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本編
❖じゅうし
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落ち着いた頃、私は二人に仕事について尋ねた。
「聖女・聖代だから」することは、広場で舞台に立つこと、そして黒節から人々を護ることらしい。けれど聖女・聖代は縛りがきついと晃が文句を言う。まあまあそう言わずに、と叶さんが宥める。
都に行くだけで騒がれ、嫌な役をやらされやすく、夜しか活動できず、その癖に黒節と戦えるのは聖女と聖代だけ。夢は普通、自分のダメージにならないが戦闘はダメージがあり、負った傷がそのまま自分の傷となる……等々、今まで教えてくれなかったことも含めての文句だった。
「全然知らなかったこともあるんですけど……詐欺じゃないですか」
「承諾したのは、そして見極められなかったのは望美だよ」
うっ。そう言われると立場が弱い。何か反論する術はないかと探っていたとき、晃が時間になったことを告げた。
「あ、もう終わりだね。じゃあ、また」
こうして夜が終わって火曜日の朝になった。
家を出る前。頑張らなきゃ、と気合いを入れているとメッセージが来た。晃からだ。準備は出来ていたため私は急いで家を出た。
だが、一緒にいるところを誰かに見られるとまずい。
「登校とかは一緒にいるのはちょっと嫌かなぁ」
と言ったのだが、叶さんの指示だからと知らされただけで効果はなかった。
「叶さんの?」
「『なったばかりだから相談に乗ってあげて』だってさ」
頭に省略されているのは「聖女に」であろう。
「そっか」
仕方がないと、私は諦めることにした。そうしてまた歩を進めようとした。
刹那。
急に脚に力が入らなくなった。身体が崩れ落ちる。衝撃と痛み、そしてままならない思考が全てだった。晃の声は聞こえるが、内容はわからないし返事もできない。
そのまま、私の意識は途切れた。
❖
目覚めたとき、私の部屋にいた。
「よかった。おはよう」
晃がほっとした様子でそこにいた。
「私、どうして……」
ここにいるの、という言葉が続くことはなかった。静かな時間が流れる。
そこに、ドアが開く音がした。そちらを向くと、叶さんがそこにいた。
叶さんは何かを考えているような表情でおはよう、と言った。
「おはよう、ございます」
私も挨拶をした。叶さんは真剣な表情のまま、口を開いた。
「今回の事態について、説明する」
その緊張感のある声色に、びくりとした。
「今回、望美は『夢に襲われた』」
「夢に、襲われた……」
何だろう。すごく、嫌な予感がする。
「夢に襲われだしたらもう保って五年だ。それまでに死が訪れる」
予感は当たってしまった。
「叶さん、それは……」
晃も知らなかったようで、どういうことかと問う。
「晃も初耳かな。いきなり倒れて、それまでの記憶がぼんやりとしていたら、それは夢に襲われた証拠。どんどん悪化していって保って五年、最短一年で夢人は本当の死を迎える。
その期間、聖女や聖代ならこの世界と叶の都付近を不定期に行ったり来たりする」
思っただけと他人から事実として聞くのは違う。心に重くのし掛かって動けない。恐怖から涙が滲む。
「大丈夫。絶対に生きる方法をみつけてやる。だから大丈夫。生きていけるよ」
晃が優しく私の背中を撫でてくれる。しかし言葉は力強い。
だめ。そう思いながらも晃の優しさに縋ってしまう。
私はそのまま、眠りに落ちた。
「聖女・聖代だから」することは、広場で舞台に立つこと、そして黒節から人々を護ることらしい。けれど聖女・聖代は縛りがきついと晃が文句を言う。まあまあそう言わずに、と叶さんが宥める。
都に行くだけで騒がれ、嫌な役をやらされやすく、夜しか活動できず、その癖に黒節と戦えるのは聖女と聖代だけ。夢は普通、自分のダメージにならないが戦闘はダメージがあり、負った傷がそのまま自分の傷となる……等々、今まで教えてくれなかったことも含めての文句だった。
「全然知らなかったこともあるんですけど……詐欺じゃないですか」
「承諾したのは、そして見極められなかったのは望美だよ」
うっ。そう言われると立場が弱い。何か反論する術はないかと探っていたとき、晃が時間になったことを告げた。
「あ、もう終わりだね。じゃあ、また」
こうして夜が終わって火曜日の朝になった。
家を出る前。頑張らなきゃ、と気合いを入れているとメッセージが来た。晃からだ。準備は出来ていたため私は急いで家を出た。
だが、一緒にいるところを誰かに見られるとまずい。
「登校とかは一緒にいるのはちょっと嫌かなぁ」
と言ったのだが、叶さんの指示だからと知らされただけで効果はなかった。
「叶さんの?」
「『なったばかりだから相談に乗ってあげて』だってさ」
頭に省略されているのは「聖女に」であろう。
「そっか」
仕方がないと、私は諦めることにした。そうしてまた歩を進めようとした。
刹那。
急に脚に力が入らなくなった。身体が崩れ落ちる。衝撃と痛み、そしてままならない思考が全てだった。晃の声は聞こえるが、内容はわからないし返事もできない。
そのまま、私の意識は途切れた。
❖
目覚めたとき、私の部屋にいた。
「よかった。おはよう」
晃がほっとした様子でそこにいた。
「私、どうして……」
ここにいるの、という言葉が続くことはなかった。静かな時間が流れる。
そこに、ドアが開く音がした。そちらを向くと、叶さんがそこにいた。
叶さんは何かを考えているような表情でおはよう、と言った。
「おはよう、ございます」
私も挨拶をした。叶さんは真剣な表情のまま、口を開いた。
「今回の事態について、説明する」
その緊張感のある声色に、びくりとした。
「今回、望美は『夢に襲われた』」
「夢に、襲われた……」
何だろう。すごく、嫌な予感がする。
「夢に襲われだしたらもう保って五年だ。それまでに死が訪れる」
予感は当たってしまった。
「叶さん、それは……」
晃も知らなかったようで、どういうことかと問う。
「晃も初耳かな。いきなり倒れて、それまでの記憶がぼんやりとしていたら、それは夢に襲われた証拠。どんどん悪化していって保って五年、最短一年で夢人は本当の死を迎える。
その期間、聖女や聖代ならこの世界と叶の都付近を不定期に行ったり来たりする」
思っただけと他人から事実として聞くのは違う。心に重くのし掛かって動けない。恐怖から涙が滲む。
「大丈夫。絶対に生きる方法をみつけてやる。だから大丈夫。生きていけるよ」
晃が優しく私の背中を撫でてくれる。しかし言葉は力強い。
だめ。そう思いながらも晃の優しさに縋ってしまう。
私はそのまま、眠りに落ちた。
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