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EX3

side:涼一 (LOVE LESSON LESSON18.5より)

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リシェールは太腿に一発喰らっていたが、柚希の完全治癒により深刻な状態になる事は無かった。
前の事を考えて今は血液製剤も用意済みだ。
ただ、状況はお通夜状態だった。
誰もが何も言い出せないような…。
「もうさ、こっちでみんな暮らそうよ。こっちの方が安全じゃない?」
口火を切ったのは陽太だった。
多分言われなくてもこの場に居る全員それに気付いている。
「僕は……言える立場じゃないから…。」
「佐伯を追い詰めたのは俺だ。そうでなくても勝手に襲って来たのが悪い。」
「気にしないで欲しい柚希。私は柚希には返し切れない恩がある。今日役に立てた事は嬉しかった…。今日だってこうして助けて貰っている。心配を掛けて済まなかった…。」
「リシェールはどうしたいの?」
陽太が拗ねた様子でリシェールを撫でながら訊ねる。
「…確かにこちらの方が安全だ。だがそれはあくまでこの国が『柚希の結界』のお陰で平和であるからだ。ずっと柚希に助けられたまま安全な所で柚希を犠牲にしたくはない。」
「でも……。」
「助け合いだと言うのなら、私にも柚希を助けさせて欲しい。」
「もう一度だけ危険な目に合ったら、その時は向こうを放棄しよう。俺も出来る限りリシェールも護る。」
今日の事を踏まえて、俺自身の行動も色々修正しなければならないと考えていた。
「とにかく私はこうして今は無傷だ。何も無かった。それでいい。いや、そうして欲しい。まだ向こうで経験していない事もある。」
「うん……有難う。」
「礼を言うならば、私はそれこそ柚希に数え切れない程しなければならない。」
「うん……。」
リシェールの胸元に顔を押し付けて泣く柚希。
おずおずと柚希を撫でるリシェール。
大人二人は内心ろくな事を考えていない。
顔を赤くする陽太の内心がわかってしまう…おそらく同じ事を考えているから。
『百合ップルは見てて萌える!』と……。

柚希は暫く泣いて疲れて眠ってしまい、リシェールも出血で疲れたらしく、やはりすぐ眠ってしまったので、二人はこのまま並べて寝かせておいた。

俺と陽太は執務室へ。
仕事をしながらだべっていた。
「でも本当にさ、あっちに居る意味無くない?俺的にはあっちっていいこと何も無い気がするんだけど。」
「執着は無いけどな。ただ、俺達三人は元々こっちの人間だから、あっちへの好奇的な感情があるんじゃないかと思ってる。」
「そっか、元々あっちに居たのは俺だけかー。」
何となく陽太は納得してくれたようだ。
「まあ、俺は柚希が居るなら何処だっていいんだが。」
柚希の名前を口にしただけで顔が見たくなった。
俺は書類の束を手にすると席を立つ。
「柚希を見ながら仕事する。」
「あっ、俺も!」
結局リシェールの寝室から柚希を連れて、客室のベッドに移った。

ベッドの中で眠っている柚希の横で仕事をしているとやはり落ち着く。
「柚希を保護したから俺は何処にだって行ける…。」
泣いた目許はリシェールが治癒したらしく治っていた。
そこにキスを落とす。
後は佐伯の事を気に病まないといいのだが…。


日本に戻ると佐伯が銃刀法で捕まったと聞いた。
リシェールが撃たれた事は隠蔽していたから。
柚希の動きで撃たれた事が誰にも見られなかったのが幸いした。
警察とか面倒だし、リシェールの怪我の治癒の説明も出来ないからだ。
今日は一日休んで気分転換に行くつもりだ。


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