宝かごみかは、君しだい

七草すずめ

文字の大きさ
7 / 51

春の空へ

しおりを挟む
 おばあちゃんがくれたクリスタルは
 たんぽぽをとじこめていた
 空にとんでく瞬間の綿毛たち

 花言葉がぼくの気持ちですと
 かつておじいちゃんが贈ったんだって
 「真心の愛」
 おばあちゃんは照れて笑った

 「別離」の花言葉までなぞるなんて
 そう言って泣いたおばあちゃんも今
 綿毛といっしょに、空に


   *


 二人のおばあちゃんがいなかったら、すずめという筆名はつけなかった。くにたちのおばあちゃんと、はちおうじのおばあちゃん。わたしは二人が大好きだった。
 いろんなことがあって、今ではくにたちのおばあちゃんの連絡先も、生死もわからない。本がたくさんあるおうちで、次に読み聞かせてもらう本を選ぶ時間がいちばんの幸せだった。わたしの中の本の虫は、その部屋ですくすく育ったにちがいない。
 「こすずめのぼうけん」という絵本が大好きだった。飛ぶことを覚えた子すずめが迷子になって、休めるところを探すおはなし。お気に入りのフレーズを繰り返し口にした。
 はちおうじのおばあちゃんは、おじいちゃんが亡くなってすぐ、認知症になった。わたしが誰だかたぶんわかってないけれど、それでも名乗るとにこにこ笑ってくれる。
 妹が生まれるときや、熱を出して保育園を休むときには、よくはちおうじに預けられた。おばあちゃんの家は自分の家よりも広くて、たくさん物があって、ちっとも飽きなかった。大好きだったのは、鳥の楊枝入れ。頭をぐっと押すと、楊枝の入った小さな引き出しが開き、くちばしに一本くわえる。たくさん楊枝を出してしかられた。どうしてか、小さなわたしは、あの鳥をすずめだと思っていた。
 すずめはかわいくて、たくましい。ちょうど、二人のおばあちゃんみたいに。わたしもいつか、すずめのようになりたい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり
エッセイ・ノンフィクション
〔あらすじ〕📝🐶初めて保護犬ちゃんを迎え入れる我が家。 過去の哀しい実情のせいで人間不信で怯える保護犬きーちゃん。 初日から試行錯誤の日々と保護犬きーちゃん がもたらす至福の日々。 ◇ ✴️保護犬ちゃん達の過去・現在の実情の記述もあります🐾 ✴️日々の些細な出来事を綴っています。現在進行形のお話となります🐾 ✴️🐶挿絵画像入りです。 ✴️拙いエッセイにもかかわらず、HOTランキングに入れて頂き(2025.7.1、最高位31位)ありがとうございます🙇‍♀️

島猫たちのエピソード2026

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
2026年もどうぞよろしくお願いします。 「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

島猫たちのエピソード2025

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。 でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。 もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

黄泉津役所

浅井 ことは
キャラ文芸
高校入学を機にアルバイトを始めようと面接に行った井筒丈史。 だが行った先は普通の役所のようで普通ではない役所。 一度はアルバイトを断るものの、結局働くことに。 ただの役所でそうではなさそうなお役所バイト。 一体何をさせられるのか……

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

僕《わたし》は誰でしょう

紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
青春
※第7回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。 【あらすじ】  交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。 「自分はもともと男ではなかったか?」  事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。  見知らぬ思い出をめぐる青春SF。 ※表紙イラスト=ミカスケ様

処理中です...