。
説明を見ると『結界の力を留めておくもの』って書いてあったから、この女神像にルキちゃんの魔力を込めると像は淡く光り出した。これでこの拠点周辺は魔物が寄り付かないはずだ。ルキちゃんはずっと勇者の光の力で結界を展開してくれていたため、これで少しは楽になっただろう。
ようやくウルによじ登って、魔法陣のマークの場所へと向かう。いくつかあったけど、とりあえず拠点から一番近い所にした。
⸺⸺
「この辺りだよ……あっ、地面に魔法陣が!」
私はウルから身を乗り出して地面で光る魔法陣を見下ろした。
赤白い光を放っている魔法陣。一体何なんだろう。踏んだら何が起こるのだろうか。
すると、ルキちゃんが魔法陣の側に石版が落ちているのを発見する。
『ユノ、これも明らかに自然の物ではないですにゃ。人工物ですにゃ』
「本当だね、ちょっと待って、私も今そっちに行くから」
私はウルから飛び降りて、ウルと一緒にルキちゃんのいる石版のもとへと向かう。
その石版には、こう文字が書いてあった。
『新人のミスによりご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。この島の各地にこのような転送魔法陣を設置させていただきました。各魔法陣はそれぞれ別の大陸や島へと繋がっております。お好きなところへと移動し、その後はファストトラベルをお使いください。なお、この島は他の島や大陸から果てしなく離れており、どこの国の所有でもないため、このままここに住み続けることも可能です。女神アルテミシアより』
「えーっ、これ……女神マリーティア様の上司からの手紙ってこと!? この魔法陣もその上司の女神アルテミシア様が用意してくれたものだったんだ!」
『それに……ファストトラベルを使えって書いてありますにゃ。もしかして、ファストトラベルのスキルは正しくユノに付けられたのですかにゃ?』
「確かに、そうだよね! ちょっとやってみよう。ファストトラベル!」
私がそう叫ぶと、クラフトパネルの様な光ったパネルがシュンっと出現した。
「わーっ、出来るね、ファストトラベル♪ 今はまだ“名も無き島”にしか飛べないみたい。この島の事だよね」
『この島名前なかったんだ。ねぇ、せっかくだから島の名前も付けてよ』
と、ウル。
「そうねぇ。うーん……じゃぁ、ウルとルキとユノの頭文字を取って、“ウルユ島”! これに決定♪」
私がそう言うと、パネルに表示されていた“名も無き島”の表記が“ウルユ島”へと変化した。
『すごいですにゃ、島の名前が変わりましたにゃ!』
『ウルユ島! みんなの頭文字、良いね♪』
「よし、とりあえずファストトラベルが出来るって事は分かったからファストトラベルのパネルは閉じて……行ってみますか、魔法陣」
パネルの右下の小さい×ボタンをタップしてパネルを閉じる。感覚で操作出来ちゃうのも良く出来ているなぁ。
『はいですにゃ』
『わぁ~、どこに繋がってるんだろう? オイラ、小さくなっておくね』
ウルが子犬の姿へ縮んだのを確認すると、3人で恐る恐る転送魔法陣へと足を乗せた。
魔法陣の光が急に強くなったかと思うと、目の前の景色が真っ白になった。
私がそう言うと、狼は嬉しそうに「はっはっ」と舌を出しながら尻尾を振っていた。
「うーん……狼はウルフだから……“ウル”! うん、あなたの名前は今から“ウル”よ!」
単純でごめんね、ウル……。すると、名付けた瞬間にウルの身体がほわっと光る。
「えっ、今の何?」
『ウル、どうしたんですかにゃ?』
ウルの身体が光ったのは一瞬で、すぐに何事もなかったかのように元に戻った。
すると……。
『ウル! 素敵な名前をありがとう、ユノ!』
頭の中に幼い男の子のような声が響いてきた。
「えっ、ウルもしゃべれるようになったの!?」
正確には念話だけど……。
『にゃんと……』
『名前を付けてもらったらしゃべれるようになったみたい。後、こんなことも出来るようになったよ♪』
ウルはグングンと身体を縮めていき、ルキちゃんよりも小さいくらいの子犬サイズへと変形した。
「くぅ~ん」
「えーっ、可愛い! 最高♪ 元には戻れるの?」
『うん、もちろん♪』
ウルはそう言って再び巨大な狼へと変形した。思わず「おぉーっ!」と拍手をする私。
「ウル、すごいね♪ 改めて、これからよろしくね」
『ウル、よろしくですにゃ』
『うん、よろしく! ユノ、ルキちゃん♪』
そして拠点のキャンプ地を離れる前に、クラフトで“女神像”を生成した。私の背丈よりも大きいくらいの像。
説明を見ると『結界の力を留めておくもの』って書いてあったから、この女神像にルキちゃんの魔力を込めると像は淡く光り出した。これでこの拠点周辺は魔物が寄り付かないはずだ。ルキちゃんはずっと勇者の光の力で結界を展開してくれていたため、これで少しは楽になっただろう。
ようやくウルによじ登って、魔法陣のマークの場所へと向かう。いくつかあったけど、とりあえず拠点から一番近い所にした。
⸺⸺
「この辺りだよ……あっ、地面に魔法陣が!」
私はウルから身を乗り出して地面で光る魔法陣を見下ろした。
赤白い光を放っている魔法陣。一体何なんだろう。踏んだら何が起こるのだろうか。
すると、ルキちゃんが魔法陣の側に石版が落ちているのを発見する。
『ユノ、これも明らかに自然の物ではないですにゃ。人工物ですにゃ』
「本当だね、ちょっと待って、私も今そっちに行くから」
私はウルから飛び降りて、ウルと一緒にルキちゃんのいる石版のもとへと向かう。
その石版には、こう文字が書いてあった。
『新人のミスによりご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。この島の各地にこのような転送魔法陣を設置させていただきました。各魔法陣はそれぞれ別の大陸や島へと繋がっております。お好きなところへと移動し、その後はファストトラベルをお使いください。なお、この島は他の島や大陸から果てしなく離れており、どこの国の所有でもないため、このままここに住み続けることも可能です。女神アルテミシアより』
「えーっ、これ……女神マリーティア様の上司からの手紙ってこと!? この魔法陣もその上司の女神アルテミシア様が用意してくれたものだったんだ!」
『それに……ファストトラベルを使えって書いてありますにゃ。もしかして、ファストトラベルのスキルは正しくユノに付けられたのですかにゃ?』
「確かに、そうだよね! ちょっとやってみよう。ファストトラベル!」
私がそう叫ぶと、クラフトパネルの様な光ったパネルがシュンっと出現した。
「わーっ、出来るね、ファストトラベル♪ 今はまだ“名も無き島”にしか飛べないみたい。この島の事だよね」
『この島名前なかったんだ。ねぇ、せっかくだから島の名前も付けてよ』
と、ウル。
「そうねぇ。うーん……じゃぁ、ウルとルキとユノの頭文字を取って、“ウルユ島”! これに決定♪」
私がそう言うと、パネルに表示されていた“名も無き島”の表記が“ウルユ島”へと変化した。
『すごいですにゃ、島の名前が変わりましたにゃ!』
『ウルユ島! みんなの頭文字、良いね♪』
「よし、とりあえずファストトラベルが出来るって事は分かったからファストトラベルのパネルは閉じて……行ってみますか、魔法陣」
パネルの右下の小さい×ボタンをタップしてパネルを閉じる。感覚で操作出来ちゃうのも良く出来ているなぁ。
『はいですにゃ』
『わぁ~、どこに繋がってるんだろう? オイラ、小さくなっておくね』
ウルが子犬の姿へ縮んだのを確認すると、3人で恐る恐る転送魔法陣へと足を乗せた。
魔法陣の光が急に強くなったかと思うと、目の前の景色が真っ白になった。
448
あなたにおすすめの小説
ドラゴンともふ魔獣に懐かれて〜転生幼女は最強ドラゴン騎士家族と幸せに暮らします〜
ありぽん
ファンタジー
神様のミスで命を落としてしまった高橋結衣(28)。そのお詫びとして彼女は、様々な力を授かり、憧れだった魔法と剣と魔獣の存在する、まるで異世界ファンタジーのような世界へと転生することになった。
しかし目を覚ました場所は、街の近くではなく木々が生い茂る森の中。状況が分からず混乱する結衣。
そんな結衣に追い打ちをかけるように、ゾウほどもある大きな魔獣が襲いかかってきて。さらにドラゴンまで現れ、魔獣と激突。数分後、勝利したドラゴンが結衣の方へ歩み寄ってくる。
転生して数10分で命を落とすのか。そう思った結衣。しかし結衣を待っていたのは、思いもよらぬ展開だった。
「なぜ幼児がここに? ここは危険だ。安全な俺たちの巣まで連れて行こう」
まさかのドラゴンによる救出。さらにその縁から、結衣は最強と謳われるドラゴン騎士の家族に迎え入れられることに。
やがて結衣は、神から授かった力と自らの知識を駆使し、戦う上の兄や姉を支え、頭脳派の兄の仕事を手伝い。可憐で優しい姉をいじめる連中には、姉の代わりに子ドラゴンやもふ強魔獣と共にざまぁをするようになって?
これは神様の度重なるミスによって、幼児として転生させられてしまった結衣が、ドラゴンやもふ強魔獣に懐かれ、最強のドラゴン騎士家族と共に、異世界で幸せいっぱいに暮らす物語。
転生少女は異世界で理想のお店を始めたい 猫すぎる神獣と一緒に、自由気ままにがんばります!
梅丸みかん
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。※書籍化に伴い「転生少女は異世界でお店を始めたい」から「転生少女は異世界で理想のお店を始めたい 猫すぎる神獣と一緒に、自由気ままにがんばります!」に改題いたしました。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
転生先は海のど真ん中!? もふ強魔獣とイケオジに育てられた幼女は、今日も無意識に無双する
ありぽん
ファンタジー
25歳の高橋舞は、気がつくと真っ白な空間におり、そして目の前には土下座男が。
話しを聞いてみると、何とこの男は神で。舞はこの神のミスにより、命を落としてしまったというのだ。
ガックリする舞。そんな舞に神はお詫びとして、異世界転生を提案する。そこは魔法や剣、可愛い魔獣があふれる世界で。異世界転生の話しが大好きな舞は、即答で転生を選ぶのだった。
こうして異世界へ転生した舞。ところが……。
次に目覚めた先は、まさかの海のど真ん中の浮島。
しかも小さな子どもの姿になっていてたのだ。
「どちてよ!!」
パニックになる舞。が、驚くことはそれだけではなかった。
「おい、目が覚めたか?」
誰もいないと思っていたのだが、突然声をかけられ、さらに混乱する舞。
実はこの島には秘密があったのだ。
果たしてこの島の正体は? そして舞は異世界で優しい人々と触れ合い、楽しく穏やかな日々を送ることはできるのか。
神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~
御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。
異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。
前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。
神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。
朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。
そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。
究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
魔物の装蹄師はモフモフに囲まれて暮らしたい ~捨てられた狼を育てたら最強のフェンリルに。それでも俺は甘やかします~
うみ
ファンタジー
馬の装蹄師だった俺は火災事故から馬を救おうとして、命を落とした。
錬金術屋の息子として異世界に転生した俺は、「装蹄師」のスキルを授かる。
スキルを使えば、いつでもどこでも装蹄を作ることができたのだが……使い勝手が悪くお金も稼げないため、冒険者になった。
冒険者となった俺は、カメレオンに似たペットリザードと共に実家へ素材を納品しつつ、夢への資金をためていた。
俺の夢とは街の郊外に牧場を作り、動物や人に懐くモンスターに囲まれて暮らすこと。
ついに資金が集まる目途が立ち意気揚々と街へ向かっていた時、金髪のテイマーに蹴飛ばされ罵られた狼に似たモンスター「ワイルドウルフ」と出会う。
居ても立ってもいられなくなった俺は、金髪のテイマーからワイルドウルフを守り彼を新たな相棒に加える。
爪の欠けていたワイルドウルフのために装蹄師スキルで爪を作ったところ……途端にワイルドウルフが覚醒したんだ!
一週間の修行をするだけで、Eランクのワイルドウルフは最強のフェンリルにまで成長していたのだった。
でも、どれだけ獣魔が強くなろうが俺の夢は変わらない。
そう、モフモフたちに囲まれて暮らす牧場を作るんだ!
不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした
☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。
日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。
フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ!
フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。
美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。
しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。
最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる