えるんぺい・もっぱいぱい

ゔぇろっへ

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第8話 ”変態”

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 俺は試練を受けることを決意した。
 えるんぺいが課したのはこの数珠をりゅぷりんすぱーふという空間に座している上級神、せくろす・おっぱいぱいに渡すこと。

 失敗すれば大地獄。永遠に苦しまなければならない。成功すれば地獄か留まるか蘇生か。
 
 もちろん俺は蘇生し、やり直す。退屈な日々に楽しみを見つける努力をする。
 
 蘇生する代わりに記憶が消されると言っていたが、俺が生前、少しずつ溜め込んでいた自殺願望も消してくれるそうだ。
 
 学生の頃に俺は自殺願望があることを自覚した。
 
 俺の学生時代の成績は平均3。勉強も不得意でもなく、得意でもない。スポーツも、美術も、音楽も、全部。

 俺は、強いて言うなら性欲だけがずば抜けている。
 
 恥ずかしながら、俺が自慰行為を覚えたのは……3歳の頃だ。
 
 人間なら必ず備えている、性器に刺激を与え、やがてオーガズムに至るという機能。これは実は思春期からではなく、乳児の頃には既に備わっているそうだ。
 幼児の段階で異性の裸などで性的な興奮はしないのが普通だそうだ。

 だが俺は2歳の頃から異性の身体に異常に興奮していた。

 この年頃なら、異性の裸を見る機会は無くはない。俺はその機会が訪れることが何よりの楽しみだった。

 俺はどうすればこの興奮を抑えられるかを試行錯誤しながら見つけ出していった。

 3歳になると自分で考えた自慰を行っていた。
 手で性器を扱く、床に擦り付ける、ぬいぐるみにこすりつける、石鹸でヌルヌルさせ、こする……等。

 小学3年に親がパソコンを買ってから、こっそりとインターネットでエロサイトを見漁るようになり、回数は増える。
 平日は3、4回。休日だと最低6回は自慰をしていた。ちなみに過去最高は13回。
 
 そんな日々が続き、高校生になってから、ふと自問した。
 俺は性以外に、何かあるか? と。

 ……無い。性欲の強さ以外で他人を大きく上回るものは本当に無い。

 得意も不得意も無い ”凡” 。
 でも性欲だけは ”非凡” なほど強い。
 
 何のために生まれてきたんだ?
 特に嫌なことはないが楽しくもない学校。休みの日を待ちわびてはいる。しかし休みが来ても一日中自慰をするだけ。

 オーガズム以上の快感を俺は知らない。趣味も楽しみも自慰以外に特に無い。
 趣味を探そうにも、探している間にまた性欲が湧いてきて……。

 これに気づいた俺は……死にたくなるような思いになった。
 
 それから俺は ”凡” だと言い聞かせる様になった。
 自分より手先の不器用な奴もいる。
 自分より頭の悪いやつもいる。
 
 俺は底辺では無いんだ。出来ることは無くはないんだ。

 だから俺は ”凡” 。

 つまらない男。どこにでもいる男。それでいい……それでいいんだ。納得しろ……納得しろ……。

 つまらない男の人生はつまらない。
 普通の家庭に生まれて、普通に育って、普通に入学して、普通に勉強して、普通に卒業して、普通の企業に普通に就職して、普通に仕事して、普通に出世を夢見て、普通の人と普通の恋をして普通の結婚式を挙げ、普通の子供が生まれ、普通の家族と普通に暮らして、普通に老いて、やがて普通に……死ぬ。

 ああ、退屈退屈退屈……。
 もやもや……むずむず……うああああああああああ!!

 能力が欲しい……!
 才能が欲しい……!!
 刺激が欲しい……!!!

 なんでも良い!! 俺に……何か特別な……何か……何か無いのかよッ?!!
 
 ……無い。
 なぜなら、俺は…… ”凡” だから……。

 いや、一つだけある。
 それは……誰よりも性欲が強いこと。 

 つまり俺の本質は…… ”凡” では無い。 ”変態” だ。
 
 はははははっ笑っちまうぜ~~♪
 死にて~♪
 死にて~~な~~~♪

 ……ああいいさ! 死んでやるよちきしょおおおおおお!!!
 
 ヘヘヘ! そうだ! 死ぬ前に賭けてみよう!  
 
 そう、須川さん! 今でも好きなんだよな……ふひひ♡
 
 須川さんにサイコロを振ってもらおう! ダメだったら潔く死のう! 自殺なんて、なんて刺激的!! まさしく ”非凡” な体験だ!!!

 よし、首を吊る準備をしよう! ……いや待てよ、首吊りは自殺の中でも ”凡” だな……。
 そうだ!    山からハイテンションで飛び降りよう! ハイテンション自殺なんてそうそう無いだろう! みんな絶望してるからローテンションだ。チッチッチ! ここはハイテンションで死のう! 
 
 さあ、チャリに乗って、逝ってきまーーーす!!!


 
 …………バカ野郎……!

 自分のことしか考えていない。クズ。
 俺が死んだら……親が悲しむ。えるんぺいは話してくれた。俺の悲報を聞いてからとても悲しんでいる。と。
 くそくそくそ……!!
 
 俺はやり遂げる。試練を乗り越える。
 そして、生き返ったら普通に、普通に頑張るんだ。
 須川さんのことも……諦めたくない! 親孝行もまだ出来てないんだ!!!

 進もう。

 この広大な空間を進む。
 
 俺はやる。勝ち取る。未来を!!!

 
 「うおおおおおおお!!!!」

 ドドドドドドドド!!!

 こんなに速く走ったことはない。
 どんなに疲れても俺は走る。
 
 走れ……走れ……走れ!!!

 何も考えずにひたすら走る俺。なんだかいい気分だ。
 疲れたとか、疲れてないとかそんな次元ではない。
 その向こう側へ行っている気がする……!
 
 ……あれ?
 変なものから通り過ぎた気がする。俺は少し戻り、確認した。

 「…………はあ、はあ……嘘だろ……?」

 ドアがある。
 どの施設にもあるようなドア。
 その上にはこう書いてある。



 『りゅぷりんすぱーふ』



「ええええぇぇえええぇえぇぇええええええ!?!?」
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