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1.幼少期
11.作戦実行。
しおりを挟むレイスを、魔法を教えてくれている先生の元へと連れて行く。レイスは始めはキョトンとした顔をしていたが、彼も1日で難なく小さな土人形を操るまでに自身の魔法を使いこなせるようになっていた。小さな土人形を操りながら、レイスは私に言う。
「フローディア。魔法って面白いね」
「・・・そんな事、聞くの初めてだわ。私は使えて当然だと思っていたものだから」
そんな会話に割り込むのはリュート様。魔法の授業は3人で行っている為だ。
「こら、レイス。フローディア様になんて口の利き方を・・・!」
「いや、普段のあなたも砕けた口調じゃない。気にしないわよ」
「それは、貴方の命令で仕方なく・・・!」
「そうなの?俺、ここに来たばかりだから、よく分かんないや」
「・・・レイスはちょっと黙って。俺はですね、フローディア様はもう少し気になさった方がよろしいですよと申したい」
「私は利用するものは利用すべきだと思っているの」
その言葉の意味が一瞬分からなかったリュート様。しかし、その意味に気が付くと、大声を上げる。
「はあぁぁぁ!?まさか、貴方レイスを作戦に加えるつもりですか!?」
レイスはキョトンとした顔をする。ちょっと作戦の事を黙っていてほしいのはこっちの方だわ。リュート様。
「さて、どうかしらね?」
その場はどうにかしたものの、問題はこれから。
ジル様が桜花園に着いたであろう当日。私は朝早くから、自邸からエスケープする。私は男装して、平民の格好(レイスの服を借りた)をして(リュート様も地味な格好をして)、リュート様にレイスを連れて、私は自身の魔法を展開して、桜花園まで超特急で向かう。私の魔法ならば、全速力で向かえば夕方までには桜花園に着くはず。2人を振り払わないように、2人の腕にしっかりとしがみつく。2人は私の為すがままに。
そして、休憩も挿んで桜花園に着いた頃には、桜花園は炎に包まれていた。外で警備していた者達は大騒ぎだ。リュート様は顔をしかめる。そして、レイスも同じく。
「これは、酷い事になっているわね。少しばかり遅かったのかしら」
レイスは少し気が付いた事があるようで、スタスタとどこかに向かって歩いていく。私とリュート様はここで、迷子になる訳もいかずレイスについていく。そして、レイスはある部分を指さす。
「フローディア、リュート。ここからなら、中に入れるんじゃない?そうしたら、ジル王子も助けられるんじゃない?」
レイスが指さした場所は裏口のとある一角。確かに、その部分は子供なら入れるスペースが開いていた。ここからなら、中に入れる!!
「そうね。ここからなら、ジル様の元へ向かえるわ!じゃあ・・・早速!」
「待った。ここは俺の魔法を使ってからな。俺が先頭な」
リュート様が先陣を切った。私とレイスは後に続いて、桜花園の中に入っていく。炎によって、熱いし、何よりも煙を吸い込みそう。しかし、リュート様が水魔法を展開して、炎の勢いを弱める。奥にはジル様が煙を吸い込んでいて、床に倒れこむ姿が見えた。所々火傷の痕が見られる。
”賭け”は成功してしまったか。でも、それより、ジル様を一刻も外に出さなくては!私はジル様のお手を取って、肩を貸してその場を離れる。リュート様が水魔法で炎の勢いを弱め、私とレイスがジル様を連れて出ていく。もう少しで出られそうと言う時に、レイスは叫ぶ。
「危ないっ!!」
レイスは空を殴る動作をすると、突如として現れた大きな土人形が天井から落ちてきた、燃えた廃材を叩き落とす。・・・!?そっか。レイスはピンチな時にはその実力を大きく発揮するのね。
リュート様は一瞬驚きから動きが止まってしまうが、それも一瞬の事。私たちは無事に外に出る事が出来たのだ。外に出て、桜花園から少し離れた場所に移動する。そこで、私たちは一息を吐いた。
しかし、油断は大敵。私は低めの声を出し、ジル様にバレないようにするが、リュート様とレイスが悪い夢を見ているように信じられないといった表情を浮かべる。・・・ちょっと、2人とも心外じゃない?レイスに至ってはまだ出会って数日の関係じゃない。
ジル様の呼吸が落ち着いてから、ジル様の無事を確認する。しかし、ジル様の発言には私は驚いた。
「・・・フローディアさんに、リュートさん・・・ですか?後の1人は見覚えがないのですが・・・」
ジル様は私たちに気付いていたというの?なんで?私は頭を抱えたくなる衝動に酷く襲われた。
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