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二日目
6 * 水面に浮かぶ西瓜柄
しおりを挟む朝市からホテルに戻っても、まだ七時半だった。早起きは三文以上の得だ。三文出したって、時間は買えない。
次はシーウォーカーという海歩き体験をするために、車で移動する予定だった。集合は、十時半。それまで三時間ほどある。
ごろごろしているだけではもったいないので、ホテルのプールに行くことにした。四人姉弟と彼氏の、計五人。部屋には清掃が入るので、両親はロビー階にあるカフェで過ごすと言っていた。
プールには、人が全くといっていいほどいなかった。それもそうだ、まだ九時にもなっていない。
ゾゾタウンで買ったというつぐみとひばりのビキニがたまたま色違いで、二人は羽斗に写真を撮ってもらっていた。同じゾゾタウンで買ったにも関わらず、色違い柄違い形違い、つまり全く違う水着であったわたしは、それをうらやましく見つめる他なかった。いや、ビキニなど着れる腹ではないので万が一、億が一にもたまたまお揃いになる可能性はないのだが。
しばらくプールでぷかぷか浮かんでいると、父がビーチボールを借りてきてくれた。こういう気がやたら利く父なのだ。喜び勇んで、さっそくビーチバレーごっこを始める。水中で円になり、何回パスを続けられるか挑戦することになった。つぐみの彼氏は元バレーボール部だという。
「目標は何回?」
聞くと、つぐみは、
「五十回くらい?」
と言ってのけた。ハイレベルだなと思い、「じゃあ行くよー」とオーバーハンドパスすると、二回目にして見事、つぐみは後方にボールをふっとばした。すぐさま目標は二十回に改定された。
その後、ネットをまたいで水中でバレーボールをしたり、子供用の滑り台で遊んだりとすいているプールを楽しんだが、九時ごろになるとだいぶ人も増えてきた。プールを満喫したわたしたちは、プールサイドからホテルのビーチに出た。白い砂浜が太陽を反射し、まぶしい。グアムの砂浜が不思議なほどに白いのは、珊瑚砂が多いためだという。海が澄んでいるのも、この砂のおかげらしい。明るい海を十分に味わい、わたしたちはホテルに戻った。
出発まではまだ時間があるので、少し部屋でゆっくりしようと思ったのだが、ベッドに腰かけた瞬間にノックがされ、ちょうど清掃が入ってきてしまった。お掃除する様子を眺めるわけにもいかず、父と母のいるカフェに行くことを決める。
さて、わたしはこのカフェでようやく、海外の洗礼を受けることになる。
頼んだストロベリーチーズケーキがやたら大きく、密度も高く、半分食べるのがやっとだったのだ。「アメリカでMサイズ頼むと大きすぎてびっくりするよ~☆」みたいな話はよく聞いていたが、これがそれなのか、とふくれた腹で感動する。
残ってしまったケーキは、清掃の終わった部屋に戻り、冷蔵庫に入れた。とてもおいしかったので、あとでまた食べられるなら幸せだ。だが問題は、ふくれてしまった腹だった。これから海に入るというのに、これはまずい。
腹に力を入れて引っ込めながら、バスタオルや着替えの準備をする。妹たちと同じ水着じゃなくてよかったなあと、心から思う。
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