【完結済】俺の彼女が人として終わっているんだが

Melon

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2章 俺の彼女は壊れかけ

彼女、焼き肉を食う

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「へーい!」

 ガチャりという部屋ドアが開く音とともに、燐華さんは入ってきた。

「志永くん! 美湖ちゃんが焼き肉奢ってくれるって本当!?」

「本当ですよ。今日の夜は焼き肉です。美湖さんがこの前暴れたお詫びをしたいらしくて。別にいいって断ったんですけどね......」

「やったー! 飲むぞー!」

 両腕を上げて喜ぶ燐華さん。

「いやいや、食べてくださいよ......」

 肉より酒、そんな彼女に呆れながら、俺たちは夜を待った。


 夜になり、俺たちは焼き肉を食べに来ていた。
 俺の対面に、燐華さんと美湖さんが座っている。

「今日は私のおごりなんで、ご自由に食べてくださいね」

「本当にいいんですか? ご馳走になっちゃって」

「いいんですよ! 好きに食べてください!」

「ほら、美湖ちゃんもいいって言ってるんだし、遠慮せずに食べよーよ」

 燐華さんはメニューを眺めながら言う。

「すみませーん! ビール大ジョッキ十杯お願いしまーす!」

「あいよー」

 店員が返事をする。

「ちょ、お肉は頼まないんですか!?」

「まずは飲まないと始まらないでしょー! ねー美湖ちゃん?」

「いや、私は今日は飲む気は.......」

「んー?」

「うっ......」

 燐華さんの威圧に負ける美湖さん。

「ダメですよ。今日は外飲みなんですから。勧めないでください」

「うっ......。私、ろくでなしキャラになってる......?」

 美湖さんはショックを受けている。

「あーひどーい。DVだー。ぶーぶー」

「あ......。いや、ろくでなしキャラってわけじゃないですよ! そのー、この前の見すぎましたし! お体に悪いですから! ね!?」

「いいですよ......。私はろくでなしですよ......」

 完全にいじけてしまう美湖さん。

「へい、ビールお待ち!」

 店員二人がビールをテーブルに置く。

「あざーす。ほら美湖ちゃん。これ飲んで元気だして......」

「はい......」

「美湖さん! お酒飲まないんじゃ......」

 しかし、燐華さんに流された美湖さんはビールを飲んでしまった。
 それからはいつも通りである。


「いやー美湖ちゃん寝ちゃったねー」

 一時間後、美湖さんは燐華さんの膝枕で寝てしまった。
 飲み相手がいなくなった燐華さんは、やっと肉を焼き始めた。

「ほーら、お肉焼けたよー美湖ちゃん」

 箸で肉を挟み、美湖さんの口へ運ぶ。
 美湖さんの口に肉が入ると、モゴモゴと口が動き始めた。

「なんか勝手に食べちゃって申し訳ないな......。肉の料金は後でちゃんとお金払おう......」

 焼けた肉を回収し、食べる。
 有名な店なだけあって、肉の味は絶品だった。

「お酒も飲んで肉も食べて。嫌なことを忘れられて最高だねー」

 箸を置き、大ジョッキのビールを流し込む燐華さん。

「嫌なこと......」

 食事に行き、仲が深まったと思った夏鈴さんは、これからも燐華さんに絡んでくるだろう。

(夏鈴さんがきっかけで、これ以上酒やタバコの頻度が増えないで欲しいな......)

 そう思う俺であった。
 そのために、何としてでも夏鈴さんに慣れてほしいと思う俺であった。
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