乙女ゲームに悪役転生な無自覚チートの異世界譚

第一章 忙しい幼年期

女神の手違い

ーここはどこだ？俺は転生したんだよな。にしては、目が開けられないのだが・・・？ー

白い世界とかではなくて、本当に目が開かないのだ。意識を目にやっても、ちっとも瞼は動いてくれない。

『すみませーん！！私の手違いで、うっかり胎内の赤ちゃんに転生してしまいました。・・・それ自体は問題ないのですが、自我の発現をうっかり胎内での覚醒をしてしまいました。ここはラディア・グレンフォード様のお腹の中で貴方はレオン・グレンフォード様になるお方です。』

いきなり、脳内に響いた女神様の声は頭のなかでとても困った様子であるように思えた。

ーちょっと待ってぇぇ！！ってやっぱり、これ最近やった乙女ゲームの世界じゃん！！しかも、俺悪役ですが！？よく女の子が悪役令嬢になるものはよくみたけど、これはないわあぁぁ！！運MAXじゃないの？ー

『てへぺろ♪やー、うっかりって怖いですねー。ちなみに今の貴方は話せないので、私の方で念話のスキルをつけておきましょう。・・・そして、ここは貴方の言う通り、つい最近やった乙女ゲームの世界です。私は貴方がこういうの好きなのかと思って、この世界に転生させたのですが、ちょっと失敗しちゃいました。』

絶対この女神悪気ないよ。絶対に！！俺は自棄になり叫んだ(と思う)。

ーてへぺろ♪っじゃないぃぃ！！！なんてことしてるんだぁぁぁぁぁ！！！！！レオン・グレンフォードは悪役だけど何か俺に恨みでもあるの？ー

『いえ、恨みはないですよ！！初対面の人に恨み持つとか相当いやなやつですよ？それにレオン・グレンフォード様はお嫌いですか？・・・というか、どういう方なのでしょう。レオン・グレンフォード様はどういったところが悪役なんですか？』

ー確かに、初対面の奴に恨み持つのはさすがにないか。というか、この女神それ知らないで俺をレオン・グレンフォードに転生させたの！？
最近やった乙女ゲーム 《白と黒の表裏LOVERS》 と言って、攻略キャラはなんと隠しキャラ含め10人。
《白と黒の表裏LOVERS》はキャラのちょっとした表の顔と裏の顔が見えるゲームで、なんとも人間の心理をついたゲームなのである。それが大人気でファンディスクが出て、続編が3まで出ている。俺はすべてのルートをこなし何周もこなしたのだが、それでも面白かった。

第一弾ではレオン・グレンフォードは1歳の頃、誘拐されてそれ以降行方知らずとしかないのだが、ファンディスク以降レオン・グレンフォードは出てくる。レオン・グレンフォードは王族の第4王子に生まれながら、1歳の頃に誘拐されたものだから、相当王族に恨みを持っている。それも国を滅ぼせるくらいに強い。実際彼は《白と黒の表裏LOVERS》2から本格的に出てくるのだが、レオン・グレンフォードは、双子の兄シルヴェスト・グレンフォードのルートで多く出てくる悪役なのだ。
実際、彼のバッドエンドで国は滅びるし、ハッピーエンドでも仲違いしたまま、国を滅ぼしかけたというのにも関わらず、なんとか逃げ切るチートなやつである。

《白と黒の表裏LOVERS》3では悪役ながら、ファンによるキャラ投票でメインヒーローの兄を凌ぐ1位を取る快挙。ちなみに、俺はこのレオン・グレンフォードに投票したが、生き方が恨みを持ちつつも、かっこいい生き方をしてたのもあり、攻略キャラをすべて攻略すると彼のルートも開く。3では攻略キャラになっているのだ。

要するに、このまま生まれても1歳で誘拐されるわぁぁぁ！！！ー

『なるほど、そういう意味では運がよかったのですね。・・・1歳で誘拐されるというのであれば、では私の加護もお付けしましょう。貴方は相当運がいいですよー。私の加護があれば、その体でも魔法は発動しますし、攻撃魔法でなければ、ラディア様は傷付きませんし、隣のシルヴェスト・グレンフォード様も傷付きません。ステータスにアイテムボックスも付加しときましょう。アイテムボックスに入れると、生きた者以外なら入れることができます。ステータスオープンと心の中で思えば、ステータスも開きますし。』

ーちょっとぉぉ！！胎内にいるんだから、目開けられるかあぁぁ！！ステータスも見られない！！ー

『見れないなら、作っちゃえばいいんですよ？貴方は恩恵で創造魔法がつかえるのだから。』

ーう。じゃあ・・・〈心眼〉と〈瞬間記憶〉のスキルを創造する！！ー

ピロリーン♪レベルが上がりました。レベルが上がりました。レベルが上がりました。レベルが上がりました。レベルが上がりました。〈心眼〉のスキルを習得しました。〈瞬間記憶〉のスキルを習得しました。〈見切り〉のスキルを習得しました。〈殺気〉のスキルを習得しました。〈威圧〉のスキルを習得しました。〈スキルゲッター〉の称号を習得しました。

ーあれー？俺2つしか創造魔法でスキル作ってないけどぉぉぉ！！なんか物騒なスキルができた上になんか称号ができたぁぁぁぁぁ！！！！！ー

『元の体がよかったのでしょう。チートらしいので、それでだと思います。・・・芝浦さん、ステータスも見てください！！』

ーステータスオープン！！ー

ーステータスー

【名前】レオン・グレンフォード 
【種族】人間族   【性別】 男  【年齢】0歳 (胎内にいるため)
【称号】贈り人 神の加護を得し者 第4王子 スキルゲッター
【レベル】 6
【体力】 1,500/1,500
【魔力】 35,000/35,000
【運】   999,999,999,999
【攻撃力】6,000
【防御力】4,000
【魔法攻撃力】1,300
【魔法防御力】2,000
【敏捷性】1,600

【魔法】創造魔法      Lv2
            火魔法         Lv4
            水魔 法        Lv3
            風魔法         Lv1
            土魔法         Lv1
            光魔法         Lv1
            闇魔法         Lv1
            無属性魔法   Lv5
            時空魔法      Lv1
            生活魔法      Lv10

【スキル】〈アイテムボックス Lv10〉 〈心眼 Lv1〉 〈見切り Lv1〉 〈殺気 Lv1〉 〈威圧 Lv1〉〈剣術 Lv8〉 〈体術 Lv7〉〈瞬間記憶 Lv10〉〈念話 Lv3〉

ーなぜだろう？魔法使った事は創造魔法以外ないのに、火魔法や水魔法のレベルが高いのはなぜだろう？ー

『それは、以前の生活で使っていた生活用に使っていた火や水の影響だと思いますね。あと、無属性魔法は他の魔法を発動させるための補助のようだと思ってください。』

ーその他の値は過去の引き継ぎ分と女神の加護の影響だろうな。なんとかして、まず生き延びねば！！そして、女神さん、贈り人とは？ー

『贈り人とは、神からの恩恵を受けた者の事で、簡単に言うと、転生者です。魂は一つですが、前世の芝浦さんの記憶と今世のレオン・グレンフォード様と一体となったもので、二重人格のような症状が現れます。』

ーつまり、俺はレオン・グレンフォードと共存しているということ・・・？ー

『そう言うことになりますが、今は自我なんてある訳がないですけどね。これにて、私の失態もナシにしてください』

ーそうですね！当分は俺一人でやってみせますよ！！ー

☆☆☆☆☆