十二支vs十二星座

邪悪な巳

兎が射手座との戦いを終え、馬と合流したその頃、別の場所では新たな戦いが始まろうとしていた。

「 シャシャシャ、お前も運が悪いなサソリ。こんな木々や草が生い茂った俺にとって最高の戦場で俺に出会っちまうなんてな。」

巳の戦士蛇道 道夫は自信満々に言い放った。なぜなら、彼はこう言った身を隠せる場所がある所では無類の強さを発揮できるからである。彼の十二支番付は6番と番付的にはよくも悪くもない番号となっているが、実は十二支の中で最も十二星座側に被害をもたらしているのはこの蛇なのである。まず、彼の小柄な体格にとその柔軟性を生かした彼の戦い方は驚異的であり、わずかな隙間があれば侵入でき相手に気づかれる事なく相手を締め上げる。その姿は悪魔の使いとして西洋側が怯えるほどである。

彼の驚異はそれだけではない。何よりも厄介なのは彼が持つ毒だ。彼に少しでも噛み付かれてしまったらもう助からない。一瞬にして、手足が動かなくなり、徐々に毒に蝕まれどんな強者でもあまりの激痛に降参するほどの地獄が待っている。そのあまりの恐怖に解毒された後も彼と戦った選手は戦場に立つ事が出来なくなり引退に追い込まれてしまうほどである。その為、例え彼に勝ったとしても毒を受けてしまえば終わりな為、十二星座にとっては一番戦いたくない相手なのだ。

さらに、彼は十二支で一番狡猾な男であり、言葉巧みに相手を騙して裏切り相手に損害を与える事から西洋では蛇は最も邪悪で忌まわしいものされている。

そんな十二支最凶の戦士がゆっくりと獲物を見つけ動き出した。

巳は無防備な状態でゆっくりとサソリ座の戦士に近づいた。それはすでに勝負がつき獲物に留めを刺す様な足取りだった。巳の戦士はすでに勝利を確信していた。何故なら、巳の戦士の凶気のこもった目を見た者はあまりの恐ろしさに身体が石の様に固く硬直してしまい、指一本動かす事が出来なくなるからだ。しかも、もうすでにサソリはさっきの会話の時に巳の目を見てしまっている。あとは、蛇に睨まれた蛙がなすすべなく蛇に丸呑みにされる様にゆっくりと恐怖を与えてトドメを刺すはずだった。ところが、サソリには全く効いておらず、ガサガサと素早い動きで腕に付いている大きなハサミで巳の戦士の身体を挟んだ。ところが、巳の戦士は自慢の柔軟性性と自らに弱い溶解液をかけることによってまるでうなぎの様にスルリとハサミから抜け出た。そして、すぐに、茂みに身を隠した。

これには、巳の戦士も驚いた、心を持つ生物なら恐怖心が必ずあり、自分の目を見るだけで固まるはずなのにこの男には全く効いてないからだ。

それもそのはず、なぜならサソリ座の戦士スコールピンには心がない。彼はとある神が最強のハンターであるオリオンを倒すために作らせた最強の生物兵器である。その為、様々な生命体を狩ってきた歴戦の勇者オリオンを倒す為、ざまざまな神が結託して、地球上の生物の良い所を寄せ集めて作られたそのスペックは十二星座の中でも圧倒的な力を持っている。まさに戦う為だけに作られた怪物である。

まず、蟹の圧倒的防御力を誇る甲殻を研究し更に動きやすさや蟹の弱点である熱にも対応しているこの大会に出ている戦士一硬い甲殻で全身を覆われており、あらゆる攻撃を跳ね返してしまうまさに鉄壁の甲殻を持っており、攻撃が通じないのである。

更に、腕には蟹のハサミを改良した最強の攻撃力を持ったハサミを持ち、更に、生物にとって最大の弱点となる後部には最大の武器であるあらゆる生物の毒を合成して作られた毒針を持ち、その一刺しであらゆる生物を殺してしまうほどの毒などざまざまな毒を持ち、その威力は蛇すら上回るほどである。そんな、全くの隙もなく完全な防御力と圧倒的力を持ったサソリの戦士を西洋側はこんな通り名で呼んでいるポイズンタンクと。