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最終章

リシェール・ファルセア・シュゼ・ルキウス  ~ ※ 輪姦・二輪

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「アレクシウス様!」
 公務や執務の合間にアレクシウス様と会うのが楽しくて、姿を見ると急いで駆け寄ってしまう。
「リシェールか…。」
 アレクシウス様の表情は余り変わらないように見えるけど、少し微笑んでくれている。
「『リシェ』でいいです、呼びづらいでしょ?その代わり僕も『アレク様』って呼んでいいですか?」
「構わない。」
 嬉しくなって、笑顔になってしまう。
 ほんのちょっとだけ憧れの眼差しを乗せてアレク様を見る。
 だってアレク様は、誰よりも強い闇魔力を持っているのに、驕る事もなく、一切その魔力を使わないでいる。
 闇属性は忌避されているから。
 優しいアレク様は、人々を怖がらせないようにと闇の魔力を使わないでいる。
 そんな優しくて本当は強いアレク様に、僕は好意を寄せていた。

「ぅ…?」
 前触れも無くアレク様に口付けられた。
 驚きに目を瞠ってしまう。
 背中がしっかりと抱き竦められてしまい、身体が固まったように動かない。
「ん……っ!」
 思わず喉を鳴らしてしまうと、弾かれたように唇を離すアレク様。
「…すまなかった。リシェを想う気持ちが止められなかった…。」
 謝罪を口にしながら熱い眼差しで僕を見つめて、頬を壊れ物でも触れるような手つきで撫でる。
 だから自然に僕は返事を口にしていた。
「僕も…アレク様が……好きですよ?」
 言ってしまった…。
 ドキドキしながら上目でアレク様の眼差しを窺うと、驚いた顔になるアレク様。
 でもそれは一瞬で。
 身体がフワリと浮いたと思ったら、アレク様の寝室まで抱き運ばれた。


 ベッドに降ろされてしまうと何だか気恥ずかしい。
 顔が熱くなる。
 そんな様子を眺められていた。
 きっと耳まで赤くなってしまってる。

 アレク様が覆い被さって来る。
「リシェ……俺の物にしてしまって、いいのか?」
 直接な言葉で、胸が早鐘を打つ。
「僕を…貰って下さい…っ、アレク様…。」
 恥ずかしさで涙目で見つめながら、覚悟ををアレク様に伝えた。

「っ…リシェ!」
 いきなり荒々しいキスが唇を含む。
 角度を変えて何度も。
 舌が僕の舌に擦り合わされて。
「ん…ふぁ……んっ!」
 アレク様は硬いものを僕のそこにグイグイ押し付けながら、唾液を僕の口内に流し込んでくる。
「んっ…んっ……。」
 喉を動かしてアレク様が注ぐ唾液を嚥下していると、アレク様が性急に首を舐めそこに歯を立てて来る。
 いつもの穏やかな目じゃ無く、ギラギラしている。
 ちょっとだけ怖くて身体を震わせた。
「リシェ……男を煽るな…。」
「ん…っ!…煽って…なんか無いです…」
 噛まれた首がじんわり熱くて身体をぴくりと跳ねさせると、我に返った様子のアレク様の愛撫が止まる。
「ああ、そうだったな。リシェが愛おしくて、反応の全てにそそられてしまう…。リシェが俺の唾液を飲んでくれるなんて思ってもみなかったからな…。」
 普通に思った通りの事をしただけだと思っていたから、改めて言われると顔が酷く熱い。
「…リシェのその表情…反応の一つ一つが可愛くて仕方がない。初めてだから優しくしてやりたいのにリシェは無意識に煽ってくるからな…。」
「あ、煽ってません……って…。」
 アレク様が意地悪なので、少しだけ片頬を膨らませて見る。
「……可愛いな…。そういうのを煽っていると言っているんだ。先程から何回……。」
 僕の髪をサラサラと流すように弄びながら、アレク様がぼやく。
 最後の方は声が小さくて聞こえなかった。
 言われる言葉の全てが恥ずかしい。
「出来る限り優しくする……理性の範囲でな。」
 そんな風に言われたら怖い。
 アレク様に向けた眼差しに、ほんの僅かな怯えを混じらせてしまう。
「…っ!愛してる、俺だけのリシェ!」
 アレク様が急に切羽詰まったようになり、唇を強く奪われる。
 荒々しく服が剥ぎ取られてしまう。
「んんっ!ふ…ぅ…っ!」
 キスだけで感じてしまい、声が上擦り始めてしまう。
 服が全て取り去られると、アレク様の口付けが一度離れる。
 荒く呼吸をしながら、二人の間に伝う唾液の銀糸を眺めてしまう。
 キスで涙が浮かんで、呆然とアレク様に視線をやった。
「…っ!煽るなと言っているのに…。」
 アレク様は自分も服を脱ぎ捨てると動きを止めて、僕の身体に視線を遣る。
 あちこちを眺められて羞恥心が高められてしまう。
「…綺麗だ…リシェ……。」
「……あ……見ないで……ぁ…ぅ…。」
 顔に熱が集まる。
 シーツを握る手に力が入る。
 恥ずかしさで震えていたら、勢い良く僕の胸の飾りを口に含んでしまうアレク様。
「ああ…っ!そんな…あっ!」
 舌で転がされ吸われてしまう。
「ひゃ…っ!?あ…レク様…ぁ…そこは…っ!」
 感じ過ぎて怖い。
 イヤイヤと首を振って、身体を捩らせながらアレク様にお願いの眼差しを向けてみた。
「リシェ……。」
 何だか苦笑を浮かべるアレク様?
 止めてくれるのかと思ったら、もう片側が乱暴につねられる。
「ん…あぁ!だめ…です…っ!へんに…なっちゃ…んっ!」
 声が甘ったるく上擦って上がる。
 アレク様がリップ音をわざと立てて、口が何度も意地悪く攻めてくる。
「は…あ…ぁ!アレク様…あっ!いじめないで…くださ…っ!」
 胸を腰を押し付けるように動いてしまう。
 いつの間にか触れられてもいない股間が濡れてしまっている。
「…っ、リシェ…もう、リシェが欲しいっ!」
 荒々しくなったアレク様がオイルを手に取り、僕の中に指を入れて来る。
「あっ!あっ!ヌルヌルぅ…入って来ちゃう…ぅ!」
 自分でも弄ったことがないそんな所に異物感を感じて、変なのに気持ちいいなんて感じてる自分が恥ずかしくて。
「ゆび…じゃ…ぁなくっ、アレクさまをくださ…んんっ!」
 僕のそんな箇所を拡げるような動きに恥ずかしさが堪え切れなくなって、両手で顔を隠しながら腰をくねらせて、アレク様自身を思わず欲する言葉を上げてしまってから、より恥ずかしい事を言ってると気付いた。
 もう顔が熱くて手が退かせない。
 突然指が引き抜かれる。
 アレク様はのしかかって来て、僕の両手首を頭上で一纏めにして掴んでしまう。
 顔が隠せない。
「アレク…様…おねがい……み、見ないで…。」
 荒い呼吸で僕を眺めるアレク様。
 僕はどんな顔をしてしまってるのか、自分の事なのにわからない。
「は…っ…リシェ…俺のだ…俺だけの…っ!」
 僕に興奮してくれてるのかな。
 でも少しだけ怖い。
 目に涙を滲ませてしまったその目で、僕を見つめる黒い瞳を見返したら、僕の中にアレク様が押し入って来た。
「―――っっ!!」
 アレク様の大きさはわかっていたはずなのに、予想以上の苦痛で下半身がガクガク震えてしまう。
「リシェ…深呼吸してくれ…っ。」
 アレク様も辛そうなので、必死に深呼吸する。
 身体の力を抜いていると、アレク様が空いてる方の手で結合部に油を追加してくれる。
 少しずつ下半身の力を何とか抜くと、すぐにアレク様は奥まで腰を進めてくる。
「アレク様が…僕の中に入っ…ちゃった……ぁ。」
 襞がずり上がるような摩擦。
 あんな大きなモノを自分が飲み込んでいることに身体が熱くなって、腕が掴まれてて隠せない顔を横に向けて目を瞑る。
「可愛いリシェ…誘惑ばかりして…。全く手加減出来る気がしない。」
 呼吸荒く欲情の眼差しを向けるアレク様が、僕の中で大きさを増した。
「あぁ…おっきく…なってるっ、アレク様が…なかで…!」
 緩めたつもりがさらに大きくなられて、その隙間を埋められてしまい拡げられる感覚に僕の息も乱れる。
 急に腕が解放されたと思ったら両足が掴まれて思い切り開かされてしまい、恥ずかしがる間もなく突き上げが開始された。
「は…っ!リシェ…リシェ!俺を狂わせる…なっ!」
「ああぁ……っ!あれ…くさま…っ!はげし…っ!ああっ!!」
 僕の内壁を擦る激しさに徐々に中が解れて、アレク様を絡め取るように蠢く。
 一点が貫かれた瞬間、僕は腰を跳ねさせてしまった。
 僕の敏感な箇所が見つかってしまう。
「ここ…がいいのか…っ?」
「だ……め…です…ぅ!そこは……ぁっ!!」
 弱点がガンガン突き上げられると、何も考えられなくなる。
 後ろが切なくて、股間に熱が集まる感じでどうしたらいいかわからなくて、アレク様に懇願の眼差しを送る。
「っ…イきたいか、リシェ!」
「イきたいっ!お、おねが……あぁっ!あれくさま…っ!」
 舌が思うように動かせなくて舌っ足らずになってしまう喘ぎでどうにか返事をすると、アレク様の突き上げが僕の弱点ばかりを抉るように突き上げてくる。
「ああっ…!あれくさま…へん、なっちゃ……!!」
「……リシェ!滅茶苦茶にしてやる、リシェ…俺だけの…!」
「あれく、さまっ、イっちゃうっ!!りしぇのこと…っ、こわしてっ!あれくさまだけの、ものにしてっ!あああっっ!あああーーっっ!!」
「リシェ!こわれ…ろっ、くっ…!」
「あれくさまっ!あれくさま……っ!すき…すきぃ…っあああ…っ!!」
 射精すると同時にアレク様の精が注ぎ込まれた。
 注いでもらうのも気持ちよく感じてしまう。

 息荒いままアレク様を見ると 、アレク様も僕を見ていたから、微笑みを浮かべてみる。
「……。」
 アレク様は黙ったままで深く息を吐き出して目頭を揉み出した。
 どうしたんだろう?



「リシェ、一週間程他国に行く用事がある。」
 行為が終わった後、ベッドの中でアレク様に抱き締められながら話を聞いている。
 一週間も逢わないなんて最近無かったから寂しいな。
 表情に出てしまったのか、アレク様の手が頬を撫でて来た。
 むず痒いような感じがして、照れてしまいながら嬉しさの余り微笑みをアレク様に向けると、何故か密着していた腰がそっと離された。
 思わず首を傾げてしまう。

「帰ったら…結婚してくれないか?」
 ……驚きの余り口を開いて固まってしまう。
「駄目か?」
 不安そうになるアレク様。
「嬉しいに決まってるじゃないですか…。」
 嬉しくて目一杯の笑みで答えた。
「…リシェール・ファルセア・シュゼ・ルキウス、俺と結婚してくれ。」
「はい、謹んでお受けいたします…。」
 嬉し涙をアレク様が唇で優しく吸い取ってくれた。
 こんなに幸せでいいのかな?

 見詰め合うと、同時にお互い唇を寄せていた……。
 深い深いキス。
 お出掛けするアレク様を見送るように。
 大切なアレク様が無事に帰って来ますように。
 
 何も心配は無い…なのにどうしてだろう。
 どうしてこんなに不安なんだろう。
 きっとアレク様に言ったら笑い飛ばしてくれるに違い無い。
 一緒に笑って流せるはずの事なのに。

 どうして僕はその時の不安を口にしなかったんだろう……。

 僕は結局アレク様を笑顔で見送った…。



 アレク様が出掛けて三日後、僕は父である国王陛下に断罪された。 

 身分も剥奪されて、奴隷として売られた。

『闇属性の者と通じたから』

 何が悪いのかわからない。




 僕を買ったのは他の国の貴族だった。
 僕は全く知らない人だったけど、相手は僕を知っているようだった。


 広い部屋の真ん中で、手が後ろで縛られて床に転がされている。
 魔封じの戒め…魔法が使えなくなるらしい。
 魔法なんか使ったりしないのに。

 何も考えないように諦めてじっとしていた。
 数分後、扉が開く音がして目が醒める。
 疲れの余り意識が落ちていたらしい。
 入って来たのは10人程の貴族の男達だった。
「リシェール王子、お目覚めかい?」
 ニコニコと友好そうな笑顔を浮かべてくる男。
「僕はもう王子ではありません。」
 そういえばまだ洋服が王子の時のままだ。
「そうそう、確か魔族とヤりまくって追放されたんだっけ?」
「…っ!魔族じゃないです!」
 アレク様を魔族扱いされて思わず睨み付ける。
「まだいい顔出来るじゃないか!」
 そう言うと男は僕に近付き、服を破る。
「……っ!?」
 そうか奴隷だもん、そういう事だよね。
 全てを諦めて身体の力を抜いた。


 僕を全裸にすると男はのしかかってくる。
「ほんとに綺麗な顔だな。闇の皇子も誑かされるわけだ。」
 返事する気にもなれない。
 僕の反応が気に入らないようで、男は何も用意無く、いきなり後孔に挿れてきた。
「い…っ!」
 さすがに呻き声が漏れてしまう。
「なぁ、リシェール王子。賭けをしよう。」
「…賭け…っ?」
 痛みに僅かに呻きながら訝しんで聞き返してしまう。
「リシェール王子は闇の皇子を信じてる、だろ?だから『闇に汚染されることは無い。』と証明出来ればリシェール王子の勝ち。そうしたらこの国で奴隷ではなく保護してやる。」
 全くわけがわからなくて首を傾げる。
「つまり…闇の皇子に洗脳されていない事を証明してもらう。」
 洗脳なんかされてないから勝負になるわけないけど、僕にとっては良い条件だった。
「どうやって、証明を?」
 聞くと男は契約書を出してくる。
「さっきの条件で書いてあるから、条件の宣誓をしてくれる?」
 不安だ、何かおかしい。
 書面に目を通すと確かに言われた通りだった。
 でも……。
「そう、負けたら私と結婚してもらう。簡単だろう?あの闇の皇子を愛してるならそれを貫くだけでいい。」
 愛を貫くだけ……なら、出来る?
 後ろの痛みもあって、多分僕はもう頭がよく回ってなかったんだと思う。
「リシェールはこの条件を受け入れます。」
 契約書が光って消えた。
 突然、僕の中に入ったままの男に唇が奪われる。
「んんっ!」
 首を振って嫌がったけど何か飲まされた。
「それは媚薬だよ。即効性だからすぐ効いてくる。」
 何でそんな物をと、理由の不明確さに不安になる。
「さあ、証明してもらうよ。洗脳されてなければ感じてイったりしないだろう?闇に犯されてなければ淫売のように誰にでも感じたりしないよね!」
 ようやくわかった、最初から僕を玩具にする気だったんだって……。
 気付いた僕が目を見開いた時には、僕の選択が間違ったと気付いた時には、全てが手遅れだった……。


「ん……っく…」
 拘束が解かれ、床の上で四つん這いにさせられて後ろに突っ込まれながら口に別の男が入る。
 媚薬のせいで身体が熱い。
 必死に突かれたら拙い所を逃がすように腰を動かす。
「腰がいやらしくくねってるよ、リシェール王子様。一度貴方をこうして組み敷いてみたかったんだ!」
「んっ…っ!」
 あの契約書は本物だったから、この場さえ乗り切れば何とかなるかも。
 それだけを考えて必死に堪えた。

「そろそろ本気出しますか。おい!」
 口に入っていた男が腰を引く。
 後ろから抱え上げられる。
 まだ後ろから貫かれているのにそこに、男のモノが捻じ込まれてしまう。
「いっ…ああっ!」
 感じた事の無い痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。
「さすがにきついな。でも…此処がいいんでしょ!」
 性感帯が見つけられて突かれてしまう。
 合わせるように前の男に擦り立てられる。
「っ…い……ゃ…!っ…ふ…っ!」
 必死に堪えるけど、腰がびくつく、中が熱くて擦り上げを望んでしまいそうになる。
「くっ…!いやらしい孔だな。吸い付いてくる!」
 中で二人が放つのを感じた。
 二人が引き抜くと、別の二人が入って来た。
「休ませるなよっ!」
 非情な命令を下しながら男はネットリと僕の耳を舐めて言う。
「ねえ…リシェール王子、私は貴方が好きなんだよ。だから『闇は汚らわしい』って、ただ一言言ってくれるだけで楽になれる、ね?」
「楽……に…っ…?」
 男が僕の頬を撫でながら優しい声で言う。
 誘惑する言葉に落ちそうになる。

 一人終わると次にまた……一周終わったからってきっと終わらない。
 薬が、性感帯責めが僕を追い詰める。

 諦めてしまおう……!

「ふぁ……あっ!く……っ!!」


 イきそうになった直前で僕は舌を噛み切った…。


 アレク様を汚す言葉を言うぐらいなら僕は……!

 他の誰かの物になるぐらいなら…………!




 ごめんなさい……帰りを待てなくて……。


 お嫁さんになる約束も守れなくて……ごめんなさい、アレク様……。


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