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EX

囚われた柚希2(2/2)

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side:涼一


大学から柚希達の学校に向かうと、校門で何か騒いでいた。
「芹澤君が。」と聞こえたので、すぐに俺は状況を問い掛けた。
柚希とリシェールが知らない車で連れて行かれたのを見た、と。
別の生徒が捨てられた二人のスマホを渡してくれた。
リシェールまで連れて行かれたとなると、大体予想がついた。
俺はすぐに家に戻る。
必要な物を用意しながらパソコンのプログラムを走らせる。
すぐに結果が出た為、表示された場所へ急いだ。

ホテルに付くとまずはリシェールが居る場所へ。
予め複製しておいたカードキーで部屋を開けると、リシェールが申し訳なさそうな顔をしていた。
「3010。済まない、柚希が人質に捕られて…。」
数字は柚希が居る部屋だ。
柚希の居場所に走りながら、時折邪魔して来る奴等を一発で沈めていき、すぐに来そうなエレベーターを止めて三十階へ向かう。
部屋に着き扉を開けると素早く入ったリシェールが、佐伯の攻撃を避け、金的を喰らわせた。
更に追撃で踏みつける。
同じ男なのに容赦が無い所は流石だ。
俺は奥の部屋に足を向ける。
鍵を開くと、柚希を見つける。
ナイフを持った川上が柚希の上に覆い被さっていた。
何故か勝ち誇ったような笑みを見せる川上。
ナイフで自害しようとしていたので、素早く蹴りを入れて壁まで飛ばしてやったら、頭を打って気絶した。
「柚…希?」
ピクリとも動かない柚希。
「呼吸が無い…っ!」
すぐに柚希に救命措置を施す。
措置をしながら柚希の首の跡に気が付く。
そう言えば川上は以前も柚希と死のうとしていたな。
「っ……けほっ…!」
「柚希!」
急に酸素を吸ったため咳き込む柚希を抱き寄せて、背中を撫でる。
「……りょ…いちさん…また…置いて……行くかと…。」
弱く微笑む柚希。
「もう喋らなくていい、休め。」
その言葉に安心したように、再び柚希は目を閉じた。
呼吸はしてる、大丈夫だ。
柚希をシーツで包んでリシェールの元に行く。
佐伯も気絶していた。
リシェールに柚希を渡す。
「リシェール、柚希を連れて先に帰ってくれるか?」
「……わかった…。」
俺がこれから何をするのか、大体だが予想がついた様子でリシェールは深く息を吐き出すと、すぐに柚希を抱えて出て行った。
完全にリシェールの足音が消えたのを確認してから俺は動いた。
まずは面倒なので川上の首根っこを掴んで、佐伯の傍に投げる。
用意してきた道具から筋弛緩剤を二人に投与して起きるのを待った。

「…お前達は日本の法律なんかで裁かさせない。」
佐伯は天涯孤独で、川上はニートで家族ももて余しているらしい。
この二人が居なくなっても困る奴は居ない。
俺の言葉が何を意味するか予想はしたようだが、恐らく二人が想像した以上の事をしてやるつもりだ…。



side:リシェール


四時間位経って涼一は帰って来た。
服が変わっていたから何かしらで汚れたのだろう。
「川上が、意識を失った柚希の首筋にナイフを突き付けて、しかも柚希の首を薄く切って見せた。後から現れた佐伯だけなら最早敵では無かったのだが…。柚希と別の車であのホテルに連れていかれて閉じ込められた。」
状況を説明すると、涼一は頷いてから柚希の髪を梳くようにそっと撫でる。
「二人が拐われたのを聞いてすぐ俺は、監視カメラをハッキングして、AIで二人の映像を探した。柚希が捕まってた階はVIP仕様でカメラがなかったから助かった。」
そう言うと私に近付き頭を撫でて来る。
慰めてくれているのがわかる。
「ん……。」
柚希が目を覚ました。
痛々しい首の痕や切り傷は治してある。
涼一が柚希を抱き締める。
「克兄さん達は…。」
「生きてはいる。もう二度と柚希の前に現れる事は無い。」
「それは…。」
「非人道的な事はした。軽蔑するか?」
やはり、と思った。
内容まではわからないが、どう見ても凄まじい程に怒っているのが見て取れたからな。
まだ起きるのが辛そうな柚希が、腕を伸ばして涼一の頭を抱き込む。
「僕のためにしてくれたんでしょ?それに、涼一さんがした事を例え誰もが悪いって言ったとしても、僕だけは何があっても涼一さんを肯定するよ。」
柚希へ愛おしそうに頬擦りする涼一。
「リシェールも有難う。巻き込んでごめんね…。」
辛そうな表情を浮かべる柚希。
「いや…助けられず酷い目に合わせて、済まなかった…。」
「聞いた限りの状況では、リシェールが一人で柚希を助けるのはかなり難しかっただろう。リシェールが部屋の場所を教えてくれなかったら、柚希はもっと酷い事になっていただろう。有難うな。」
涼一はそう言ってくれた。
「…有難う。」
私が気にしている事を察してくれた。
私は礼と共に微笑を向けて返す。
「もうあの二人は二度と来ないから平気だとは思うが、今後は常に三人で行動するようにスケジュールを組むからな。」
柚希と私にそう言い聞かせる。
柚希は済まなそうな表情で頷く。

まだ柚希は疲れているのが見て取れたので、程なくして広いベッドで三人で眠りに就いた。

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