上 下
45 / 67
EX3

俺の呪いが解ける時

しおりを挟む
side:ウェルナート(涼一)



(少年王子1部時点)


リシェへの恋心を確信した瞬間から、自分がおかしい事に気付いていく。
確かにゲームでは外見はタイプだった。
でも今目の前に居るリシェールはリシェールじゃない、この子は『リシェ』なんだと強く思う。
愛称呼びが何だと言うのか自分でもわからない。
ともかくゲームのリシェールとは表情も口調も違い過ぎる。
恐らくこの子も俺と同じだ。
見ていると何度も『僕』と言いかけては『私』と言い直す事がある。
親しく話すようになってからはそれが顕著だ。
そこまでして自分が別人である事を隠したがっているのを俺は敢えて暴こうとは思わなかった。
だがこれがゲームではないとはっきりわかった時点で、ゲームの通りにヒロインに盗られる事になる可能性を潰したい。
この子は俺の……俺の何だと言うのか自分でもわからない。
そう、自分の事なのにわからない感情が渦巻き、何かを思い出そうとしている感じだ…リシェに逢ってから。
もしかしてこの子に元の世界で逢っている?とも考えたが、俺自身が生まれて来てから誰かにこんな思いを抱いた事が無い事を、俺が一番良く知っている。
俺がおかしくなったのはこっちに来てから……いやリシェと逢ってからだ、それは間違いなく言い切れる。
色々おかしい事に気付いてもどうする事も出来ない。
今出来るのは、リシェを手に入れる事だけだ。
なかなか実行出来ないでいるともどかしい。
元の世界の俺は何でも自信を持って出来た人間だった。
なのにそれが今出来ないでいる。
それに俺は感情が無だった筈。
リシェに関する事だけ感情が普通の人間のそれになっている感じだ。
元々は感情があったのに何かに絶望していたような。
『……と逢えない人生には意味が無い。』
そんな声が心の奥底から聞こえていたような。
その相手がリシェなのだろうか。
そこにも確信が持てないせいもあって、自分自身にもリシェにも探り探りになってしまっている。
そもそも手に入れるってどうするんだ?
エロゲーではキスしてSEXだった。
だが昔から俺はキスやSEXを自分がする事は否定的だった。
現実にやるのとゲームとは違うしな。
だけど……リシェの唇を窺うと、いけそうな、むしろしたい気がしていた。

結局何の障害も無くあっさり俺はキスやらSEXを自ら望んでやった。
割と無理矢理強引に。
けれどその行為が凄く安心した。
『俺の物だ』と。
『ようやく逢えた』という謎の記憶と同時に全ての感情を取り戻していた……。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

あの時ちゃんと断っていればこんなことにはならなかった

BL / 連載中 24h.ポイント:120pt お気に入り:808

数十年ぶりに再会した神様に執着されて神隠しに遭う話

BL / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:291

2階の部屋ではいつも喘ぎ声が聴こえる♡

BL / 連載中 24h.ポイント:695pt お気に入り:904

両手に野獣

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:22

変態の館

BL / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:161

運命の愛を紡いで

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:745

溶かしてくずして味わって

BL / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:163

処理中です...