十二支vs十二星座

殺し屋と戦車

スコールピンは茂みに逃げ込んだ巳の戦士蛇道を探すため茂みに一歩足を踏み入れた。その瞬間スコールピンの下の地面が崩れ穴が空きスコールピンは穴に落ちた。その時、妙に邪悪で身の毛のよだつ様な巳の戦士の声が聞こえてきた。

「シャシャシャシャシャシャ。油断したな。サソリ。俺様の武器は毒と目だけじゃねえぞ。俺様は相手を貶める方法ならなんでも専門でな。罠や不意打ちなんてのは俺の得意技なんだよ。その落とし穴には入った瞬間固まる速攻性の俺の毒とコンクリートを入れてある。お前は身動き一つ出来ずに身体を溶かされるだよ。シャシャシャ。まあ殺したら反則だから死ぬギリギリになったらハチマキとって終わりにしてやるよ。シャシャシャシャシャシャ。」

その時だった。スコールピンの身体中を覆っている殻に突然ビビが入り始めた。そして、次の瞬間スコールピンは自分の身体の殻を破り落とし穴から脱出した。

そして、殻を脱ぎ捨てた事で身軽になったのか今までよりも明らかに素早いスピードで茂みを駆け回り始めた。

スコールピンが巳の振動や匂いを頼りに突き止め巳のいる茂みに近づいたその時だった。突然目の前にサソリ座の戦士である自分にそっくりな奴が現れてスコールピンに襲い掛かった。

その時、また身の毛もよだつ様な巳の声が背後で聞こえてきた。

「シャシャシャシャシャシャ。お前も終わりだなサソリ。そいつはお前が残した甲殻と俺の毒とコンクリートが融合して出来たモンスターポイズンゴーレムだ。お前の甲殻と俺の毒が合わさっ事で攻撃力はオリジナルのお前以上だ。そして防御力もお前と同じだ。このまま、自分の抜け殻にあっけなくやられやがれシャシャシャ。」

その頃、会場は今までの選手たちとの戦いとはうってかわって水を打った様な静けさとなっていた。

大黒天は思った。
無理もない今までの選手たちとは違いこの二人はあまりにも残虐非道な戦いつぶりで敵味方問わず恐れられる程の戦士たちだ。プロレスとかでいうなら悪役レスラー同士の戦いどちらが勝っても盛り上がりにかける試合だ。さらに、観客達は画面越しとはいえ巳の戦士の狂気に満ちた目を見てしまいあまりの恐怖に固まってしまっている。この場を何とかする為に熱い実況でこの場を盛り上げなければ。

大黒天は会場の沈黙を破り、実況を始めた。

「皆さん見てください。この白熱した戦いを両者一歩も譲らずと言った展開ですね。しかし、今少し優勢なのはやはり、サソリ座の戦士スコールピンでしょうか。巳が仕掛けてた罠を次々と破り、巳を徐々に追い込んでいくその姿は見ているこちらですら恐怖を感じるほどですから実際に戦っている巳はたまったものではないでしょう。しかし、一方の巳も負けてはいません。あの手この手で勝負において邪道とも言える方法まで使い、サソリに襲い掛かっております。ヘルメスさん。この二人の戦い勝者は誰になると思いますか。」

ヘルメスは冷静な口調でこう言った。

「この戦い身内贔屓を無しに考えても勝つのは間違いなくサソリでしょうね。巳の戦士もなかなかの強者ですがその戦闘方法は恐怖で相手を追いやってこそ、真価を発揮するもの。しかし、一方のサソリには心がありません。さらに、スペックも圧倒的にサソリが上です。例えるなら一流の殺し屋である巳対 猛毒を吐く戦車の戦いみたいなものです。圧倒的に違いすぎます。時期にサソリの餌食になるでしょう。」