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ジョシュア様から最初の書簡が来てから20日経った。リーンが部屋に来るのも3回目だ。
「セリーナ様。殿下らしい怪我人がふもとの村の外れに住む民の家で見つかったそうよ。どうする、行ってみる?」
いつものようにリーンの足環から取った通信筒の中身を見たエルシィ様が、こちらに笑顔を向けてくる。
「行きたいので陛下と義父に相談します。」
「じゃあ、私も支度をしに一度帰るわね。出来るだけ動きやすい服に着替えてね。」
すぐにおとうさまに連絡を取り、陛下への報告をお願いした。
エルシィ様が動きやすい服と言っていたので、乗馬服に着替えて荷物も最低限にする。
1時間ほど後にエルシィ様が男装で現れた。
「お待たせ。セリーナには私の馬に一緒に乗ってもらうわよ。」
エルシィ様の前に乗せてもらい、走り出す。散歩程度のスピードでしか乗らない私は舌を噛まないようにするのが精一杯だった。
2日走り続けて、とある街に到着した。
「エルシィ様、着いたんですか?」
「まだよ。馬がもたないから、ここで休憩入れて馬を乗り換えるの。大丈夫?」
「がんばれます。」
「それじゃ行くわよ。」
もう1日走り通して着いたのは、それほど大きくない村の入口だった。村の中ほどにある他より少し大きな建物が村長の家らしい。
「エルシィ!」
エルシィ様を見つけたジョシュア様が駆け寄ってきた。
「ジョシュア、フレディは?」
「ここから少し山に入ったところにある、木こり小屋にいる。ただ2人には先に言っておくが、ショックのせいか記憶が落ちている部分がある。とにかく行こう。」
木こり小屋に着いて、ドアを開けると粗末なベッドに寝ている人がいた。駆け寄ると包帯だらけの男性…間違いなく会いたかった殿下だ。
「殿下、ご無事だったんですね。」
「ん、君はアイリス?私が怪我をしたと聞いて会いにきてくれたのか?御夫君や御子は一緒ではないのか?」
「殿下?私は…」
「すまない。私は最近の記憶がないのだが、アイリスだよな?」
殿下が私を分からない。その事が重くのしかかる。
「フレディ、どういう事?」
「エルシィ、アイリスと仲良かったなんて知らなかったよ。」
記憶はどうもここ1年くらいがストンと落ちているようだ。
土砂崩れに巻き込まれて10日ほどして意識が戻って、殿下が話が出来る状態になったものの記憶が抜けて、なぜここにいるかが分からないために王太子であるという事が周りに分からず、探しに来たジョシュア様が見つけたと言う事らしい。
「殿下、ご無事でよかったです。これからお元気になるまでお世話させて下さい。」
「アイリス、ありがとう。」
私は今、盛大にしっぺ返しを受けているのかもしれない。殿下を騙して候補になり、辞退した…
殿下の中にはセリーナとの思い出は何もないのだから。
「セリーナ様。殿下らしい怪我人がふもとの村の外れに住む民の家で見つかったそうよ。どうする、行ってみる?」
いつものようにリーンの足環から取った通信筒の中身を見たエルシィ様が、こちらに笑顔を向けてくる。
「行きたいので陛下と義父に相談します。」
「じゃあ、私も支度をしに一度帰るわね。出来るだけ動きやすい服に着替えてね。」
すぐにおとうさまに連絡を取り、陛下への報告をお願いした。
エルシィ様が動きやすい服と言っていたので、乗馬服に着替えて荷物も最低限にする。
1時間ほど後にエルシィ様が男装で現れた。
「お待たせ。セリーナには私の馬に一緒に乗ってもらうわよ。」
エルシィ様の前に乗せてもらい、走り出す。散歩程度のスピードでしか乗らない私は舌を噛まないようにするのが精一杯だった。
2日走り続けて、とある街に到着した。
「エルシィ様、着いたんですか?」
「まだよ。馬がもたないから、ここで休憩入れて馬を乗り換えるの。大丈夫?」
「がんばれます。」
「それじゃ行くわよ。」
もう1日走り通して着いたのは、それほど大きくない村の入口だった。村の中ほどにある他より少し大きな建物が村長の家らしい。
「エルシィ!」
エルシィ様を見つけたジョシュア様が駆け寄ってきた。
「ジョシュア、フレディは?」
「ここから少し山に入ったところにある、木こり小屋にいる。ただ2人には先に言っておくが、ショックのせいか記憶が落ちている部分がある。とにかく行こう。」
木こり小屋に着いて、ドアを開けると粗末なベッドに寝ている人がいた。駆け寄ると包帯だらけの男性…間違いなく会いたかった殿下だ。
「殿下、ご無事だったんですね。」
「ん、君はアイリス?私が怪我をしたと聞いて会いにきてくれたのか?御夫君や御子は一緒ではないのか?」
「殿下?私は…」
「すまない。私は最近の記憶がないのだが、アイリスだよな?」
殿下が私を分からない。その事が重くのしかかる。
「フレディ、どういう事?」
「エルシィ、アイリスと仲良かったなんて知らなかったよ。」
記憶はどうもここ1年くらいがストンと落ちているようだ。
土砂崩れに巻き込まれて10日ほどして意識が戻って、殿下が話が出来る状態になったものの記憶が抜けて、なぜここにいるかが分からないために王太子であるという事が周りに分からず、探しに来たジョシュア様が見つけたと言う事らしい。
「殿下、ご無事でよかったです。これからお元気になるまでお世話させて下さい。」
「アイリス、ありがとう。」
私は今、盛大にしっぺ返しを受けているのかもしれない。殿下を騙して候補になり、辞退した…
殿下の中にはセリーナとの思い出は何もないのだから。
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