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2章 俺の彼女は壊れかけ
彼女、帰宅する
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「おぇぇ......」
夏鈴との時間が長く、体調を崩してしまった燐華。
帰り道に何度も何度も吐きそうになってしまっている。
燐華はよく酒を飲んで吐くことは多いが、こんなに苦しそうな表情はしない。
それほど夏鈴との出会いが精神的負担となっているのだろう。
今はちょうど酒やタバコはない。
支えてくれる志永もいない。
絶望的な帰路だった。
視界が歪む、ふらつく足元。
そんな中、一歩一歩必死に歩く。
「階段......」
平らな道を歩くのにも苦労する燐華の前に、階段が現れた。
ふらつきながらも、階段を一段一ずつしっかりと登っていく。
「はぁ......はぁ......」
涙を流しながら、必死に上がっていく。
残り半分、ここを登れば、志永の家まであと少し。
しかし、現実は甘くなかった。
「あっ......」
燐華の足がうまく持ち上がらず、階段に引っかかる。
咄嗟に両腕を前に出そうとする燐華。
だが、燐華の左腕は動くことはなかった。
階段に右手を付くが、手を滑らせてしまう。
そして、燐華は階段の角に頭を打つ。
体の限界も迎え、今まで抑え込んでいた胃酸が夕食とともにこみ上げる。
そのまま自分の嘔吐物にまみれながら階段から転げ落ちた。
燐華の記憶はそこで途絶えてしまった。
「はさん......! 燐華さん!」
全身の痛み、そして、強烈な頭の痛みが燐華に突然襲い掛かる。
痛みで燐華が目を覚ますと、白い天井が広がっていた。
そして、視界の端には志永の顔があった。
「燐華さん! 大丈夫ですか!」
意識が戻った燐華さんに、大丈夫かどうか確認する。
「大丈夫......か、わかんない......。痛い......」
燐華さんの頭には包帯が巻かれており、血が滲んでいる。
「あ、絶対に起き上がらないでくださいね! 今、看護師呼んできますから!」
俺は燐華さんに注意し、看護師を呼びに病室を出た。
燐華さんが階段から落ちて気を失い、救急車で搬送されたと聞いたときは驚いた。
額を切り、全身を打撲してしまったが、頭以外は軽傷だったようだ。
しかし、頭だけは強めに打ってしまい、気を失ってしまったようだ。
その後、偶然見かけた近所の人に通報され、病院へと運ばれた。
万が一俺がいない時に介抱が必要になった際に、俺に連絡が来るよう燐華さんの財布や持ち物に電話番号を書いたメモを入れていた。
それのおかげで、俺はいち早く燐華さんの搬送を知ることができた。
俺は看護師を引き連れ、病室へと戻る。
「咲園さん、気持ち悪かったり、気分が悪いといったことはないでしょうか......?」
「気分は悪くないけど......。頭がすごく痛い......」
「そりゃそうですよ。階段で頭を打ったんですもん。しばらくは絶対安静ですよ」
看護師は燐華さんの心配をしつつ、状況説明と包帯の交換を行う。
「そういえばあなたは、彼氏さんでしたっけ?」
「あ、はい」
看護師に聞かれ、俺は答える。
「咲園さん、家族と連絡先とかわからないですか? 大ごとになってますし、一応連絡を入れた方がいいと思うんですが......」
「家族は......連絡先わからない......」
燐華さんは家族に追い出され、一人暮らしのためのお金の振込はしてくれてはいるものの、ほぼ絶縁状態だ。
だから、家族がこの事態を知ることも、興味を持つこともないだろう。
「そうですか......。じゃあ彼氏さんに......」
おそらく、今後の燐華さんの対応の説明をされるのだろう。
そう思っていた。
しかし、看護師の口からは、予想外の言葉が出てきた。
「ただでさえ咲園さんは左腕がまとも動かないのに、大怪我で更に生活に支障が出るんですから、彼氏さんがしっかり支えてあげてくださいね?」
夏鈴との時間が長く、体調を崩してしまった燐華。
帰り道に何度も何度も吐きそうになってしまっている。
燐華はよく酒を飲んで吐くことは多いが、こんなに苦しそうな表情はしない。
それほど夏鈴との出会いが精神的負担となっているのだろう。
今はちょうど酒やタバコはない。
支えてくれる志永もいない。
絶望的な帰路だった。
視界が歪む、ふらつく足元。
そんな中、一歩一歩必死に歩く。
「階段......」
平らな道を歩くのにも苦労する燐華の前に、階段が現れた。
ふらつきながらも、階段を一段一ずつしっかりと登っていく。
「はぁ......はぁ......」
涙を流しながら、必死に上がっていく。
残り半分、ここを登れば、志永の家まであと少し。
しかし、現実は甘くなかった。
「あっ......」
燐華の足がうまく持ち上がらず、階段に引っかかる。
咄嗟に両腕を前に出そうとする燐華。
だが、燐華の左腕は動くことはなかった。
階段に右手を付くが、手を滑らせてしまう。
そして、燐華は階段の角に頭を打つ。
体の限界も迎え、今まで抑え込んでいた胃酸が夕食とともにこみ上げる。
そのまま自分の嘔吐物にまみれながら階段から転げ落ちた。
燐華の記憶はそこで途絶えてしまった。
「はさん......! 燐華さん!」
全身の痛み、そして、強烈な頭の痛みが燐華に突然襲い掛かる。
痛みで燐華が目を覚ますと、白い天井が広がっていた。
そして、視界の端には志永の顔があった。
「燐華さん! 大丈夫ですか!」
意識が戻った燐華さんに、大丈夫かどうか確認する。
「大丈夫......か、わかんない......。痛い......」
燐華さんの頭には包帯が巻かれており、血が滲んでいる。
「あ、絶対に起き上がらないでくださいね! 今、看護師呼んできますから!」
俺は燐華さんに注意し、看護師を呼びに病室を出た。
燐華さんが階段から落ちて気を失い、救急車で搬送されたと聞いたときは驚いた。
額を切り、全身を打撲してしまったが、頭以外は軽傷だったようだ。
しかし、頭だけは強めに打ってしまい、気を失ってしまったようだ。
その後、偶然見かけた近所の人に通報され、病院へと運ばれた。
万が一俺がいない時に介抱が必要になった際に、俺に連絡が来るよう燐華さんの財布や持ち物に電話番号を書いたメモを入れていた。
それのおかげで、俺はいち早く燐華さんの搬送を知ることができた。
俺は看護師を引き連れ、病室へと戻る。
「咲園さん、気持ち悪かったり、気分が悪いといったことはないでしょうか......?」
「気分は悪くないけど......。頭がすごく痛い......」
「そりゃそうですよ。階段で頭を打ったんですもん。しばらくは絶対安静ですよ」
看護師は燐華さんの心配をしつつ、状況説明と包帯の交換を行う。
「そういえばあなたは、彼氏さんでしたっけ?」
「あ、はい」
看護師に聞かれ、俺は答える。
「咲園さん、家族と連絡先とかわからないですか? 大ごとになってますし、一応連絡を入れた方がいいと思うんですが......」
「家族は......連絡先わからない......」
燐華さんは家族に追い出され、一人暮らしのためのお金の振込はしてくれてはいるものの、ほぼ絶縁状態だ。
だから、家族がこの事態を知ることも、興味を持つこともないだろう。
「そうですか......。じゃあ彼氏さんに......」
おそらく、今後の燐華さんの対応の説明をされるのだろう。
そう思っていた。
しかし、看護師の口からは、予想外の言葉が出てきた。
「ただでさえ咲園さんは左腕がまとも動かないのに、大怪我で更に生活に支障が出るんですから、彼氏さんがしっかり支えてあげてくださいね?」
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