男装令嬢とわがまま王子

里中一叶

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アイナ王女

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レイモンドと一緒に戻るとアイナ王女がレイモンドの腕を取った。
「レイモンド様、急にいなくなったから探してましたのよ。」
「アイナ王女。エスコート役が席を外して申し訳ありません。ミリアリア。また連絡する。」
「レイ。またね。」
レイモンドから離れてお父様の元へ向かう。今日のレイモンドは、アイナ王女のエスコートだから優先順位はアイナ王女の方が上だ。
「ミリアリア、いいのか?」
「ええ。今日は、アイナ王女が主役ですから。」
レイモンドと話しながら小首を傾げる姿は守ってあげたくなる可愛らしさがある。
「陛下と王妃様に挨拶して帰りましょう。」
王妃様に挨拶に行くと抱きしめられた。
「ミリアリア、やっとおかあさまって呼んでもらえるのね。」
「王妃様、もうしばらくは結婚させません。」
「伯爵、それでも正式に婚約していることを発表しましょう。レイモンドにまとわりついている子を排除しないとミリアリアに迷惑かけるかもしれないから。」
王妃様はレイモンドとアイナ王女の方をみている。
「確かに。」
「シェルトからは、あくまでもアイナ王女の留学という申し入れですが、わざわざ大使であるレイモンドを案内に連れて来ようとするとなると多分、陛下には縁組を希望する親書を渡しているでしょうね。」
「そうですね。シェルト国王は、フェルティと強いパイプが欲しいところですし、アイナ王女がレイモンドを気に入って、輿入れ、婿取りどちらでもいいからと考えています。国王は娘に甘いようです。」
「レイモンドも仕事とはいえ、誤解されない程度の付き合いできないと勘違いされちゃうわね。ミリアリア、ごめんなさいね。」
「王妃様。レイの猫被りモードは、モテますけれど相手の女性に心を開いていないのを知っていますから、私は大丈夫です。」
「そうね。みんなもミリアリアとの応援してくれていたみたいだしね。」
情報の価値を知っていて、いち早く知る環境にある影たちが、アイナ王女がレイモンドにまとわりついると表現しても、見た目ソフトなレイモンドが仲良くしていると言わないのは、素のレイモンドを知っているからだけじゃなかったと思うから王妃様の言う通りなんだろう。

帰る前に私がレイモンドの方を見るとアイナ王女と目が合う。敵認定されたみたいで、こちらにやって来た。
「あなた、さきほどレイモンド様と一緒にいたわよね?」
「はい。ジャルフ伯爵家のミリアリアと申します。」
「レイモンド様は、お優しいから勘違いされるかもしれないけれど、私との縁組のお話があるから、わきまえてね。」
ツッコミどころ満載な言い分だが、私の一番のツボがレイモンドが優しいというところなのが、私らしいなと考えてしまう。
「アイナ王女様、一国の王女たる方が、正式にお披露目されていないことを話してしまうのは、どうかと思います。」
「生意気ね。私にそんなことを言うなんて。」
アイナ王女は、普段かわいらしくおとなしめに見えるが、結構勝ち気なようだ。まあ王族としてのプライドの高さの範囲内かな。
こういう事を考えてしまうのは、我が家の環境のせいなのか、学園で男子たちと対等に付き合ってもらって、だいぶ理詰めで考えることができるようになったせいか。
「アイナ王女、どうかされましたか。」
レイモンドが気がついて、駆け寄ってきた。
「さきほどレイモンド様とお話していたこちらの方に私たちの縁組があるのよってお話していたの。」
アイナ王女の後ろに立つレイモンドの顔が不機嫌になっている。
猫が剥がれてますよ、レイモンド!と視線を送ると苦笑いに表情が変わった。
「アイナ王女。そのお話は、辞退申し上げたはずでは。私には婚約者がいると。」
「大丈夫よ。陛下には父から国として申し入れしているから。ところでその婚約者って、こちらの方かしら?」
「そうです。」
「自国の伯爵令嬢と他国の王女、陛下はどちらの縁組を普通選ぶかしら?」
間違いなく陛下は、私の意志を一番優先した上で、他国よりうちと縁組すると思います。と私とレイモンドはお互い思っている。
「私は失礼します。」
火に油を注ぎたくないので、礼儀に則った挨拶をして、さも傷心の婚約者のふりをして、その場から立ち去った。

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