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122話 お祭りに向けて
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お店の1階に行くとお父さんとエミリアにリオンがいて、リオンの両親であるジークベルトとドロテアを迎えて談笑していた。
僕も久しぶりに会う2人に挨拶をする。
ブラックウェル家も同盟記念祭の準備を手伝うことになり、この町にあるブライア領主のお屋敷にしばらく滞在するんだって。
すると、ジャックが彼の両親を連れてお店に帰ってくる。
「おう、帰ったぞ」
「同盟記念祭の間、我々の栽培するナダ茶をこのお店に置いてくれるとのことで――」
「どうも初めましてグランヴィルさん、ジャックの母でございます。いつもこの子がお世話になっておりまして――」
お父さんに対して同時にしゃべりだすジャックの両親に、お父さんは「あははは……」とたじたじになっていた。
隣でエミリアもクスクスと微笑み、ジャックは深くため息をついていた。
ジャックの実家であるラドクリフ家は、隣国ザイラールの田舎町ナーダ村に住んでいて、そこの特産品である『ナダ茶の葉』を栽培している。とっても栄養のあるお茶なんだけど、めちゃくちゃ苦くて僕は吐き出しそうになったんだよね……。
でも、そんなナダ茶も大人、特にお年寄りにはすごく人気の健康食品。それもあって、今回の同盟記念祭開催中、このグランキャットの道具屋で販売することになったんだ。ラドクリフ家はその準備でブライアの町まで来てくれた。
更に、同じ理由でもうひと家族も来るはずだけど――
カラン、コロン。
あ、ほら。お店の呼び鈴を鳴らしながら入ってきたのは、アイラの家族、ツユシロ一家。アイラ曰くラインツのド田舎である『シラナミの村』という漁村で宿屋兼酒場の『ツユシロ亭』をやっている。
アイラは一番上の長女でその村から出稼ぎでこのブライアの町まで来てるんだよね。
「ただいまー。連れてきたよ~」
彼女を先頭に赤髪がゾロゾロ連なって入ってくる。順番に、とーちゃん、かーちゃん、18歳のトーマ兄ちゃん、15歳のリン姉ちゃん、12歳のクーガ兄ちゃん、7歳の双子のニーナとルーナ。最後にじーちゃんとばーちゃん。
な、なんとか全員覚えられていた。それにしても、お店の中が一気に狭くなったな……。
ツユシロ一家は大家族で、とーちゃんとじーちゃん以外はみんなアイラと同じ赤髪なんだ。
シラナミの村はシラナミ料理という、所謂〝和食〟を扱っていて、同盟記念祭の間、その食材をグランキャットの目の前の大通りで販売するんだ。
集った黒豹の家族たちはそれぞれわいわいと挨拶を交わしていた。まだ準備の段階なのに、もうこのグランキャットの中はお祭り騒ぎだ。
僕も、ニーナとルーナに自作のくろすけのマスコットをプレゼントすると、彼女らは「「わ~い、ノエル君、ありがと~♪」」と言って早速ベルトにマスコットを付けてくれていた。
ラドクリフ夫妻とツユシロ夫妻、それからアイラのじーちゃんとばーちゃんは明日には一旦故郷に帰ってしまうけれど、アイラの兄弟たちはしばらく向かいの宿屋に滞在することになる。
なんか準備の他にこの町でやりたいことがやるとかなんとか――
「では、私たちはブライア邸に戻ります。ブライア邸での手続きはこちらにお任せを」
ブラックウェル家はそう言って一足先にグランキャットを退出した。
「じゃぁ、僕たちもザイラール城に向かいましょうかね」
お父さんが残った2家族へそう告げる。
同盟記念祭で露店や大道芸なんかの出し物を行うには、ラインツ側とザイラール側の双方に届け出をする必要がある。
ラインツ側の届け出はブラックウェル家が代わりにやってくれることになったから、僕たちはこれからザイラール側の届け出を行うために、ザイラール城へと向かうんだ。
両親たちは、今日そのために集まってくれたんだね。
とっても大所帯になってしまったけど、僕たちグランキャットのメンバーと、ラドクリフ夫妻とツユシロ夫妻でザイラールの王都ザイディアを目指すこととなった。
アイラの兄弟とじーちゃんとばーちゃんはブライアの町でお留守番だ。
「じゃ、俺ら、冒険者ギルドに登録してこよーぜ!」
そんなトーマ兄ちゃんの一声で、赤髪兄弟はゾロゾロとブライアの町に飛び出していった。
この町でやりたいことって、冒険者ギルドのことだったのか。って、それにしてもまだ7歳のニーナとルーナも普通に付いていったけど、良かったのかな……。
僕はそう疑問を抱えながらも、準備をしてお父さんに付いていく。
ザイラール城に行くと言うことは、クリスティーナ王女とザイラール国王に会う初めてのチャンスだ。
ここで『記憶の万華鏡』を見せることができれば、全部解決なんだけど……。
――なぜだか、そう上手くいくとは思えない。
そんな漠然とした不安を抱えながら、ザイラール行きの馬車へと乗り込むのであった。
僕も久しぶりに会う2人に挨拶をする。
ブラックウェル家も同盟記念祭の準備を手伝うことになり、この町にあるブライア領主のお屋敷にしばらく滞在するんだって。
すると、ジャックが彼の両親を連れてお店に帰ってくる。
「おう、帰ったぞ」
「同盟記念祭の間、我々の栽培するナダ茶をこのお店に置いてくれるとのことで――」
「どうも初めましてグランヴィルさん、ジャックの母でございます。いつもこの子がお世話になっておりまして――」
お父さんに対して同時にしゃべりだすジャックの両親に、お父さんは「あははは……」とたじたじになっていた。
隣でエミリアもクスクスと微笑み、ジャックは深くため息をついていた。
ジャックの実家であるラドクリフ家は、隣国ザイラールの田舎町ナーダ村に住んでいて、そこの特産品である『ナダ茶の葉』を栽培している。とっても栄養のあるお茶なんだけど、めちゃくちゃ苦くて僕は吐き出しそうになったんだよね……。
でも、そんなナダ茶も大人、特にお年寄りにはすごく人気の健康食品。それもあって、今回の同盟記念祭開催中、このグランキャットの道具屋で販売することになったんだ。ラドクリフ家はその準備でブライアの町まで来てくれた。
更に、同じ理由でもうひと家族も来るはずだけど――
カラン、コロン。
あ、ほら。お店の呼び鈴を鳴らしながら入ってきたのは、アイラの家族、ツユシロ一家。アイラ曰くラインツのド田舎である『シラナミの村』という漁村で宿屋兼酒場の『ツユシロ亭』をやっている。
アイラは一番上の長女でその村から出稼ぎでこのブライアの町まで来てるんだよね。
「ただいまー。連れてきたよ~」
彼女を先頭に赤髪がゾロゾロ連なって入ってくる。順番に、とーちゃん、かーちゃん、18歳のトーマ兄ちゃん、15歳のリン姉ちゃん、12歳のクーガ兄ちゃん、7歳の双子のニーナとルーナ。最後にじーちゃんとばーちゃん。
な、なんとか全員覚えられていた。それにしても、お店の中が一気に狭くなったな……。
ツユシロ一家は大家族で、とーちゃんとじーちゃん以外はみんなアイラと同じ赤髪なんだ。
シラナミの村はシラナミ料理という、所謂〝和食〟を扱っていて、同盟記念祭の間、その食材をグランキャットの目の前の大通りで販売するんだ。
集った黒豹の家族たちはそれぞれわいわいと挨拶を交わしていた。まだ準備の段階なのに、もうこのグランキャットの中はお祭り騒ぎだ。
僕も、ニーナとルーナに自作のくろすけのマスコットをプレゼントすると、彼女らは「「わ~い、ノエル君、ありがと~♪」」と言って早速ベルトにマスコットを付けてくれていた。
ラドクリフ夫妻とツユシロ夫妻、それからアイラのじーちゃんとばーちゃんは明日には一旦故郷に帰ってしまうけれど、アイラの兄弟たちはしばらく向かいの宿屋に滞在することになる。
なんか準備の他にこの町でやりたいことがやるとかなんとか――
「では、私たちはブライア邸に戻ります。ブライア邸での手続きはこちらにお任せを」
ブラックウェル家はそう言って一足先にグランキャットを退出した。
「じゃぁ、僕たちもザイラール城に向かいましょうかね」
お父さんが残った2家族へそう告げる。
同盟記念祭で露店や大道芸なんかの出し物を行うには、ラインツ側とザイラール側の双方に届け出をする必要がある。
ラインツ側の届け出はブラックウェル家が代わりにやってくれることになったから、僕たちはこれからザイラール側の届け出を行うために、ザイラール城へと向かうんだ。
両親たちは、今日そのために集まってくれたんだね。
とっても大所帯になってしまったけど、僕たちグランキャットのメンバーと、ラドクリフ夫妻とツユシロ夫妻でザイラールの王都ザイディアを目指すこととなった。
アイラの兄弟とじーちゃんとばーちゃんはブライアの町でお留守番だ。
「じゃ、俺ら、冒険者ギルドに登録してこよーぜ!」
そんなトーマ兄ちゃんの一声で、赤髪兄弟はゾロゾロとブライアの町に飛び出していった。
この町でやりたいことって、冒険者ギルドのことだったのか。って、それにしてもまだ7歳のニーナとルーナも普通に付いていったけど、良かったのかな……。
僕はそう疑問を抱えながらも、準備をしてお父さんに付いていく。
ザイラール城に行くと言うことは、クリスティーナ王女とザイラール国王に会う初めてのチャンスだ。
ここで『記憶の万華鏡』を見せることができれば、全部解決なんだけど……。
――なぜだか、そう上手くいくとは思えない。
そんな漠然とした不安を抱えながら、ザイラール行きの馬車へと乗り込むのであった。
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