ラズとリドの大冒険

大森かおり

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「それよりさ、早く行かないと、あの海賊たちがここにくるのも、もう時間の問題だよ」
 続けて、ネルーピーが、焦った様子になって言った。
「お願いだから急いでよ、ラズ。オイラ、ここでまた、捕まりたくなんてないんだよ」
 そう、必死で頼むネルーピーを見て、根負けしたラズは、
「わかったわ」と一言。
 そして、すぐに寝室から出て、デッキの上に向かって走った。
 まもなくして、鉄の扉を開けると、そこはもうすでに、ラズが知っているような、いつも見ている、ジオードサンド号の光景ではなくなっていた。
 その光景とは、キャロットオレンジ海賊団と、ロイヤルブルー海賊団の一味が、すでにデッキの上に大勢きていて、カトラスを片手に、大暴れをしている、というものだった。
「まあ、大変!」
 ラズは、目の前で繰り広げられている、海賊たちの荒々しい戦いを見て、思わずギョッとした。
「まさか、もう海賊たちがいるなんて、思いもしなかったわ」
「だから早く行けっていっただろう? それなのに、鏡の前で、長い間のんきにポーズなんか決めてるから、悪いんだよ」
 ネルーピーが抗議した。
「悪かったわね」
 ムスッとしながら、ラズが言った。
「それより、リドとロアルドおじいさんは、どこかしら?」
 それを聞いたネルーピーは、素早く辺りを、キョロキョロと見回すと、
「あ! あそこにいるよ!」と言って、今いるデッキから離れた、はるか高い場所にある、見張り台を指さした。
「ほら! 見える? あの見張り台の上に、二人ともいるよ!」
 ラズは上を見上げて、ネルーピーのいう見張り台を、よく目をこらして、じっと見た。
 すると、海賊服を着たリドとロアルドおじいさんが、単眼鏡を持って、興味深そうに下を見下ろしている姿が、ラズの目に入った。
「本当だわ!」
 ラズが声を上げた。
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