宝かごみかは、君しだい

七草すずめ

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夜をかざる

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 暗闇に深く沈んだ海のまち
 音も吸い込む山の木々たち

 お月様ひとつお空にかざったら
 風はよろこび歌っておどる

 山あいに光をつないだ首かざり
 海にはたわむれ笑う波の子

 宝箱ひっくり返した町なかは
 きらりきらりと夜を彩る

   *

 熱海が好き。ちょうどいい、と思う。そこまでの距離も、居心地も存在そのものも。
 おばあちゃんの町だと思っていたのは昔の話で、今はすっかり海と坂道の町、というイメージだ。それから温泉。あとは、又吉さんの火花も。わたしのすきなものしか浮かばない、すてきなところ。
 サンビーチに面するホテルに泊まったことがあった。夜、ぽっかり浮かぶ月のあかりが、海に道を作っていた。持て余すほどのうつくしさと幸福に、どうすることもできなかった。
 山の上のホテルに泊まったときは、宝石箱のようになった熱海の町を一望できた。来宮神社も和田タバコ店も起雲閣も、すべてがきらきらと散らばる宝物にかわっていた。
 よっぽど熱海が好きなのだと思う。昔使っていたポメラを発掘し、データを見たら「あたみ」という名前のファイルがあった。覚えがない。おそるおそる開くと、こっぱずかしい文章があらわれた。わああ、と衝動的に削除しそうになり、思いとどまる。そこにはわたしの熱海への思いが綴られていた。
「朝の日差しに洗われる町があんなに綺麗だなんて、私は知らなかった。駅前の商店街。サンビーチに抜ける坂道に漂うお風呂の匂い。海岸近くのジョナサンから見える夜景。砂浜に残る犬の足跡と、それを辿る散歩。思い出が増え、どんどん特別な場所になる。そこにある何もかもに心が動く。」
 きっと今年も、熱海に行くのだと思う。
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