78 / 370
王国の小さな発展
しおりを挟む
翌朝、起きていつものように広場へ行くとタデとヒイラギが真面目な顔をして会話をしている。どうしたのかと思い近付くと、二人に良いところに来たと言われた。
「おはよう。どうしたの?何か問題があったの?」
いつもは大雑把で強がってはいるが、前世はハタチの私はまだまだ子どもで手探りの王国作りは実は不安でいっぱいなのだ。
「おはよう姫。あのね毎日森が成長していくおかげで、木材がだいぶ手に入ったんだよね」
「こちらの水路建設も順調に進んでいる」
喜ばしい話題だが、二人はまだ真面目な顔をしている。相槌を打ち話の続きを聞く。
「このまま水路をこの広場の方へ延長し、その近くに家を建てたらどうだろう?今ある家は仮の家としてまず壁を作り、それが完成次第、西側に町……というか住居の区画を作ってはどうだろう?」
「木材に困ることはもう無さそうなんだよね」
二人の意見を聞き私は満面の笑顔となる。
「それって城下町への一歩よね?」
そう問えば二人はようやく笑顔を見せ頷く。そしてタデが口を開く。
「ただし水路のほうがどうしても時間はかかる。なのでまだ少し先の話になるがな。……モクレンにはしっかりと理解出来るように私たちが懇切丁寧に説明をしておく」
私以上に大雑把なお父様を思い浮かべ、苦笑いで「お願いします」と二人に頼んだ。
朝食の前にレンガの窯の様子を見に行くと、イチビたちが窯の周りに集まっている。
「おはようみんな」
そう声をかけるとみんながそわそわとしている。不思議に思い聞いてみると、焼いたレンガは冷えたようでパッと見た感じだと割れている物は少ないと言う。ならば朝食後に確認しようということになった。
朝食後、お母様たちには昨日の続きを頼み、間伐チームの数人がバラックに板を貼り付け壁を作る作業を始める。そして私はイチビたちと窯の前にやって来た。他の者はレンガを捏ねて作っている中、私たちは窯の中を確認し焼成レンガを取り出す。
「すごいじゃない!ほとんど割れていないし、どれも立派なレンガよ!」
心からそう思い賞賛の言葉をかけるとイチビたちはまたモジモジとしている。
「……今日はこの後ろの窯を使って焼きます」
シャガが指差す後方を見れば、日干しレンガで作られた新しい窯がある。これからは窯の数も増やし、一日ごとにレンガを焼いていくつもりだとみんなは話す。
「レンガについてはみんなに任せるわ。あのね、このレンガを少し分けてもらってもいいかしら?」
「もちろんです」
イチビの了解を得て広場から一番近い畑にレンガを持って行く。家の近くに置いていた最初に作ったレンガも一緒に運ぶ。途中でオヒシバが手伝ってくれ、数十個のレンガを運びと終わると私はそれを積み立てていく。あえてモルタルで固定せずにバスタブ型のレンガの囲みを二つほど作った。
「これは何を作っているのでしょう?」
出来上がったものを見てオヒシバが不思議そうに問う。コンポストを作ったのだが説明に悩む。
「これはね、堆肥……畑の肥料を作るものなの。土に栄養があれば野菜はもっと丈夫で美味しいものが出来るわ。肥料にもいろいろあってね、前世で住んでいた国は昔は糞尿を使っていたの。でも臭いもすごいし、誰かが病気にかかっていたらその糞尿を使った食べ物も汚染されてしまう。だから安全な肥料を作りたかったのよ」
「そうなのですか!?」
いつの間にか後ろに立っていたエビネが驚きの声を上げる。その声に驚き私とオヒシバが振り向いた。
「で、肥料はどう作るのですか?」
すっかり農作業の専門になったエビネはワクワクと目を輝かせている。
「例えば収穫した野菜の食べない部分、そうね、皮やヘタなどよ。ただ細かく刻まないといけないけれど。あとは……今はないけれど、食べ残しなども入れたりするわ。逆に種は入れてしまうと発芽したりするから駄目よ。オーレンジンやリーモン、私たちは『柑橘系』と呼んでいたけれど、それらも入れては駄目ね。ただそれは薬剤が付着しているからで、この国で採れたものは大丈夫だと思うわ」
そう説明をするとエビネは「早く作りましょう!」とやる気スイッチが入ったようだ。なのでオヒシバとエビネの三人で森から土を運んでレンガのコンポストに土を入れる。
「あ!ミズズ!ミズズは逃してあげて。発酵が進むと土が熱を出すのよ」
家庭用の生ゴミ等を入れるとかなり温度が上がることがある。害虫はその温度で死滅してくれるが、土を作ってくれるミミズは大事にしたい。
「基本的に植物なら何を入れても良いけれど、早く土になるように入れる時は細かく砕いたり切ったりしてね」
そして注意事項としてあまりにも土が乾いていたら湿らせたり、一日に一回掻き混ぜることを伝える。オヒシバにはこのコンポスト用の蓋を作ってもらうように頼んだ。
さぁどんな土が出来るかしら?楽しみがまた増えたわ。
「おはよう。どうしたの?何か問題があったの?」
いつもは大雑把で強がってはいるが、前世はハタチの私はまだまだ子どもで手探りの王国作りは実は不安でいっぱいなのだ。
「おはよう姫。あのね毎日森が成長していくおかげで、木材がだいぶ手に入ったんだよね」
「こちらの水路建設も順調に進んでいる」
喜ばしい話題だが、二人はまだ真面目な顔をしている。相槌を打ち話の続きを聞く。
「このまま水路をこの広場の方へ延長し、その近くに家を建てたらどうだろう?今ある家は仮の家としてまず壁を作り、それが完成次第、西側に町……というか住居の区画を作ってはどうだろう?」
「木材に困ることはもう無さそうなんだよね」
二人の意見を聞き私は満面の笑顔となる。
「それって城下町への一歩よね?」
そう問えば二人はようやく笑顔を見せ頷く。そしてタデが口を開く。
「ただし水路のほうがどうしても時間はかかる。なのでまだ少し先の話になるがな。……モクレンにはしっかりと理解出来るように私たちが懇切丁寧に説明をしておく」
私以上に大雑把なお父様を思い浮かべ、苦笑いで「お願いします」と二人に頼んだ。
朝食の前にレンガの窯の様子を見に行くと、イチビたちが窯の周りに集まっている。
「おはようみんな」
そう声をかけるとみんながそわそわとしている。不思議に思い聞いてみると、焼いたレンガは冷えたようでパッと見た感じだと割れている物は少ないと言う。ならば朝食後に確認しようということになった。
朝食後、お母様たちには昨日の続きを頼み、間伐チームの数人がバラックに板を貼り付け壁を作る作業を始める。そして私はイチビたちと窯の前にやって来た。他の者はレンガを捏ねて作っている中、私たちは窯の中を確認し焼成レンガを取り出す。
「すごいじゃない!ほとんど割れていないし、どれも立派なレンガよ!」
心からそう思い賞賛の言葉をかけるとイチビたちはまたモジモジとしている。
「……今日はこの後ろの窯を使って焼きます」
シャガが指差す後方を見れば、日干しレンガで作られた新しい窯がある。これからは窯の数も増やし、一日ごとにレンガを焼いていくつもりだとみんなは話す。
「レンガについてはみんなに任せるわ。あのね、このレンガを少し分けてもらってもいいかしら?」
「もちろんです」
イチビの了解を得て広場から一番近い畑にレンガを持って行く。家の近くに置いていた最初に作ったレンガも一緒に運ぶ。途中でオヒシバが手伝ってくれ、数十個のレンガを運びと終わると私はそれを積み立てていく。あえてモルタルで固定せずにバスタブ型のレンガの囲みを二つほど作った。
「これは何を作っているのでしょう?」
出来上がったものを見てオヒシバが不思議そうに問う。コンポストを作ったのだが説明に悩む。
「これはね、堆肥……畑の肥料を作るものなの。土に栄養があれば野菜はもっと丈夫で美味しいものが出来るわ。肥料にもいろいろあってね、前世で住んでいた国は昔は糞尿を使っていたの。でも臭いもすごいし、誰かが病気にかかっていたらその糞尿を使った食べ物も汚染されてしまう。だから安全な肥料を作りたかったのよ」
「そうなのですか!?」
いつの間にか後ろに立っていたエビネが驚きの声を上げる。その声に驚き私とオヒシバが振り向いた。
「で、肥料はどう作るのですか?」
すっかり農作業の専門になったエビネはワクワクと目を輝かせている。
「例えば収穫した野菜の食べない部分、そうね、皮やヘタなどよ。ただ細かく刻まないといけないけれど。あとは……今はないけれど、食べ残しなども入れたりするわ。逆に種は入れてしまうと発芽したりするから駄目よ。オーレンジンやリーモン、私たちは『柑橘系』と呼んでいたけれど、それらも入れては駄目ね。ただそれは薬剤が付着しているからで、この国で採れたものは大丈夫だと思うわ」
そう説明をするとエビネは「早く作りましょう!」とやる気スイッチが入ったようだ。なのでオヒシバとエビネの三人で森から土を運んでレンガのコンポストに土を入れる。
「あ!ミズズ!ミズズは逃してあげて。発酵が進むと土が熱を出すのよ」
家庭用の生ゴミ等を入れるとかなり温度が上がることがある。害虫はその温度で死滅してくれるが、土を作ってくれるミミズは大事にしたい。
「基本的に植物なら何を入れても良いけれど、早く土になるように入れる時は細かく砕いたり切ったりしてね」
そして注意事項としてあまりにも土が乾いていたら湿らせたり、一日に一回掻き混ぜることを伝える。オヒシバにはこのコンポスト用の蓋を作ってもらうように頼んだ。
さぁどんな土が出来るかしら?楽しみがまた増えたわ。
97
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる