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4章 俺の彼女は幸せを勝ち取りたい
彼女、毎日を楽しく過ごす
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夏鈴さんの記憶が戻ってから二週間。
夏鈴さんが絡んでくることは一切なかった。
同じ大学なので何度かすれ違うこともあったが、燐華さんの周りには俺や新たな友人がいる。
多くの人物に守られた燐華さんに、夏鈴さんが近づく隙は無かった。
そんなこともあり、燐華さんはここ最近笑顔でいることが多かった。
彼氏として、これほど嬉しいことはなかった。
それから、燐華さんとデートすることになった。
前回は夏鈴さんとの遭遇により体調を崩してしまって楽しむことができなかったので、今度こそ楽しみたいと思う。
休日の午後四時。
俺は燐華さんのマンションの部屋まで迎えに行く。
「お待たせー」
燐華さんは新しい服を着て出てきた。
夏鈴さんが選んだ服とは違う、別の服。
あの服は似合っていたが、もう二度と着ることはないのだろう。
「それじゃ、行きましょうか」
俺たちは手を繋ぎ、歩き始めた。
燐華さんがデートで行きたがる場所といえば、一つしかない。
「店員さーん! ハイボール大三杯頂戴!」
「あいよー! ハイボール大三杯ね! そっちの兄ちゃんは?」
「あ、焼き鳥セット二人前で......」
「ん? 兄ちゃん酒飲まないんか?」
「はは、実はあまり得意ではなくて......」
燐華さんがデートで行きたがる場所。
勿論、酒が飲める居酒屋だ。
店員がすぐさまハイボールを持ってきてテーブルに置く。
燐華さんはお礼を言うと、一気に飲み干す。
「最高!」
大笑いしながら次の酒に手を付け始める燐華さん。
少し前だったら呆れていたかもしれないが、夏鈴さんの恐怖を乗り越え、安心して過ごせる生活を手に入れた今、酒を楽しく飲む燐華さんを見て嬉しくなっていた。
「志永くんも飲めばいいのにー」
「ははは。俺酒苦手ですし。それに、燐華さんの介抱もしないといけないので......。燐華さんが好きなだけ飲んでくださいよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて......。店員さーん! ハイボール大を更に三杯追加ー!」
燐華さんは遠慮せずに頼む。
「いやー。最近は毎日が楽しいよー」
「はは、それはなによりで」
「んー? 志永くんはそうでもないのー? もしかして、私が別の人と話してるのが気に食わない?」
燐華さんがニヤニヤしながら聞いてきた。
「そ、そんなことは別に......」
「もう、志永くんは嫉妬深いんだから......」
そんな感じで話をしていると、店員がハイボールと焼き鳥を持ってきてくれた。
俺はタレで味付けされた皮を選び、口に入れる。
「私もそれ頂戴?」
「いいですよ。じゃあ箸を......」
「えー面倒だからそのままでいいよそのままで。そのまま食べるから串持ってて」
「え、そのままですか?」
俺は少し恥ずかしがりつつも、燐華さんに焼き鳥が刺さった串を差し出す。
燐華さんはお構いなく焼き鳥を食べた。
「おいひーね。......って、なんで顔赤くしてんの」
「あ、いや......」
「関節キスくらいで今更恥ずかしがってるの? チューした仲なのに? ははははは!」
燐華さんはテーブルをバンバン叩く。
周りの人も会話を聞いていたのか、視線が集まる。
俺は恥ずかしくなり、俯いてしまった。
それから、燐華さんはフラフラになるまで飲んだ。
そんな燐華さんを支えながら、会計を済ます。
店を出た瞬間、燐華さんが吐きそう言い出したので、用意していたエチケット袋をすぐさまズボンのポケットから取り出す。
「だ、大丈夫ですか......?」
「だいじょーぶ!」
燐華さんは吐いたが、とても元気そうだった。
「じゃ、私の家に帰ろーか! 二次会だー!」
「ま、まだ飲むんですか?」
「当たり前じゃん! 気を失うまで飲むぞー!」
燐華さんは拳を暗い空に突き上げながら宣言する。
そんな燐華さんを見て、流石に少し呆れてしまったが、楽しそうでなによりだと思った。
そして、この時は思いもしなかった。
燐華さんが酒で喜ぶ日が、これで最後になるなんて。
夏鈴さんが絡んでくることは一切なかった。
同じ大学なので何度かすれ違うこともあったが、燐華さんの周りには俺や新たな友人がいる。
多くの人物に守られた燐華さんに、夏鈴さんが近づく隙は無かった。
そんなこともあり、燐華さんはここ最近笑顔でいることが多かった。
彼氏として、これほど嬉しいことはなかった。
それから、燐華さんとデートすることになった。
前回は夏鈴さんとの遭遇により体調を崩してしまって楽しむことができなかったので、今度こそ楽しみたいと思う。
休日の午後四時。
俺は燐華さんのマンションの部屋まで迎えに行く。
「お待たせー」
燐華さんは新しい服を着て出てきた。
夏鈴さんが選んだ服とは違う、別の服。
あの服は似合っていたが、もう二度と着ることはないのだろう。
「それじゃ、行きましょうか」
俺たちは手を繋ぎ、歩き始めた。
燐華さんがデートで行きたがる場所といえば、一つしかない。
「店員さーん! ハイボール大三杯頂戴!」
「あいよー! ハイボール大三杯ね! そっちの兄ちゃんは?」
「あ、焼き鳥セット二人前で......」
「ん? 兄ちゃん酒飲まないんか?」
「はは、実はあまり得意ではなくて......」
燐華さんがデートで行きたがる場所。
勿論、酒が飲める居酒屋だ。
店員がすぐさまハイボールを持ってきてテーブルに置く。
燐華さんはお礼を言うと、一気に飲み干す。
「最高!」
大笑いしながら次の酒に手を付け始める燐華さん。
少し前だったら呆れていたかもしれないが、夏鈴さんの恐怖を乗り越え、安心して過ごせる生活を手に入れた今、酒を楽しく飲む燐華さんを見て嬉しくなっていた。
「志永くんも飲めばいいのにー」
「ははは。俺酒苦手ですし。それに、燐華さんの介抱もしないといけないので......。燐華さんが好きなだけ飲んでくださいよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて......。店員さーん! ハイボール大を更に三杯追加ー!」
燐華さんは遠慮せずに頼む。
「いやー。最近は毎日が楽しいよー」
「はは、それはなによりで」
「んー? 志永くんはそうでもないのー? もしかして、私が別の人と話してるのが気に食わない?」
燐華さんがニヤニヤしながら聞いてきた。
「そ、そんなことは別に......」
「もう、志永くんは嫉妬深いんだから......」
そんな感じで話をしていると、店員がハイボールと焼き鳥を持ってきてくれた。
俺はタレで味付けされた皮を選び、口に入れる。
「私もそれ頂戴?」
「いいですよ。じゃあ箸を......」
「えー面倒だからそのままでいいよそのままで。そのまま食べるから串持ってて」
「え、そのままですか?」
俺は少し恥ずかしがりつつも、燐華さんに焼き鳥が刺さった串を差し出す。
燐華さんはお構いなく焼き鳥を食べた。
「おいひーね。......って、なんで顔赤くしてんの」
「あ、いや......」
「関節キスくらいで今更恥ずかしがってるの? チューした仲なのに? ははははは!」
燐華さんはテーブルをバンバン叩く。
周りの人も会話を聞いていたのか、視線が集まる。
俺は恥ずかしくなり、俯いてしまった。
それから、燐華さんはフラフラになるまで飲んだ。
そんな燐華さんを支えながら、会計を済ます。
店を出た瞬間、燐華さんが吐きそう言い出したので、用意していたエチケット袋をすぐさまズボンのポケットから取り出す。
「だ、大丈夫ですか......?」
「だいじょーぶ!」
燐華さんは吐いたが、とても元気そうだった。
「じゃ、私の家に帰ろーか! 二次会だー!」
「ま、まだ飲むんですか?」
「当たり前じゃん! 気を失うまで飲むぞー!」
燐華さんは拳を暗い空に突き上げながら宣言する。
そんな燐華さんを見て、流石に少し呆れてしまったが、楽しそうでなによりだと思った。
そして、この時は思いもしなかった。
燐華さんが酒で喜ぶ日が、これで最後になるなんて。
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