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最終章

芹澤柚希

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 ………僕はどうなったんだろう……。

「リシェール!」

 僕を…リシェールを呼ぶ声。
 そうだ、今の僕はリシェール。

 ゆっくりと目を開いた。


 目を開くとここは何処だろう…見覚えはある。
「リシェール、しっかりしろ!」
 もう一度はっきり呼ばれて身体が揺すられる。

 目の前の人へと視線を向けて驚いてしまう。
「う、ウェルナート様!?」
 そこには分かたれてしまったはずのウェルナート様の姿。
 でも、髪や目の色が違う。
 目の前の彼は目も髪も黒だった。
「その呼び方はリシェ……柚希なのか!?」
 柚希と呼んだから僕を知っているっぽいけど…。
 全く状況がわからずオロオロしてしまう。
「落ち着いて聞いてくれ、説明するから。まず、俺の名前は『鷹宮涼一』で、ここは柚希の部屋だ。」
 ウェルナート様にしか見えない涼一さんの言葉で周囲を見回すと、確かに僕の部屋だった。
 帰って来れたんだ。

 すぐにベッドから起き上がると鏡を見た。
 リシェールにそっくりだけど、髪も目も、少し茶色掛かった黒色の、僕に戻ってて安堵する。
 すぐに涼一さんを振り返ると、もう一つ気になっていた事を思い出した。
「確か…僕は階段から落ちて…。」
「寸でのところで柚希の姉さんが、襟首を引っ張ったから大丈夫と言っていた。」
 階段から落ちるとか今時…涼一さんも思ったのか軽く噴き出していた。
 ……恥ずかしい。



「リシェと分断された俺は、元の世界に戻されてから直ぐに、柚希の姉さんゲーム会社に連絡を取って柚希を探した。柚希の部屋で探し当てると、柚希の姿をしたリシェールが居たんだ。」
 入れ替わっている間、ちゃんとこっちの世界も動いていた事がわかる。
「さっきまでリシェールと『柚希を救う方法』について話し合っていたら、急にリシェールが倒れた。…それで今に至るだ。」
 そう言えば…暗い闇しか見えなくて、急に光を感じた。
 『ごめんなさい』って聞こえたから、きっとリシェールが…。

「それで涼一さんは、僕と居たウェルナート様なんですか?」
「まあそうなんだが…。」
 やっぱり!
 でも何か歯切れが悪い?
「複雑なんだがよく聞いてくれ。まず『ウェルナート』というのは、柚希の姉さんが、テレビで見た俺をモデルに作った『ゲームキャラ』なんだ。」
 姉さんが方々に迷惑を掛けていることを知らされる。

 そして思い切ったような表情になった涼一さんが、口を改めて開く。
「そして俺は『アレクシウス』の『生まれ変わり』なんだ。」



 余りの展開に目を見開いて涼一さんを見つめた。



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