十二支vs十二星座

ビッグバン

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猛牛襲来

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ボロボロになりながらも彼女は立ち上がり戦おうとした。目の前にいる獣の帝王の威圧に震える手足を今すぐ逃げ出そうとする本能を必死に抑えながら、それでも立ち上がろうともがいた。

しかし、彼女にその力は残されていなかった。彼女に出来たのは目の前に迫ってくる獣王をだだ睨みつけることしか出来なかった。

ゆっくりした足どりでドスという重い足音を鳴らしながら獣の帝王は近づいてくる。

その姿は見るものを震え上がらせる恐ろしさとなぜか引きつけられ目が離させなくなる不思議なカリスマ性を持った姿だった。

まず頭はライオンを想像させるような金髪で髪をかき乱し、顔は芸術作品のように美しくまるでギリシャの彫刻のような整った顔立ちをしている。そして、頭には光輝くライオンの顔のデザインの王冠を身につけて、ライオンの革でできたマントをつけ、全身を傷一つない鋼の鎧を身に付けている。

彼はゆっくりと彼女に近づくと優しい口調でこう言った。

「最後まで希望を捨てず、我に向かってこようとするとは敵ながらあっぱれではなかろうか。その闘志に敬意を払いどうだろうか。私の39人目の妻になる気はないだろうか。」

その時だった。

突然大地が揺れ、初め、凄まじい土煙を上げながら何かが猛スピードで獅子座の戦士 獣帝レオンに突進して来た。
獣帝レオンと何者かの衝突はすさまじく辺り一帯の木々を風圧でなぎ倒し、すさまじい爆音と共に空を覆い尽くすし、辺りが真っ暗になる程の土煙りを巻き上げた。

そして、その衝撃に巻き込まれた虎の戦士寝子はそのまま吹き飛ばされた。

そして、辺り一帯に獣の雄叫びが響き渡り、土煙りを吹き飛ばした。

土煙りが収まりると、そこに立っていたのは、ボロボロになりながらも立ち上がり獣帝レオンを睨み付けている十二支番付二位の牛の戦士牛田 潮と鎧に大きな穴が空きながらも余裕の笑みを浮かべ立っている正反対な二人の姿があった。

獣帝レオンは余裕の表情で牛田にこう言った。

「なかなかやるではないか。私の鎧に傷を付けたのはお前が始めてだ。褒めてつかわすぞ。十二支一の鈍足で動きが鈍いお前が我がスピードについて来たのには驚かれたが、ここまでのようだな。牛よ。」

そう言うと、獣帝レオンは勝利を確信したのか余裕の表情を浮かべてこう言った。

「お主の戦いに敬意を評して冥土の土産に聞かせてやろう。我が武勇伝とお主と戦う前に戦った勇敢なる虎の戦士の話を心して聞くがいい。そして、これで我が実力が分かったらとっと降参するのだぞ。」

すると、獣帝レオンは聞かれてもいないのに自らと寅の戦士寝子との戦いについて語り始めた。

それは、私がお前と戦うほんのすこし前の事だ。

私が我が民である他の星の戦士達を探していた時だった。

生い茂った草むらからその戦士は後ろから突然襲いかかってきた。

勝負は一瞬だった。

私がふり返った時にはもう遅かった。その戦士は私のハチマキに手をかけていて、あと少しでハチマキが取れる。

そこまで獅子座の戦士が話したその時だった。
「デュフフフフフ」


獅子座の戦士が突然、不気味な笑い声を上げ始めた。
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