【完結済】俺の彼女が人として終わっているんだが

Melon

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2章 俺の彼女は壊れかけ

彼女、耐える

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「どうだった?」

感想を知りたそうな夏鈴が燐華に話しかける。

「ぜ、全体的に良かったよ」

本当は細かい部分を見る精神的余裕は無く、正確なことはわからない。
だが、その場しのぎでそう返事をした。

「本当!? 優等生な燐華ちゃんが言うなら間違いないね!」

夏鈴は喜んだ。

「それで、困っている部分はどこかな......?」

「えーっとね......。ここが今こんな感じなんだけどー......」

夏鈴が燐華の隣に座り、指で気になる部分を示していく。

「それでー......。あれ、おーい燐華ちゃーん!」

「うぇ!?」

ぼーっとしていて話を聞けていなかった。

「ご、ごめん。もう一度いいかな......?」

「大丈夫ー?」

「う、うん......。あ、そうだごめん。少し、席を外していいかな。お手洗いに行きたくて......」

「うん。いってらー」

燐華は立ち上がり、部屋を出た。
トイレに入り、大きなため息をつく。

(あと三時間半......)

燐華はトイレットペーパーを適当に巻き取り、冷や汗を拭う。
個室で一人になり、落ち着いたためか先ほどより体調は幾分かマシになった。

(頑張るぞ......)

大きく深呼吸し、トイレを出た。


それから、夏鈴の質問責めは続いた。
朦朧とする意識の中で、夏鈴とのやり取りを進めていく。
胃酸がこみあげてくるが、ミルクティーで流し込み、抑え込む。

(大丈夫......。今までこんなことより辛いこと、たくさん乗り越えてきたんだから......!)

自分を鼓舞し、ひたすら耐える。

そして、長い長い地獄の時間を耐え続けた。


時刻は夜六時。
夏鈴はレポートは順調に進み、満足そうだ。

「ありがとー燐華ちゃん! めちゃくちゃ進んだし良くなったよ!」

「うん、良かったね......」

このまま倒れてしまうのではないかと思いながら、燐華は返事をする。

「じゃ、私はこれで......」

燐華は辛く苦しい時間を耐えきった。
燐華は喜びで泣いてしまいそうだった。
立ち上がり、帰宅しようとする燐華。

だが、夏鈴はそんな燐華の手を掴み、引き留めた。

「えっ......!? どうしたの.......?」

「手伝ってくれたんだし、お礼にご飯食べて行ってよ!」

「え......でも......」

「いいからいいから!」

夏鈴の押しに負け、座らされる燐華。

「じゃ、待っててね!」

夏鈴は夕食を用意しに部屋を出て行った。

(嘘......)

地獄はまだ終わらなかった。


食事後も会話の相手にされ、時刻は既に九時を過ぎていた。

「燐華ちゃん大丈夫? 体調悪そうだけど?」

 明らかに体調が悪そうな燐華に、声をかける夏鈴。

「うん、大丈夫だから......」

「帰れ無さそうだったら、送っていくけど......」

「大丈夫......。そこまで迷惑をかけられないから......」

 燐華はきっぱりと断る。

「そう? じゃあ、お大事にね」

「うん......。また学校でね......」

 燐華は手を振ると、夏鈴と別れた。


「燐華ちゃん、大丈夫かなぁ」

 燐華と別れた夏鈴は、燐華を心配していた。
 余りにも体調が悪そうだったので、不安だった。

「でも、なんか......」

 夏鈴の中には、不安以外の感情があった。
 なにか懐かしい、忘れていた感情が蘇ってきているような気がしていた。

「なんか、それが嬉しいような......。気のせいだよね......?」

 体調が悪い中帰宅する燐華を思い浮かべ、心配する夏鈴の顔はなぜか笑顔だった。
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