男装令嬢とわがまま王子

里中一叶

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学園祭

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入学してしばらくすると学園祭の準備が始まる。1年はホームルームごとに出し物や店をやることになっている。私のクラスは、劇をやることに決まった。決まったんだけど、なぜ私がヒロインなんだ?
私のドレス姿が見たいというエレナにみんながのってしまった。
ストーリーはありきたりなお姫様を悪者から助ける王子、最後はハッピーエンド。悪者はクラス1体格のいい騎士団長の息子ジンになり、次は王子を決めることになった。
候補は侯爵家のエドワード、ブリットンの王子カイの一騎打ちだったはずなのに、黒板にはもう1人名前が書かれている。レイモンド⁈
「レイ。あなたこのクラスの人じゃないから、クラスの出し物にいたらおかしいでしょ⁈自分のクラスでやればいいじゃない。」
「俺は会長だから全ての運営に口を出せる。劇が面白そうだから、このクラスのヒーロー役に立候補してやった。」
生徒会長だし、この国の王子だし4年に1年が勝てないと2人が辞退しクラスの出し物に出るのが、クラスの人間じゃないという変なことになった。
でも真面目で素敵な王子様という3年間のイメージをここのところ自分で壊してるけど、いいのかな。みんなあきれてる。ただ、私達が婚約しているのは、もうだいぶ知られているので、生暖かい空気になっているのは、やめてほしい。レイは、役がやりたいとわがまま言ってるだけで私を他の人に劇でも触れさせたくないとか勝手に盛り上がってないで!

悪役との戦いのシーンは偽物だけど剣を使うので、合わせるためにジンとレイは練習を昼休みにやるというので、クラスの女子たちと見に行くことになった。私はレイがどの程度出来るのかわからないので様子見だが、みんなは
「ミリアリアさんが見に行けばレイモンド殿下が喜びますわ。」
とよくわからないことを言っている。
模擬戦のような練習は、ただ戦っているというより剣舞を見ているかのような美しさがあり、私としたことがちょっとうっとりしてしまった。決してレイモンドにうっとりしたわけではない。そうよ、こいつは私が男の子と仲良くするのを邪魔するし、わがまま放題で私を振り回すんだから…

私と2人のシーンの練習は、最悪だった。投げやりでセリフと立ち位置の確認だけしかしない。
それでもみんなは、本番が楽しみだと言っているので、私がそれらしくがんばろうと思った。

ついに学園祭当日。いくつかステージを使うクラスがあるが、会長の都合とかで開会の挨拶の後すぐに私たちの劇ということになった。そのため挨拶に立ったレイモンドは衣装のままのため、いつもより王子様感満載でため息や抑えめの悲鳴があちこちで起きている。うん。わがままじゃなきゃかっこいいのは認めよう。

私の衣装は、フリルをふんだんに使いながらも子供っぽくならない青と白のドレスで舞台用に少し濃い目のメイク。
「やっぱりミリーは、こういうドレスが似合うと思う。」
エレナがそう言ってくれる。
確かに男装する前は、かわいいものやきれいなドレス大好きだったから、久しぶりのドレスにちょっとうれしい。それなのに舞台裏に戻ったレイモンドは、
「なんとか見れるな。あまりその格好でうろつくな。恥ずかしい。」
と不機嫌そう。嫌なら王子役やらなきゃいいのに…
劇が始まると主役は王子かと思うほど活躍して、ついに私を囚われの塔から助け出すシーンになった。
「姫!ご無事か?」
「王子様!」
2人で軽く抱き合うシーンなのにレイモンドに抱きしめられて、びっくりする。本当に心配してたかのような優しいけれど離さないという力強さで私は動けなかった。
「姫、怖かったでしょう。もう大丈夫。」
そう言ってレイモンドがお姫様抱っこすると客席からは悲鳴がいくつか聞こえ、私は台本と違うレイモンドの行動に頭が真っ白になった。

舞台の幕が下り、レイモンドに床にそっとおろされると
「あの程度で、セリフ落とすなんてまだまだだな。」
いつもの意地悪なレイモンドに戻っていた。くやしい!!
結局、学園祭の主役になりたかったレイモンドに振り回されたみたい。
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