ヤノユズ

Ash.

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○月×日『Too late~at that time~③』★

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ホテルの部屋に入ってすぐ、唇に噛みつかれた。

道中、この一夜について話をした。
アレはしても良い、これはダメという簡単な決め事についてだ。
その中で、キスは愛撫の一環として承諾した。
ほとんど一志が俺に許可を得る形で決め事をしたけど、俺からの決め事は一つだけだった。

ゴムはつけること。

これだけだ。

これを守ってくれるなら、なんでも…………どうでもよかった。
だって、どうせ抱かれるんだ。
これ以上の屈辱は無い。
無駄な抵抗をして無様な自分を晒したくなかったのもある。

冷静を務めたつもりだけど、内心はとにかく落ち着かず、部屋に入るまで一志の後ろでソワソワしてた。
一志の方はこういった場所は慣れているんだろうけど、自分は生まれて初めて足を踏み入れた。
ラブホテルという場所にいいイメージが無かったからだ。
学生時代、一志が女性と何度もホテルに入っていくのを見かけていたし、見送ったこともある。
だから、ここは低俗な場所なんだと軽蔑していた。

「将平」

一志のキスにされるがままで応えずにいると、一志が不満気な瞳で見上げてくる。

…………そんな目で見られても、乗り気になんてなれない。

けど、一志を満足させることもこの一夜のうちに入るのだと思う。

「ん、」

一志の首に腕を回して、舌を差し出すと、すぐに一志の舌が絡まって、唇が重なる。

「っ、」

キスしながらベッドに押し倒された。
体に冷や汗が流れる。
一志が頬や首筋へと、あちこちにキスをしながら慣れた手つきで服を脱がしてくる。
一志の手が肌に触れた瞬間、思わず手が伸びて、一志の手を掴んで制止してしまった。

また軽く一志に睨まれ、焦って目を逸らした。

「……ぁー……えぇと。ぁ、シャワー浴びてない。俺、仕事帰りだし…」

思わずてきとうな言い訳をする。
けど一志は構わずといった様子で首筋に唇をつけ、服を脱がす手を再開する。

「別にいいよ。将平綺麗だし」

バクっと、心臓が高鳴った気がした。
一志の口から"綺麗"という単語が出ただけだ。
それなのに体が妙な反応をする。

「全然変わってない、真っ白で……」

首筋から唇が這うように下りて、胸の突起を挟み、舌で転がされる。

「ぅ……、っん、」

そんな所を愛撫するのは一志だけだ。
数年ぶりの快楽を体が思い出し始める。

「形も、色も綺麗だ」

「っ、馬鹿言うなよ……っ」

カッと顔が赤くなったのが分かった。
こいつほんとに恥ずかしいやつ。
恥ずかしげもなくそういう事をサラッと言ってしまうところ、昔から変わってない。

一志が唇と舌で胸を愛撫しながら、手のひらで肌を撫でてくる。

体がゾッとした。

……けど、それとは正反対に嫌でも体が熱くなってくるのもわかった。
こんなの目を閉じてじっとしてればすぐ終わる。
そう思ってたのに、目を閉じるとより生々しく感触が伝わるのと、瞼の裏に昔の光景が思い出されるので閉じてはいられなかった。
だから天井を見ることにした。
天所にはシミひとつなかったけど、シミの数を数えるって、こういう状況下でもあるんだな……と、切なくなった。

「んっ、……うっ」

一志の指が下肢に触れて、思わず声が出た。
そんな自分の快楽に染まりつつある声を酷く不快に感じて唇を噛んだ。

こいつはどうせ、俺と別れたあと何人も抱いてきたんだろう。
何人もの肌を、その手で、その唇で……触れてきたんだろう。
今、その手で、俺のことも同じように触れているんだろう。

俺のことが好きだ好きだというのは口ばっかりだったんだから。

……屈辱的だった。

俺は、このセックスに同意した。
けど、こんなのはレイプだろ。
こうやって、俺を踏みつけるんだ、こいつは……

簡単に。
土足で。

「将平、ココ使ってないんだな。すごい締めつけてくる。」

一志がうっとりとした顔をしながら長い指で胎内を掻き回す。
体が跳ね上がりそうになるのを我慢して、キツく唇を噛み締めて耐えた。

繋がる為の準備に、体は感じ始める。
だけど心は冷えてくばかりだった。

……一志が、あの頃とは違う。

あの頃の一志は、俺のことが欲しくて、俺の体に触れる時の興奮が隠せなくて「童貞かよ?」て俺にからかわれるくらいだった。
最初は暴走気味の一志に困ったけど、俺を抱くのに興奮するのも、夢中になるのも、必死になるのも、可愛くて……愛おしくて好きだった。
きっと俺にだけなんだと思ってたから。

だけど今、俺に触れる一志は別人みたいだった。
発言は昔と何ら変わらないのに、動く指先も、唇も、冷静だった。
10年前の"俺に夢中"な一志は感じられなかった。
それに心がザワついた。
セックスで一志に組み敷かれても、プライドを保ってられたのは”アレ”があったからだ。
今は……違う。
一志の"都合よく抱ける、どうにでもできる女" と同じ。

そんな気分にさせられた。
こんな場所で抱かれるんだから、きっとそうなんだろう。
俺はもう特別じゃない。

一志の都合のいい女にされてるんだ。

でも、仕方がない。
時は経ってる。
それに、もう愛はないんだから。
そもそも一志は俺を愛してなかった。
あの頃とは違う。
あの頃だって、結局どうだったんだか……
否、そうじゃなかったから、浮気できたんだ。
俺を愛してたら、浮気なんてしない。
今更俺を抱きたいと言ったのも、好奇心からなんだろう。
昔の男が現れたから、また遊んでやろうって……

もう、考えても仕方ない。
今更考えたって仕方ないだろ。
もうこいつとは終わってるんだから。

今のこれだって、一夜だけ……これっきりなんだから。
快楽を楽しむためじゃない。
一志を楽しませて、解放されるためだ。

こいつがそう言ったんだ。
一夜だけだと。

そんなことはわかってるのに……

「将平……」

指が抜かれ、膝を掴まれ、脚を広げられる。
さっきまで弄られてた場所に一志のが擦り付けられて、反射的に顔を上げた。

「おいっ、ゴム、……約束したろ、」

主張すると、一志が「あ」と声を漏らす。

「そうだった、忘れるところだった」

そう言ってベッドサイドに備え付けられたコンドームに手を伸ばして、一志は慣れた手つきで封を切る。

道中、これだけは条件をつけたんだ。
女性と違って、妊娠するわけじゃない。
けど、嫌だった。
中出しされるのがじゃない。
誰に入ったかわからないソレを俺に入れるのが、嫌だった。
そんなのは10年前のあの頃もだけど、最後に見た……一志が女と寝てるあの光景が、思い出される。
実際ヤってるのを見たわけじゃない。
けど、その女の胎内に入った証拠は床に落ちていたし、その後一志は乱暴に俺を抱いた。

あれが、人生で1番屈辱的な瞬間だった。
俺を矢野将平としてでなく"女"のように抱いたからだ。

酷く汚された気分だった。

ついさっきまで女の中に入っていたソレで俺を犯したんだ。

コンドームが、薄っぺらい壁だってわかってる。
けど、隔たりにもならないそれでもいいから、一志を受け入れたくなかった。

俺の小さな抵抗だったんだ。

「ぅ、」

一志がゴムをつけたソレを再び擦り付けてくる。
ゆっくり体の中に一志が侵入してきて、腹に力が入った。
押し出せるものなら、そうしたい。
そんな気持ちが滲み出たんだと思う。

一志が全部収まる頃には、さすがに目を開けてることなんてできなかった。
大股開いて、一志を受け入れてる光景なんて、視界に入れたくなかった。
それに、男に抱かれるのは、……いや、性行為自体、まことを除いて一志と別れてから一度もしてない。
馴染まないソコがどうやって一志を受け入れていいかわからなくて痛い。

唇を噛み締めて、耐えようと思った。
けど、一志はゆっくりと味わうかのように腰を進めた。

「ぅ、…いっ、…ん、っ」

一志の腰が肌にピッタリとくっつく。
瞬間、涙が出そうになった。

これはなんの涙か……

わかってる。

屈辱の涙だ。
痛みだけのせいじゃない。
そんなのは流してたまるかと、ギュッと目を瞑った。

肌のぶつかる音もしない、その位ゆっくり一志は俺の中を突いた。
俺が痛がってるのに気づいたのか?

そんな気遣い、できるようなやつじゃなかったけど…

…けど、………違う。

あの貪るような、獣のようなセックスじゃない。
俺を欲しがって欲望のままに貪るセックスじゃない。
俺が痛くて止めてくれって言ったって聞くやつじゃなかったのに……

薄く目を開けて一志を見ると、瞳だけはしっかりと俺の事を見下ろしてた。
焼き付けているかのように、しっかりと。

一志の視線に耐えられなくなって、腕を顔の前で交差させて隠すと、すぐに一志の手にそれを阻まれる。
手首を一志にしっかりと固定され、ベッドに押し付けられる。
振り払おうとしても、上から押さえつけられて外れない。

「隠すのは駄目」

「…っ…は?」

いいだろ、別に。
ヤりたいだけなら顔なんか見えなくても。
半べそかきながら一志にヤられてるなんて、冗談じゃない。

「俺が将平の顔好きなの、知ってるだろ」

一志が、俺の潤んだ瞳から涙を誘うように目尻を指で撫でてくる。

「………そうだったな。……顔だけな。」

俺の顔が好き……
そこを強調して言ってやると、一志が笑う。

「体も好きだよ。真っ白な肌に、長い手足……でもやっぱり1番好きなのは顔だけど。あとはプライドが高い所も好きだな。……将平が、こんな風に瞳を潤わせて俺を映してるのがたまらなく愛しい」

そう言って一志が瞳に溜まりだした涙を拭ってくるけど、たちまちに涙は湧き上がった。

なんで、
なんで今更そんなことを言うんだ。

聞きたくなかった。

だって、一志とは終わってる。
それにこの一夜限りのことなんだから。

愛はない。
そう、愛はないんだ。

ほだされるな。

こいつは、口ばっかりじゃないか。
人を丸め込むのが上手いんだ。
10年前の俺は、そんな一志にのぼせ上がってた。
いや、確かに惹かれてた。
けど、こんなやつかと失望して、だけどそこから粘着な一志に追いかけ回されて、いつの間にか落ちてた。

好きだった。
10代で、まだ幼かったけど、だけど幼いなりに愛だってあった。
自分の人生を変えてもいいと思えるくらいに愛してたんだ。


けど、

こいつは違う。

俺も、今は違う。

セックスがなんだ。

俺だって、愛情のないセックスはできる。
現にまことと何度も寝た。
怒りや私欲で愛のないセックスはできるんだ。

これもそうだ。
一志とのこの行為も、そうなんだ。

だからできる。

俺は、やれる。

「っ、お前、…うるさいっ」

一志の横腹を膝蹴りした。
一志は油断していたのか、小さく呻きながらベッドに倒れる。

「将平……おまえ……」

横腹を押さえながら一志が体を起こそうとしたので、俺はすかさずそれを防ぐために一志の腹の上に跨った。

「どうでもいい。そんな無駄話しにわざわざこんな低俗な場所に来たのか?違うだろ」

ベッドに寝転ぶ一志の胸板に手をついて、顔を寄せる。

この顔が好きなんだろ。

見ていればいい。

一志の萎えかけたソレに、自らゆっくりと腰を落とした。
全て体の中に収めて、一息つく。
一志を見下ろすと、またうっとりとした目で俺のことを見上げていた。
脇腹の痛みはどこか飛んでいったみたいだ。

「は…ァ…」

一志の胸に手をついたまま腰を浮かせて、ギリギリ抜ける手前で腰を止める。
一志がたまらないって顔を歪めたのを確認してから、また腰を落とした。

「っ、将平……」

一志が俺の太腿に手を滑らせて、いやらしい手つきで撫でてくる。

もっとくれ、……そういうことだろう。

「将平…」

はやく、もっと、もっとくれと、一志が俺の名を呼ぶ。

欲しいならくれてやる。
それで終わりだ。

「ぁっ、……んっ」

一志がくれとせがむ上で、腰を振った。
わかりやすく大袈裟に感じたような声も出した。

「将平……、将平……、っ」

一志の腕が伸びてきて、引き寄せられ、吸い付くようなキスをされる。

「んっ、んん……っ」

キスしながら、一志の体の上で震えた。
腹の中で一志がほぼ同時に達したのを感じる。

「は…ぁ…」

一志の体の上で脱力しかけていると、急に体を起こした一志に押し倒される。
今度は自分が一志を見上げた。
見上げた先の一志は既に使用済みコンドームを投げ捨てていて、新しいコンドームを自身に装着しているところだった。

「……今度は、俺の番」

一志にうつ伏せに寝かされたかと思うと、背中を抱きしめられた。
俺の肩口に額を押し付け、犬のようにグリグリと擦り付けてくる。

「何してるんだよ…」

俺の番とか言うから、バックでヤるのかと思った。

「将平」

「何だよ」

「将平……」

俺の背中を抱きしめる一志の腕に力が籠る。
急に大人しくなる一志に気味が悪くなる。

「…………一志?」

「将平、愛してる」

……、

は?

こいつ、



今なんて言った?



体はうつ伏せのまま、俺の背中を抱きしめる一志を振り返る。
すぐに一志の瞳と目が合う。
真っ直ぐに俺を見てる。

………冗談を言ってるようには見えない…。

けど、こんなのは冗談でしかないだろ。

「かず……ゎっ、」

一志が体重をかけてきて、顔が枕に押し付けられる。

「あっ、」

少しの息苦しさを感じてるうちに、一志が中に入ってくる。

「将平……」

うなじに、肩に、背中に、唇を落とされる。
舐めて、吸って、口付けて……
それを繰り返しながらゆっくりと中を突かれる。

「ぅ、んっ、ぁ……」

どこにも逃げ場はない。
一志の腕は変わらず俺の体を抱きしめていて離す気配はない。
俺は枕に顔を埋めながら、ただ快楽に喘いだ。

「将平、愛してる」

「ぁ、何……やめろよっ、」

耳に吹き込むように一志が囁く。

「将平……」

なんで、

「将平、愛してる」

何で俺、


こんなに胸が苦しいんだろう。

何でこんなに体が熱い。

なんでだ。

「愛してる、将平……ッ」

一志は何度も何度も繰り返した。

俺の体を突きながら、壊れたレコードみたいに、何度も、何度も……

俺は何も応えなかった。

快楽にのまれて、何も聞こえないフリをした。

そうすることしかできなかったからだ。



一夜限りなんだ。
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