俺は悪役王子様！

1.幼少期！

26.第二王子と＋αとの邂逅！

あれから、数ヵ月が過ぎて、グレイは奴隷になりかけた女の子を救った。その名は『フローラ・ディアライト』。可愛い女の子です。それもそのはず。このゲームのヒロインだからです！そして、この娘は隣国の王女という。


最後で判明するんだけれど。誘拐されて、この国に連れてこられた隣国の第一王女。しかし、庶民暮らしをしていたせいか、その癖は中々抜けず、危うく奴隷になりかけるところを、情報通のグレイシアが助けるのは変わらない。


利用出来るか否かで物事を考えているからなぁ。ゲームの中のグレイシアは。


でも、関わりたくないグレイはさっさと帰ってしまった。しかし、お金を使ってしまったので、とある農業が盛んなところへとやってきた。この地域は二年前までは、だだっ広い高地だった。でも、これに目をつけたグレイが野菜を輸入して、種を蒔き、農業を盛んにした結果、小作農の人が集まってきて、一気に盛り上がったのだ。



もの珍しさから、採れた野菜を買い付けてくれる人達がいて、経済を回している。そして、野菜の美味しさから、また買い付けてくれるのだ。





今は収穫時期なので、お手伝いに来ている。今度、野菜の収穫祭が開かれるそうなので、開拓者として参加する予定である。


「いっぱい、収穫するぞー！」
「はい。グレイシア。」


野菜を収穫していると、悪戯坊主が邪魔をする。2歳くらい。でも、顔に見覚えがある気がする。


しばらくすると、俺と比較して5歳くらい年上の男性がやってきた。これは、確実に見覚えがあるぞ。・・・第二王子のユリオ王子である。そして、悪戯坊主を掴んで、制する。


「こら。イアン、リオン、邪魔をしてはダメだろ！」
「「えー？おもしろそうだよー？」」



「・・・ユリオ王子。こんなところで、何の用かなっ？」


ユリオ王子は目を見開く。


「・・・グレイシア。お前こそ、ここで何を？」
「こっちが聞いているんだよっ？先に、答えたら？こっちは野菜の収穫をしているのに、邪魔されているんだよっ？」
「・・・何故、王子が農民のような事を？」


純粋に気になっている様子。そりゃあ、王子が農民のような事をしていたら、驚くかもね。


「・・・僕、王子ではあるけど、普段は庶民暮らしですからっ！この子達は、第六王子君と第七王子君かなっ？ユリオ王子は、二人のお守りですかぁ？」
「・・・まぁ、そんなものだ。第一王女と第二王女はここにくる際に、疲れたみたいで、近くの療養所で休んでいる。母上も同じく。」



本来なら、この子達が生まれる事はなかった。だから、こうしてユリオ王子とも顔を合わせる機会などなかったのだ。でも、今は違う。こうして対面しているのだ。


「元は、王妃様の体調を気遣って、この地に来たのかなっ？ここ、王家の避暑地があるもんねー？王女ちゃん達は何故、疲れちゃったんだろうね？王子達は元気なのに。」
「さぁ？今まで、王女誕生なんてなかったから、薬師も判断しがたいところだな。ところで、ルシアンから聞いたんだが、グレイシアは万病にも効く薬を作ると聞いた。それで、なんとかならないか？」



第六王子と第七王子は揃って、俺に鏡を向ける。今、話しているグレイと俺の表情の違いで遊んでいるようだ。鏡の中で、チラッと魔物が映りこんだ。マズイ。こっちに向かってくる。


ジャイアント・キリング・・・！


トゥルーエンドで、グレイシアが攻略対象達に仕向ける最後の敵にして最強の魔物。これを倒した暁にはグレイシアは行方知れずになる。そして、続編である『Variable Trigger！！Love power！！』で、また登場するグレイシア。また、悪役登場。ちょっと、待て！！俺はこの世界に来てから、このゲームに続編が出ていた事を知った。勿論、どういう展開になるか調べる為に、何とかしてダウンロードした。


何回も出てくる最強の敵・・・！


俺は、グレイシアの自我が発現してから、初めてグレイから体の主導権を奪った。