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卒業
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ラルフ様とは、それ以上話が進むことがなく、卒業を迎えた。
「ミリアリア嬢、何度か貴女をと思ったけれど最後まで頷いてくれなくて残念だよ。」
「卒業おめでとうございます。今後も友人として仲良くしてください。」
「わかった。と言いたいけれど、諦めてないからね。」
「ラルフ様。 私…ジャルフじゃなかったら、手を取れたかもしれません。だから、もうこの話はしないでください。」
「そうか。私はミリアリア嬢にとって条件さえ合えば候補にしてもらえたくらいには思ってもらえてたんだな。ありがとう。」
ラルフ様との未来は描けない。でも一緒にいる間、温かな時間が過ごせたのも事実。これから決まるであろう結婚相手がラルフ様のように思える方ならいいな。
それからの時間は、勉強に追われる毎日だった。学園の授業はどんどん専門的になり、レポートや実地研修が増えた。家の方は、一部の影の統率を任されて師匠に教わりながら活動、合間に夜会やお茶会で人脈づくり。ラルフ様と一緒に何回か出るようになってからドレスを着るようになり、私もやる事に合わせて男装と使い分けることにした。
昔と違ってそれなりに男装しても様になるほどには成長したので…残念ながら女性らしい体型ではないので、お姉様方からそれなりに構っていただいている。ラルフ様とは友人と皆様、理解してくださり一時あったいじめのような雰囲気も今はない。
私が卒業まであと少しとなった頃、出席した夜会でのことだった。
「ミリアリア嬢。ご存知ですか?」
いつも構ってくださる公爵夫人が声をかけてきた。
「何か?」
「レイモンド殿下が久しぶりに帰国されるんですって。」
「らしいですね。」
「ミリアリア嬢に知らないことなんてないですわね。」
情報を落とすなんてジャルフ家にはあり得ないから、文字としては見ていた。何のために帰ってくるのかも。でも他人に言われて動揺するくらいにまだ引きずっていることを自覚した。勝手に告白して私の気持ちも聞かずに自己完結して、さよならも言わずにいなくなったから心が納得できてないということだろうな。
レイモンドは、この5年一度も帰国せずに、ゲーナット、アルタインと大使を2年ずつ務めて今年のはじめからシェルト大使になっている。帰国は、シェルト王女の留学付き添いだ。私の卒業くらいの時期だから、まだ会おうと思えば会えるだろう。もう少し遅ければ、私は影の支部でもあるお父様の実家へしばらく行くことが決まっているので、無理だったから。
会いたいけれど会いたくない。
どうしたらいいのか、わからないまま時間だけが過ぎていき卒業式を迎えた。
「卒業おめでとう。」
「ありがとうございます。お父様。」
「卒業パーティーまでエスコートが私で良かったのか?」
「だって相手いないんですもの。」
「こんなにかわいいのになぁ。ルード侯爵家との話を潰させてすまなかったな。」
「ラルフ様とは友人です。ご縁がなかっただけです。」
お父様とダンスを踊り、同級生達と別れを惜しんで話をして、みんなの今後を確認する。他の女子とは違い影の仕事のための情報収集としての会話をしていることを自覚し、私はやはりジャルフの娘なんだなと思った。
「ミリアリア嬢、何度か貴女をと思ったけれど最後まで頷いてくれなくて残念だよ。」
「卒業おめでとうございます。今後も友人として仲良くしてください。」
「わかった。と言いたいけれど、諦めてないからね。」
「ラルフ様。 私…ジャルフじゃなかったら、手を取れたかもしれません。だから、もうこの話はしないでください。」
「そうか。私はミリアリア嬢にとって条件さえ合えば候補にしてもらえたくらいには思ってもらえてたんだな。ありがとう。」
ラルフ様との未来は描けない。でも一緒にいる間、温かな時間が過ごせたのも事実。これから決まるであろう結婚相手がラルフ様のように思える方ならいいな。
それからの時間は、勉強に追われる毎日だった。学園の授業はどんどん専門的になり、レポートや実地研修が増えた。家の方は、一部の影の統率を任されて師匠に教わりながら活動、合間に夜会やお茶会で人脈づくり。ラルフ様と一緒に何回か出るようになってからドレスを着るようになり、私もやる事に合わせて男装と使い分けることにした。
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「何か?」
「レイモンド殿下が久しぶりに帰国されるんですって。」
「らしいですね。」
「ミリアリア嬢に知らないことなんてないですわね。」
情報を落とすなんてジャルフ家にはあり得ないから、文字としては見ていた。何のために帰ってくるのかも。でも他人に言われて動揺するくらいにまだ引きずっていることを自覚した。勝手に告白して私の気持ちも聞かずに自己完結して、さよならも言わずにいなくなったから心が納得できてないということだろうな。
レイモンドは、この5年一度も帰国せずに、ゲーナット、アルタインと大使を2年ずつ務めて今年のはじめからシェルト大使になっている。帰国は、シェルト王女の留学付き添いだ。私の卒業くらいの時期だから、まだ会おうと思えば会えるだろう。もう少し遅ければ、私は影の支部でもあるお父様の実家へしばらく行くことが決まっているので、無理だったから。
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どうしたらいいのか、わからないまま時間だけが過ぎていき卒業式を迎えた。
「卒業おめでとう。」
「ありがとうございます。お父様。」
「卒業パーティーまでエスコートが私で良かったのか?」
「だって相手いないんですもの。」
「こんなにかわいいのになぁ。ルード侯爵家との話を潰させてすまなかったな。」
「ラルフ様とは友人です。ご縁がなかっただけです。」
お父様とダンスを踊り、同級生達と別れを惜しんで話をして、みんなの今後を確認する。他の女子とは違い影の仕事のための情報収集としての会話をしていることを自覚し、私はやはりジャルフの娘なんだなと思った。
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